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狂科学者の異世界考察

作者: ・ Ⅺ

初投稿です。お手柔らかにお願いします。

「んぅ…。」

一面不自然なほどに真っ白な部屋に男が一人寝ていた。男はボロボロの白衣を身にまとい、髪はろくに手入れしていないのが目にわかるほどにぼさぼさだ。部屋の異様な綺麗さと明らかにあっておらず、それが部屋男の不自然さを加速させていた。


「んぁ…?どこだここ。」

「おやおや、目覚めたようだねぇ」


男とも女とも取れない中性だが、どこか機械的な音声が響く。


「んー?どこから話してやがる?ここはどこだ?お前はなんだ?いや…俺をここに連れてきて何がしたい」


男は頭や首などに手を当てながら矢継ぎ早に質問を繰り出す。


「おぉ、さすが科学者。状況整理が早いなぁ」

「ん~、質問にはすべては答えられないんだけどねぇ」

「まず、この場所の説明をしようか。キミがいるこの場所は、わかりやすく言うと”情報の集積所”だよぉ。」


『…なるほど”情報の集積所”と来たか。問題は”何に関する情報”かだな。この部屋には光源らしきものが見当たらないのにも関わらず影が一切見当たらない。俺をさらってどうしたいか、から推測するか。俺

の専攻は化学生物学。さらうということは何か公にできない…』


「ふふっ」


少し小馬鹿にしたような笑い声が響く。


「何がおかしい」

「いやね、キミの勘違いが面白くてねぇ。」

「勘違いだぁ?」

「キミ、”ここがどこか軍事組織の研究室”なんて思ってるんじゃないぃ?」

「そりゃそうだ、俺は研究室にいたはずなのに、目が覚めたらこんな得体のしれない…は?」

「くふっ。その間抜け面はいくつ見ても面白いなぁ。」


『思考が読まれた?なぜ?どうやって?頭や首にに何かを付けられたり埋め込まれた形跡はなかっ

た。』


「いやだなぁ、キミという個体の思考を読むのにそんな物騒なことする必要ないってぇ」

「チッ…ここは”人間”という情報を集積する場所だな?」

「うーん惜しいなぁ。もう少し対象が多いよぉ。ここは、キミのいた世界すべての情報がここに詰まってる。文字通りすべてさ。だから、リアルタイムで更新される情報の中から、キミの情報を閲覧すれば何考えてるのかなぁんて簡単にわかっちゃう。」

「ほう。それは俺でも閲覧可能か?」


男は興味を持ったような声で問いかける。


「可能かどうかで言ったら可能だけど、キミは理解したいんでしょぉ?それなら無理かなぁ。そこまでその体情報処理能力高くないもん」

「そうか。いくら俺でも処理能力を超えた情報を流し込まれて死にたくはないのでな。やめておこう。…お前、いわゆる”神”だろ」


急に男の音程が低くなる。


「お、そうだよぉ。キミたち地球に生息している人間という種族が”神”と指す個体は大抵が□□□のことだねぇ。」

「ここで世界のデータをお前はいじることができる。わかりやすく言えば編集者権限を持ってるってことか。お前の一人称が知覚できなかった。今まで何の問題もなく会話をしていたのにも関わらず、な。いわゆる4次元世界の上位存在に相当する。そりゃその存在を知覚できる個体は<神はいる>と主張するだろうな」


会話が途切れ、二者間に空白が出来上がる。男は思考を止めることなく、手に入れた情報をもとに考察していく。


『思考は筒抜けなのは気に食わないが、別に何らかの危害があるわけでもないならば気にすることもないか。考察しろ。何を俺は知らなければならない。まず一つ、俺がこの場にいる理由だ。あいつがこの世界をいじれるのならば、それを俺に知覚させずに可能だったはずだ。』

「あぁ、それに関しては説明するよぉ。」


思考を続けている男の邪魔をするように□□□が話しかけてくる。


「てめぇ、俺の情報を閲覧できるなら、俺がされたくないことぐらい把握しとけよ」

「んー?それ重要?キミの機嫌とかどうでもいいからねぇ。とっとと話を進めたいのさ。□□□も飽きてきた。」

「クソが。まぁ、情報が少なくて困ってたんだ。話を進めてくれ。」

「キミがここに連れてこられた理由だけどねぇ、キミには今からモルモットになってもらいまぁす。」

「は?」

「いぇーい。ドンドンパフパフー。」

「説明しろ。」


男は青筋を立てながら語気を強める。


「ひゃー。こわーい。キミが考察してた通り、ここにはキミのいた世界の情報が集まり、それを□□□は自由に編集できる。でもね、□□□がいつ世界が一つだけだって言ったの?キミがいたとこ以外にもいっぱい存在するのさ。キミにはそのうちの一つの世界に行ってもらうよぉ。それ以上の目的はあんまり話せないけどぉ」

「なぜそれを俺に説明する?お前は俺に気づかせずに違う世界に移動させることが可能なはずだ。」

「んー?あぁ、そこね。対照実験だよぉ。キミには”この世界のことを説明したサンプル”に分類されるよぉ。」

「あぁなるほど。俺以外の検体もいるわけか。おそらく地球上の知的生命体以外にも検体が存在してるな?まぁ、そこはどうでもいいか。んで?俺が行かなきゃならない世界の概要は?」

「ひ・み・つ!頑張って考察してねぇ」

「あ?」


男の脳裏が急激に暗転し、全身を落下するような感覚が襲う。

落下中、手足から感覚が失われていき、徐々に全身も動かせなくなっていく。最終的には思考能力さえも薄れていき、脳裏に「頑張ってねぇ~」という声が響いた後に意識さえ泡沫のように消えた。



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