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気の向くままの異世界旅  作者: 方夜虹縷
第二章

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第19話 一区切り

魔法を行使し、対象の首を切り落とす。


威力、正確さ、確実性、どれをとっても大丈夫なように分析し数をこなした。俺がこの世界にきてから、最も多く使った攻撃手段かもしれない。


そんな魔法は世界最強種族にも問題なく通じた。


「……っ……!?」


驚いたような声が僅かにした。そちらを見るとリソルとタラトが驚きに目を見開いて愕然としている。リギットは既に意識を失ったようだが、その口元にはかすかな笑みが浮かんでいる。


首をなくしたドラゴンは大きな衝撃とともに地面に倒れこみ、命を失った。魔力を流れは止まっているし、心臓も動いていない。


ここから、討伐証明や換金のために素材の剥ぎ取りに入る。これは冒険者として普通のことで、どんな魔物が相手だろうと変わらない。この作業はパーテイー内で不和が無い限り全員で行うのが通例だが、今回は俺一人でやることになる。


というのも、先ほどまで意識をもって驚いていた二人が意識を手放した。もともと死戦で疲労が溜まっていて、ドラゴンが倒れこんだ衝撃でとどめを刺されたのだろう。あれだけの出血なら精神状態は大まかに分かるし、小さなきっかけでおちてしまっても無理はない。


短い溜息をつきつつ、俺はナイフを片手に骸へ歩いて行った。















「……っ!!」


少しの息遣いとともに勢いよくカッと目を見開いた。

気持ちの良い目覚め方をしたリソルは、勢いそのまま上体を起こし周りを窺う。


割とすぐ視線がこちらを向くと腰を浮かし、座り込んだ。


「イっ……。」


「無理に体を動かそうとするな。あれだけボロボロだったんだ。痛みが残っていてもおかしくない。安静にしてろ。」


リソルは自分の体をよく見る。自分が痛みを感じたところから、キズがあったところまで。


「……あたしは大量出血かつ大量骨折だった。それが治ってる。レイ、お前が?」


「ああ。外傷は治せても、流石に痛みの感覚までは消せなかったようだな。」


「そうか……。2人は?」


「そこだ。」


俺はリソルの近くを指さす。まだリソルが向いてない方向に二人、リギットとタラトは寝かされていた。どちらの体にも、外傷は見られない。


3人を治療したのは俺の謎能力のひとつ『再生』……を、すこしいじったものだ。効果は文字通り傷を癒すこと。どこまでを再生ととるのかは検証できていないが、少なくとも今回のように傷に効くことは分かっている。ちょっとかすり傷を自分の腕につくって試したから間違いない。ただ、もともとこの能力は自分、つまり俺にしか効かない。どっかの犯罪者集団が起こした騒ぎの時に、捕まった人相手に試した。


だから、『創造』の検証も兼ねて改造してみた。無形の能力には通じるのかを。結果、問題なく改造できた。それを使った。


完全とは言い難いな。痛みまで消せたら大満足だったんだが。まぁ、『創造』の技量、容量アップや、『再生』の対象を広げれただけでも大きな成果だ。


「心配するな。その2人もじきに目覚める。言ってみれば、ほら。」


未だ目が覚めない二人を心配そうに見つめていたリソルに言うと、ちょうどいいタイミングでタラトが目を覚ました。おもしろいことに、目覚め方から腰を浮かし座り込むまでの流れがリソルと全く同じだ。


「タラト!」


「おっと、それは待った。」


普通に飛びかかって抱き着こうとしたバカがいた。


パチン、という音と同時にリソルの動きが止まる。


「……レイ、お前か?何故?」


「冷静に考えろ。タラトはお前と同じくらい傷を負っていた。なら痛みが残っているのは当然で、そこにお前が追い打ちをかけてどうする。」


今まさに、当人が痛みで悶えているからな。


納得した様子のリソルをおろすと、今度はリギットが目を覚ました。2人とは違ってゆっくりとした動きだ。


正直、意外だ。リギットはリソルやタラトと比べて冒険者歴が圧倒的に短い。そのうえ、ドラゴンの一撃をもろにくらっていた。もっと長く昏睡状態になると予想していたのだが……。俺の中のリギットのステータスのうち、タフさが大幅に上がった。


「!!リギット!」


「オイ」


二週目をかまそうとしたバカがいたため事前に防いでおいた。


「……落ち着いたか?」


3人が落ち着くまで数分を要した。本人たちからしてみれば、ついさっきまで死にかけだったのだ。これくらいは許してやろう。


「ああ。おかげさまで。……それで、レイ。あたしたちの質問に答えてくれんのか?」


リソルが答える。後ろ2人はリソルにまかせて黙っているようだ。黙ってはいるが、その眼差しはまっすぐ。


「まぁ、それぐらいはいいぞ。で?何が聞きたい?」


「そうだな……。一番気になることを聞くぜ。お前は何者だ?」


ふぅむ。難しい質問だ。

ここで日本人と、正直に答えてしまうのも一つの手ではある。だが、答えたところで何になるか、という感じはしなくもない。というか改めて考えると、俺がこの世界出身ではないと言う必要ないな。なら、必要ある部分だけでいいか。


「俺は冒険者だ。」


「?そんなことは知ってる。あたしたちが聞きたいのはもっと別の……」


「ただし、Sランクのな」


ピシリ、そんな擬音が聞こえてきそうなほど3人の動きはきれいに止まった。


この世界の人間は全員もれなくユーモアのセンスを持ち合わせているらしい。


是非地球の人間に分けてほしいものだ。





『創造』に関しては、第一章12話をご覧ください。

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