第10話 空気
諸事情により少し短めです
「うぅ、恥ずかしい……。」
リギットが赤くなった顔を押さえている。自分のおかしな叫び声を聞かれたのがよっぽど効いたようだ。
通行人と出店の店員の視線がこちらに集まる。ヘルメスの冒険者ギルドへ続く道の真ん中を歩く俺たちは相当奇怪に見えるのだろう。顔を押さえ俯いて歩くリギット、腕を組み完全に二人の世界を作っている見た目インドア派とアウトドア派のカップルであるリソルとタラト、周りの一切を無視したように歩き時々リギットに追い打ちをかける俺。
誰がどう見てもカオスな状況だ。別にきっかけがあったとかいう高レベルのものじゃない。リギットの解体強制作業を終え、ヘルメスに戻る途中に自然とこうなっただけだ。意味は無い。
個人的に言えば、この状況事情を知る人間が見れば爆笑ものだと思う。その人間とは俺のことなのだが。
そんな混沌とした雰囲気のままギルドに到着。何も考えずにバカップルが扉を開ける。あ、そのまま入ったら……。
想像どおりギルド内もカオスに。二人の雰囲気にやられて気絶するもの、悔しさや妬ましさに血涙を吞むもの、肯定し応援するもの等さまざまだ。
だがさらに追撃がかかる。甘ったるい雰囲気の後ろからはどんよりしたリギットと無を保つ俺が入ってくる。この嚙み合わなさによりギルド内はより混沌の状況へ。正しく阿鼻叫喚の地獄。
しかし、それにやられながらも仕事をこなすのがギルド受付嬢。その揺るがない仕事魂に感激しつつ、俺たちは今回の報酬を受け取ってギルドを後にした。
◇
「ふぅ。」
俺の口から思わず声が漏れる。だが仕方がない。フカフカの布団の上に座ったとき、しかも労働のあとだと誰でもこうなると思う。
俺たちはリソルとタラトがいつもとっている宿をとり、一息ついていた。ここは食事がつくため心配せずゆっくりできる。
まぁ、一息つく前にひと悶着あった訳だが。それが部屋割り問題だ。ここはベッドが二つ。2人ずつ二部屋をとろうとした。2人部屋を一人で使うこともできるのだが、独占料的なもので1人当たり通常の2倍を払わなければならない。村からでてきたてのリギットのことを考えると、その案は無しになった。
じゃあどうするか、という問題が浮かび上がる。付き合っていることを考えると、リソルとタラトを同じ部屋に放り込むのがいいんだろうが、その場合俺とリギットが同室になる。リソルは久々に会ってゆっくりできておらず、リギットとも長々と話したいためリギットとの同室を希望。それで収まればよかったのだが、反対したものがいた。リギットだ。リギットが交際中だから同室にすべし、とリソルとタラアト別室論を拒否。そのまま論争になった。ちなみに俺とタラトはどっちでもいい派。
最終的に見かねた俺がじゃんけんで決めることを提案。タラトが便乗したため、じゃんけんで決めることになった。最初から……いや、気にしたらダメだ。結果、男女で分かれることに。言えば、リギットが負けた形になる。
そんなこんなで夕食を食べ部屋にいる。特にやることもないので、今日はもう寝てしまおう。
◇(girls side)◇
リギットとリソルは布団の上でお話をしていた。あれだけ反対していたリギットだが、長年の仲ということもあり、話し始めるとすぐに乗ってしまった。
そして話が一区切りしたころ、リソルは聞きたかったことをリギットい聞く。
「リギットさぁ、ぶっちゃけどう思ってるんだ?」
「なにが?」
「とぼけんなって。レイのことだ。お前、見ていてレイのこと意識しているのが丸分かりだぜ。」
「え!?嘘!?」
うぅ~と昼間と同じように唸りだすリギット。それを見てリソルは大爆笑だった。
この話題も含めてまだまだ夜は長い。
◇
この話に特に意味はありません。
作者が少しハイだっただけです




