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気の向くままの異世界旅  作者: 方夜虹縷
第一章 始まりの異世界

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第19話 ともに流され

シャスが俺に忠誠を誓った直後。

俺達は日が昇る前にアルレルに『転移』で戻ってきた。ただし、町の中に直接ではない。この町の門は日が昇らないと開かないし、俺達がサネルに向かったことは知られているからだ。それまでは適当に時間をつぶす。

やがて日が昇り、門が開いた。俺達はすぐに手続きをし、町に入る。シャスは身分証を持っていないがすぐに作りに行くことを伝えると、俺のギルド証で通してくれた。それでいいのかとも思うが、特別らしい。門に行ったとき俺の顔を見て怯えた表情になっていたから、サネルに行っている間にギルドでのことが広まったのだろう。


町に入った俺達は真っ先に冒険者ギルドに向かう。シャスの身分証もあるが、一番はアリバイづくりのためだ。サネルからアルレルまでは最低でも1週間かかる。サネルとアルレルには毎日馬車がでており、滅ぶ前日まで馬車が出ているから、それより早く戻ってきた俺達はもっと前にサネルを後にしたことになる。『転移』は知られていないから、俺達に嫌疑がかかることはないだろう。面倒事は避けたいからだ。最もそんなことになったとて蹴散らせばいいのだが。
















人間は流されやすく忘れやすい生き物だ。誰しも心当たりがあるだろう。人と話している間に『あれ、何だっけ。』と他の動作をしているとうっかり抜けてしまったり、何日何年と時間を置けば、疑問にすら思わなくなることが。きっかけあればその限りではないが、通常時間があけばあくほどきっかけとなるものがあっても何も思わなくなる。

絶対に忘れられない出来事なんて言う人間もいる。それは何年経とうと憶えているかもしれないが1秒もあけず常に、ということではない。他の動きをしているとどうしてもそういった瞬間は生まれる。もちろんこれでは忘れやすい生き物とは言えない。俺が思うにそういったものは、忘れる忘れない忘れられないの記憶という次元ではなくすでにその人間の中で常識となっているのではないか。

人の名前などにも同じことが言えるだろう。人と久しぶりに再開したとして、長いつきあいの親友の名前は忘れないが、ちょっと挨拶したぐらいですでに関係が切れた取引先の担当者の名前なんか簡単に忘れてしまう。これこそ、他人の名前が常識となり染み付いているか否かと言えるはずだ。

っと、話が逸れたがまぁそう言うことだ。絶対に忘れないなんて言っても忘れているケースは多い。人間の意識はその程度だ。長くなくとも時間を置けば、他の出来事に流される。言い訳をするなら、人間を取り巻く世界は常に変化しているから常識のようになる前に流されていくのは仕方ない、ぐらいか。学習しない奴、と陰口を叩かれる人間がいるのはまさにこれだと思う。


そうなると、俺にはまだこれが染み付いていないのだろう。


もう声なんて認識してやるものか。俺忘れすぎじゃね?ここはギルド。そして俺。はい皆さんお察しの通りで御座います。というか毎回似たような男なのやめろ。パターン化だけは避ける。なにがなんでもだ。

と考えているとどうやらパターン化は避けられるようで、いつものように処理しようとしたところ、シャスが男の前にでてきた。


「おい、主様の邪魔をするな。どうなるか分かってやっているんだろうな?」


シャスちゃん、君そんな喋り方だったっけ?変わりすぎじゃない?超冷淡なんだけど。

そんなシャスは俺が復讐祝いであげたフード付き外套を羽織っている。当然フードは被っているから獣人だとバレてない。


さて、シャスちゃんはアレをどう処理するかな?俺はサクッと腕切り落として終わるけど。

若干面白がって見ていると、シャスが男をギルドの外に蹴り飛ばした。なるほど、あれなら蹴っても備品が壊れることはない。でも、シャスは何度か言葉を交わしてから蹴った。あれだと手間が増えるだけじゃないか?というか俺の顔知らない冒険者がいたんだな。あぁ、俺がサネルにいったみたいにかなり移動のある職業なのか?


俺はシャスを連れて受付に行き、登録手続きをさせているところに聞き覚えのある声で話しかけてきた奴がいた。


「よ。ずいぶん久しぶりな気がするな。数日見なかったが元気そうじゃねえか。」


「ラスカか。リテイトとクレアも。」


話しかけてきたのは『ソーレリス』の3人だった。俺達は軽く挨拶を交わし、予想できていたことを聞かれる。


「で、あれ誰なんだよ。フードで顔とかみえねぇし。あのレイが連れてきたってそうとうなことだぞ?」


「私も気になります。1人でいいって感じだったレイさんが連れてきた方とはどんな人なのでしょう。」


「同じく。」


『ソーレリス』の3人は興味深々なようで。ラスカとリテイトはともかくクレアも聞きたがるとは。まぁ、シャスにも同じ冒険者の知り合いがいたほうがいいだろう。少し経ったらこの3人のパーティーに入れてもらうのもいいかもしれない。同性ってことで話しやすいのもあると思うし。


「分かった。紹介はする。」


ただ、と付け加え小声で話す。


「ちょっと訳ありでな。悪いが依頼ついでに外に行くならいいぞ。」


3人が了承したので、シャスを連れて門の外に行くことになった。










「じゃあ早速紹介してくれよ。」


門から離れたところでラスカが言った。そんなに興味を引くことか?なんとか適当にあしらえないかと思ったが、同じような視線が3つもあるので観念することにした。


「んー、そうだな。じゃあ軽く紹介するぞ。まずこいつはシャス。サネルで買った俺の奴隷だ。シャス、こいつらは冒険者パーティー『ソーレリス』の3人でラスカ、リテイト、クレアだ。」


3人は俺の奴隷って言ったあたりでびっくりしていた。


「そんなに驚くことじゃないだろ。奴隷は一般的に普及してるんだろ?」


俺の疑問にリテイトが答える。


「え、えぇ。確かにそうですがレイさんが買ったということが衝撃で。レイさんなら奴隷なんて面倒と言いそうだったので。」


あー、なるほど。確かに言いそうだわ、俺。


「確かにそうだが、いろいろあってな。この事は他言無用で頼むぞ?」


3人が頷いたのをみてシャスにフードをとるように言う。フードの中から出てきた猫耳を見て3人がまた驚いていた。


「ま、見ての通りシャスは獣人だ。だが、戦闘能力はピカイチだから仲良くしてやってくれ。」


「主様よりご紹介に預かりました。シャスと言います。獣人の身ではありますが、何卒よろしくお願いします。」


「あ、あぁ。」


3人はまだ戻ってきていないようだ。そんなに俺が獣人を買ったことが不思議か?

1番はじめに戻ってきたラスカが聞いてくる。


「レイ。その、大丈夫か?私達はどうも思わないが、世間では獣人は差別されている。そして、獣人を連れている主人もな。面倒を嫌うお前がそのリスクを考慮してないとも思わないが。」


あぁ、それで俺が暴れて町とかをめちゃくちゃに破壊しないか心配ているのか。


「問題無い。それぐらいは無視できるし、何よりシャス自身手を出してきた相手をボコれるぐらいの実力はある。」


「そうか、それなら大丈夫か。」


もっとも、もう別件で町をひとつ消した後だが。


その後は緩く依頼をこなしつつ、談笑していった。シャスは基本聞かれたことは答えるようにしている。俺も、シャスは普段自由にさせるから気にかけてやってほしいことを伝えた。もちろん、町を消したとか、復讐とか、契約とかは一切話していない。シャスも命令で縛られているから喋らない。まぁ、今のシャスが簡単にもらす訳ないと思うが。

依頼を終え、ギルドで報酬を受け取った俺達は解散し、『小枝亭』に向かう。何気に復讐の日からぶっ通しで動いたり魔力使ったりしているのでめっちゃ眠い。さっさと行ってとっとと寝よう。


・・・それにしても何か忘れてる気がするが、何だったっけ?




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