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気の向くままの異世界旅  作者: 方夜虹縷
第二章

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第13話 真相

「ど?どらごん?ドラゴン?ドラゴン!?」


リギットが意味不明な活用をしながら大袈裟に驚く。声には出さないが、タラトも同じような感情の顔をしている。


ドラゴンか。俺の知っているドラゴンと同じなら、そうとうな脅威なのだろう。


「ああ。詳しく話すが、まず野営の準備を終わらせようぜ。早くしないと日が暮れてしまう。」


リソルに言われ3人が空を見る。空は赤く染まり、太陽は西へと動いていた。





数分かけて天幕を張り終わり、俺たちは焚火をつけた。携行用の棒状の食事をとりながらリソルが話し始める。


「まずは依頼を受けたときの話からだな。指名依頼ってことは言ったよな。あたしもいくら報酬のいい指名依頼だからって、初めは受ける気は無かったんだ。」


そう話し始めたリソルはかなり落ちこんでいるように見える。どことなく罪人を連想させる。


「依頼主が、な。ヘルメスの領主、つまり貴族だったんだ。民衆が安心して暮らせるように、なんて言ってきやがったが、実際は自分が怖いだけだろう。それが分かってたし、ドラゴンの相手なんてしたくなかった。今だってできればしたくない。だがあたしは断れなかった。」


リソルは1本目を食べきり、2本目に手を伸ばす。


「領主とは手紙でのやり取りだったが、あの手紙が届いたときの呆然とする感覚は今でも残ってる。あの野郎、なんて書いてきたと思う?」


『君の生まれは把握している。パーティーメンバーとの関係も。その者達が生きていくためには、分かっているだろう?』


「露骨な脅迫だ。ドラゴンに害されるんじゃなくて、領主が害すって言いたいのはすぐに分かったぜ。」


リソルは脳筋だが、陰では頭が切れる。バカじゃない、よく分かっているのだ。


「それだけじゃない。あたしが渋ってるのを聞きつけたんだろうな。土台を壊されることを恐れたギルドも圧かけてきやがった。


『Aランクには強力な魔物を討ち果たす義務がある。それに、生活していくためには金がいる。金を稼ぐ手段が消えるのは嫌だろう?君たちはAランク相応の行動をとらなくてはならない。』


ってな。領主から嫌がらせを受ければ、いくらギルドでも追いやられる。土地がなくなるからな。そりゃ焦って圧かけてくる。結局あたしは断れなかった。パーティーの安全か村とパーティーの安全か。柄にもなくあたしも焦っちまった。あたしは被害が少ないほうをとった。みんなに相談するって手段も取れたはずなのにな。その結果がコレだ。仲間を黙ったまま連れてきて引き返せなくし、リギットを死なせかけた。ドラゴンはSランクの魔物だ。実力のないAランクであるあたしとタラト、冒険者になって間もないリギットとレイ。あり得ないよな。本当に申し訳ない。」


言い終わるとリソルは深く頭を下げた。


成程ね。事情は理解した。こちらでも貴族は典型的らしい。権力を得た人間が、更に得ようとするのは人間の性と言える。ここで何もせず帰れば、村にいる無関係の人物がどうなるか。


意外と繊細な部分あるんだな。言い出せないのは頭が切れる故に、自分で解決しようとした産物だろう。仲間に、脅迫かけられてて村がヤバいから決死の覚悟を決めてほしい、なんて言えないだろうし。


二人もそれ理解しているのだろう。リギットが慰めの言葉を


「このおバカ!」


……かけなかった。代わりに、渾身の拳骨が入った。


「言えなかった理由は分かる。私達に判断を迫りたくないって気持ちも分かる。でもねリソル。ちょっと私達のことナメ過ぎじゃない?」


昭和のヤンキーかお前は。


「何年リソルの親友やってると思うの?ここ数年会えなかったけど、私はずっとリソルのことを心配して、信頼してた。昔は喧嘩したってすぐ仲直りできてたでしょ?今も同じ。私はそんなことを持ち掛けられたとして軽蔑したりしない!何も言わないほうが怒る!私は、リソルが1人抱え込んだほうが、ずっと不幸になる。それくらい、リソルのことを思ってる。あなたの恋人であるタラトも、短い時間だけどパーティーを組んでるレイも。もちろん、私には劣るけど。」


リギットはリソルに近づき目を見て声を荒げる。続くようにタラトも近づき口を開いた。リギットとタラトが横並びでリソルを覗き込む。


「リギットの言うとおりだよ。冒険者だからって、みんなを守ろうとして何も言わないことはリソルの悪い癖。素直に相談ぐらいしてくれないと悲しくなるよ。」


二人に言われ、呆然とした表情のリソルはやがて笑顔を作る。おおかた、無茶苦茶に問い詰められ、責められると思っていたのだろう。ヤンキー風リギットの言うとおり仲良くあろうとするリソルにしてはナメすぎだ。


「……ありがとう。」


簡潔な一言。だがリソルのことをよく分かっている二人は顔を綻ばせた。


感極まったのか、リソルは二人の名前を呼びながら抱き付いた。明日、死ぬ可能性がほとんどなドラゴンに挑むことを忘れたかのよう。


そんな様子は、裏のない本物の信頼を築いた瞬間に見えた。元の仲を取り戻せたようで何より。











―――――――にしても、だ。







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