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気の向くままの異世界旅  作者: 方夜虹縷
第二章

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第12話 意思疎通

リギットが野営用の天幕を取り出そうとしたその時。


ギシャ……


低い濁った音。唸り声のようにも聞こえる。

全員が音の方を向くと、そこには魔物であろうものがいた。


何故断定しないのかというと見たことのない魔物で、魔物としか言いようがないからだ。トンボから羽を取り上げ全体を縦にし、胴体をムカデやヘビのようにうねらせている。足は数えるのがめんどくさくなるぐらい多く、口らしき部分からはクワガタのようなクワが生えている。


そんな謎形状のお客様だが、困ったことに団体でお越しのようだ。見えるだけで8体。ここは木に囲まれている。俺はどうとでもなるが、他3人は回り込まれ死角から攻撃される可能性が高い。もしかしたら、今の段階でもう潜んでいるかもな。


「チッ。今から休息だってのに……。いつも通りやるぞ!レイ、リギットは魔法であたしたちの援護。タラトはあたしと突っ込むよ!」


パーティーのリーダーポジであるリソルが号令をかける。今リソルが言ったような戦法が俺たちパーティーの基本だ。


最初に駆けだしたのはリソル。両腕に装備したガントレットがトンボもどきの顔を豪快に殴る。すぐさま持ち直し、側面から迫ってきていた別個体を殴り飛ばす。きれいに入ったためか、即死のようだ。今度は顔を殴られた個体が起き上がり跳びかかろうとするが、タラトがそれを許さない。豪快に大剣を振り下ろし、頭を粉砕する。こうやって、片方が傷をつけ、もう片方が仕留める。または二人で。

少し離れた場所にいた個体たちが攻撃するように身をかがめるが、そのいたるところに土の槍が突き刺さる。リギットの魔法だ。単純な命中率が上がっただけでなく、前衛の動きと敵の動きを見て的確なタイミングで敵を穿つ。


リギットとリソルは幼馴染、リソルとタラトは恋仲と、3人はリソルを中心に十分以上の信頼関係を築いている。そのため、この程度の連携はお手の物となっている。俺はその連携を邪魔しないように、適当に魔法を放つだけだ。


リギットの合わせ、土の槍を創りトンボもどきに撃つ。これで残り3体。


ん?あぁ。やっぱり隠れてたか。

今俺が右、リギットが左の横並びになっている。刺客はリギットの左斜め後ろから。

さて、リギットは気づけるか?トンボもどきの隠密はなかなか。気づいたら大したものだ。


リソルが最後の一匹を仕留め、生き残ったものは気を緩める。もちろん、リギットも。目に見えている範囲が終わったとしても、まだ安全が確保された訳じゃないぞ?


「!リギット!後ろだ!」


「え……――」


気づいたリギットが声をあげ、リギットはびっくりして振り返るがもう遅い。潜んでいたトンボもどきはリギットの目の前に迫っている。


俺はトンボもどきの頭を土の槍で穿った。超至近距離から放つ電車並みの速さの魔法だ。そんなのに耐えきれる訳もなく、トンボもどきの頭は粉々になる。


リギットは腰が抜けて尻もちをついていた。正直、魔法が使えるようになって腑抜けてしまったから、一回痛い目見せといてもよかったが、さすがにギリギリでやめた。このパーティーに亀裂が入るのは今のところ避けておきたい。


「大丈夫か?いなくなったからって油断するな。そんな体たらくじゃ、奇襲されたとき対応できないぞ。」


俺は座り込んでいるリギットに言う。よくみると若干震えているようだ。冒険者として1か月もすれば死ぬ覚悟ぐらいできていると思ったんだが。


「リギット!無事か!?」


リソルとタラトが慌てて駆け寄ってくる。よっぽどな思いをしたのか、顔は青ざめ、目は血走っているようにも見える。


「すまん、リギット。あたしが気を抜かず最後まで警戒していれば……。」


「すみません。僕も同じです。終わったと思ってしまい……。」


「ぁ、ううん。二人のせいじゃないよ。狙われてるのに油断した私が悪かったの。ほら、私は無事なんだから。そんなに落ち込まず切り替えないと!」


リギットも強がりに二人も笑顔になる。

素晴らしい仲間愛だ。年季が違うというべきか。


それにしても。リギット、分かってるじゃないか。生死がかかった場では油断したもの、感情に左右され一喜一憂するののは簡単に命を奪われる。そういうある種のル琉があるのだ。


3人が落ち着いた頃合いを見て、声をかける。


「ま、リギットの言うとおりだな。ずっと沈んだままじゃあ、サクッとヤられる。ところでだ。あのトンボもどき、妙に強かったと思うのだが。」


そう、夕方まで歩いたとは言っても、ここは森全体の浅い場所のはずだ。森や草原でもどこでも、町に近いところは人間が多いため魔物が住みつきにくい。魔物の間でも縄張り争いはある。だから、町から離れた場所には強い魔物が、町に近い場所には弱い魔物が生息しているのだ。


そうなると、この森は異常だということになる。仮にもAランク二人がかりで一撃で倒せないレベルの敵。考えるとすれば、ここがあまり人間が寄り付かないのか、これが弱い方なのか。


今回は両方のようだ。


「ああ。あれはBランクの魔物だ。この地域は全体的に強力な魔物が住んでいる。悪かった、今まで黙ってて。討伐対象がビッグネームだったもんでな。驚かせようと思って目的地を言わなかった。目的地に生息している魔物の把握ぐらいはしとかなきゃだよな。その結果、リギットを危険にさらした。」


「だ・か・ら、リソルのせいじゃないって言ってるでしょ。人の話を聞きなさい!早く切り替える!」


「……そうだな。よし!ここで言うのもなんだが、依頼を説明するぜ。」


リソルは俺たちをまっすぐみながら告げる。






「今回の討伐対象は、ドラゴンだ。」













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