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気の向くままの異世界旅  作者: 方夜虹縷
第二章

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第17話 転換

轟音を聞いたリギットとレイも魔法を止める。


倒れた時にできた砂埃ではっきりとは見えないが、ドラゴンのシルエットは横になり、動かない。


「は、っはは!やったぞリギット!タラト!レイ!」


リソルが喜びを表し、リギットに駆け寄る。その言葉を聞き、呆然としていたタラトはリソルを追いかける。リギットはいまだに信じられないのか、ドラゴンを見たままだ。


やがてリソルがリギットに抱き着く。その衝撃で我に返ったリギット、タラトと喜びを分かち合う。


そんな中で。


レイだけはドラゴンのほうを見つめたままだった。


彼の目には、魔力を見ることができる目には。


ドラゴンのある一か所に魔力が集まっていく様子がはっきりと映っていた。


そこは、リソルとタラトが貫いた心臓だった。


(魔力を用いるってことは、魔法の一種なのか?心臓を撃たれてなお発動できるとは。とはいえ、あの偏り方。恐らく心臓全体ではない。あの技は心臓の一部しか破壊できなかったということか。)


そう考察すると同時に、レイはリソルに向かってあることを思っていた。


フラグ回収ありがとう、と。


ドラゴンが再び立ち上がる。それに気づいた3人は愕然としている。確実に仕留めたとでも思ったのだろう。最強と呼ばれるくらいの魔物が、普通ではないことは明確であるのに。


完全に立て直し、宿敵を視界に収めたドラゴンは吠える。今度は獲物ではなく、天敵として挑むために。ドラゴンの特徴の一つある羽は無くなったままだ。


その咆哮を受けた3人も武器を構える。3人とて負ける訳にはいかないのだ。


ここからは、互いに生存と信念をかけた死闘になる。だからこそ、絶対に勝って帰る。


3人の認識は即座に一致し、その意思とともに敵を殺しにかかった







――――――――――なのに。






生き残るという本能に目覚めたドラゴンには全く手がでなかった。


物理攻撃をしようとすれば察知され吹き飛ばされるか、噛み砕かれる前に飛び退くしかできない。魔法攻撃をしかけようとすれば急接近してくるか、かすればの即死ブレスを放ってくる。


もう3人には対抗する術がなく、ドラゴンの攻撃を紙一重でかわすだけ。


そんなことは長く続かない。


後衛故に俊敏さに欠けるリギットが逃げ遅れ、それに気を取られたリソルとタラトもやられた。幸い物理攻撃だったため死んではいない。だが、もう満身創痍だ。リギットは地面に倒れ込んだまま動かない。呼吸と意識はある。動かせないだけだ。リソルとタラトは流石の身のこなしでなんとか動けるが、全身の骨は折れあちこちから夥しい量の血が出ている。それでも立てるのは、その執念によるものだろう。


「ク、ソが・・・・・・。」


リソルが呻く。その目にはこちらを見下ろすドラゴンの姿がある。ドラゴンは3人が死にかけていることを見て取ると、終わりを告げるように光を口元に集め始めた。


「まだ、死ねねぇんだよ・・・・・・。」


死にかけでも、自分たちを死をもたらすブレスを見ても3人の闘志が枯れることはない。

自身の最大限をもって抗おうとしている。


「お前を殺して!クソ領主からみんなを救うために!あたしが、あたしたちが!守るために!お前には勝たないといけないんだよ!!」


その宣言と同時に。


死の光線がドラゴンから放たれた。


光線は3人だけでなく、辺り一帯の木々を吹き飛ばし土をえぐり生命を吹き飛ばした。轟音と振動が響き渡り、決着を告げるゴング代わりとなった。


ドラゴンは自身の体長より広大な範囲の土煙を見て終わりを確信する。

自身が持つ最強の攻撃手段。それを人間という矮小な生き物が直に受けて生きているはずがない。形が残っていればたいしたものだ。羽をもがれた恨みがこもっていないと言えば嘘になる。しかし、自身から羽を奪った勇士を、自信の誇りで消し去った満足感も感じている。


ドラゴンは体格・魔力ともに優れた種族だ。これだけではなく、知恵にも優れており、その頭は下手すれば人間をも超えるという。


その知恵をもってすれば容易に気づけただろう。ドラゴンは恨みに浸っていた。だからこそ、見落としていた。


戦いの途中からいなくなった人間がいることに。


「素人質問で恐縮だが。」


そんな声が3人の耳に届いた。


3人は自分がまだ生きていることに、ドラゴンは土煙の中から光とともに現れた影をみて驚く。


3人が声がしたほうを見るとそこにはよく知る人物が、左腕を前にその掌の前方を中心に光の幕を広げていた。


「少々意味が分からない部分があってな。是非聞かせてくれ。お前が言った『守る』ということについて、な。」








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