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気の向くままの異世界旅  作者: 方夜虹縷
第二章

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第24話 襲来

突然だがこれを聞いているかもしれない諸君は怪奇現象を信じるか?


諸君の回答は分かれるはずだ。すべてを科学で説明しようとする科学者、常に生きることと効率を考えるリアリスト、自分の考えや信念が簡単には変わらない幼い子供、これらは『ノー』と答えるだろう。


反対に、説明できない現象をそういったものに絡めて筋の通った説明をする専門家、冗談好きで和やかかつ明るい空気を作り出すユーモア豊富な主婦、現実にないとされるものを生み出しロマンを追う創作者またはそのファン、これらは『イエス』と答えるだろう。


イエスかノーか、具体的な割合は知らないが、このように世の中の意見は真っ二つに割れることがある。それが学業の問題のように答えがあるものならよいが、怪奇現象は現状答えの出しようがない。いつか出るかもしれない答えを待ちながら、今日も意見は食い違い議論が生じる。


しかし、これらの回答や意見が全く意味を成さなくなる場合がある。


前提が覆った時だ。


かつてのクラスメイトの話だが、数学のテストで証明の問題が分からなかったそうだ。その時、残り時間わずかで他にも空欄があったため、それっぽいっことを書き、本来使われるわけないクエスチョンマークを三つ並べた。さらに、証明の終わりには『Q.E.D』という証明終了を表す3文字をつけるのだが、分からなかったため、彼は『Not Q.E.D』と書いて提出した。結果はもちろん不正解だったのだが、問題文をよく見ると致命的な見落としがあり、自身の(一応)書いた答えと矛盾していた。つまり、ふざけようがふざけまいが同じだったという訳だ。


この例で言えば、問題文が前提、『Q.E.D』と『Not Q.E.D』が『イエス』と『ノー』である。問題文を読み違えているため、この二つはどうでもよくなる。ただただ笑いの的になるだけだ。


ちなみにその彼は数学は満点近い点数なのに、英語は赤点をとるという人物だった。

極端すぎるとよく言われていた。


話を戻すが、怪奇現象を信じるか否か、この前提とは何か?


それは『怪奇現象とは何か』だろう。


イエスかノーか考えるとき、諸君は怪奇現象のことについて深く考えずに答えるのではないか?聞かれたら、笑いながら即答、もしくは質問自体を多少訝しんでから答える、このどちらかではないか?


ここで、未確認生命体とか地球外生命体などと言わなかったのは理由がある。それが『怪奇現象とは何か』という前提と関係している。


俺の自論だが、この前提に対してははっきりとした答えを持っている。


『怪奇現象とは何か』それすなわち『自分自身が理解できない事象』の総称である


『なんの前触れもなしに棚から物が落ちた』『自分が考えないようなことを突然考えた』『道を歩いていたら何もしていないのに通行人からよく分からないことで喚かれた』


これらは全て『怪奇現象』と呼ばれるだろう。


実際はそれぞれ

『バランスの悪い置き方をしていただけ』『人間の脳が持つ学習能力の産物であるだけ』『その通行人が酔っ払っていただけ』


理由を理解する前で、遭遇した瞬間にパッと『怪奇現象か!?』と頭に浮かぶ。こうした一瞬でも人間は疑ってしまう―――――。

















……ダメだな。俺の現実逃避したいときに論理を組む癖は直さないと。


はぁ。いつかは向き合うことになる。さっさと済ませた方がいいか。


「頼む!僕たちの仲間になってくれ!」

























朝ベッドから起き宿を出て行きつけの屋台で朝食をとる。


この一連の流れが俺の朝のルーティーンだ。昼食や夕食はいろいろな種類に手を出すようにしているが、これだけは長く変わっていない。ギルドに行く前の少ない時間で詰め込んだ結果だ。


いつものようにサンドウィッチのようなものを食べ、ギルドにやってきた俺がまずすることは掲示板から依頼をいくつか見繕うこと。そうだな、今日は……これにしよう。『名前がやたら長い二足歩行の大型魔物』の討伐。ついでに、サクッと終わる依頼を二つほどとった。


計3枚の依頼書をもってカウンターへ。いるのは顔なじみの受付さん。


あとは依頼の受理処理を待つだけだ。


「おい、聞いたか。あの話。今日らしいな。」


「ああ。ついにここにも勇者さまが来るのか……。」


そんな話声が聞こえてきた。


……勇者?


この町にきてそこそこだが、そんな話は聞いたことが無い。そもそも


「勇者ってなんだ?」


「なんで知らないのですか?」


いつの間にか受付さんが戻ってきていた。たまに音もなく動くことがあるのだが、ギルド職員はこれが当たり前なのか?


そんな内心を知る由もない受付さんは、あきれを含んだ声で勇者について説明してくれた。


・勇者は魔王が現れると神託によって選ばれる。

・勇者は魔王を討つ使命を果たすための存在である。

・勇者は受け継がれし聖剣を用いて仲間とともに往く人間の象徴である。


簡単に言うとこんな感じらしい。そして、


・魔王は何百年に一度現れる。

・魔王は絶大な力を持ち人間を恐怖に陥れる。

・魔王は魔族を率いて人間を滅ぼしに来る。


魔王についてはこんな感じらしい。


魔王とか魔族っていたんだな。聞くと、魔王がいなくても魔族は人間に害を出すらしい。しかも結構な頻度で。ひどい例だと国が滅んだとか。


うーん?そんな頻繁に行動してくるなら、今までの旅の中で遭遇していてもおかしくないはずだが……。まぁいいか。


「で、噂によるとその勇者がここにやって来ると?」


「はい。勇者様はご自身のお力で各地を魔族から救ってまわっているそうです。それで、次はこの町という訳です。」


「だが、この町に魔族が出たなんて聞いたことないぞ。」


「順番に巡っていくのは、各国の王族・貴族・国民へのお披露目も兼ねていますから。神託が下る聖都から出発していって、次がここなのでしょう。」


なかなか勇者とやらも苦労してるんだなぁ。魔王倒すことが使命ってことだから、さっさと倒しに行かしてやれよとも思うが。


そんな話をしているとギルドの入り口が騒がしくなってきた。


「ん?まさか、勇者とやらは冒険者ギルドにも来るのか?」


「……えぇ。勇者様も援助金が聖都から出ているとはいえ、ものすごく長い期間旅をされますから。お金は稼ぐ必要があります。そこで、魔王と戦うために経験を積み、さまざまな依頼が集まる冒険者になるのです。歴代の勇者様も、皆様冒険者でした。」


「へー。」


「ただ、こんな朝早くから冒険者ギルドには来ないはずです。ここは王都ですから、町に着いたらまず謁見に行くはずです。単純に騒ぎにもなりますしね。何かあったのでしょうか?」


受付さんの説明が終わると同時にギルドに男が入ってきた。その男はまっすぐ受付に歩いてきている。


邪魔だろうと思って横側の壁まで避けると、何を思っているのかこっちに進路を変えてくる。


その男は俺の目の前まで来た。俺は壁にもたれ、男と対面する。


「何か?」


「…………。」


用を問うも応答なし。なんだコイツ。


互いに無言の時間が数秒続くと、不意に男が口を開いた。


「……うん、よし!」


何故だろうか。俺は今ものすごく嫌な予感を感じる。具体的には……


「頼む!僕たちの仲間になってくれ!」


……面倒な勧誘とかだな。







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