超想/一字/001ー002:神(2)ー物語「神と神殺し」
神は仰せられた。「光あれ。」
かくして天地は初めて分かれ、光と闇が現れ、重と軽とが分かれ、正と反の物質は隔てられ、陰陽の大道にして、雌雄は別たれた。
神は初生の混沌の中で手を伸ばし、虚空に数度そっと点を打つと、いくつかの世界が現れた。内と外の時空は同じところもあれば異なるところもあり、ひとつの球体が現れた。その球体の外表は色彩乱れ、巨大な渦をなしており、渦は球の上方と下方へとそれぞれ流れ込み、二本の大柱となって、無限の天空と深淵へと通じている。
「この世界は争いが絶えず、生きとし生けるものは好戦的だ。」
「この世界は万物が萌えいで、生命に満ちあふれている。」
「この世界は連綿たる時空と歳月があり、命は互いに引き合い、引き裂き合う。」
神の右手がかすかに振られると、神の腕を取り巻く金色の光輪が次々と飛び出し、これらの世界に没入して規則を定めた。金色の光輪は再び彼女の右腕から生じ、絶え間なく続く。彼女は両手を背に回し、顔を向けて傍らの虚空を見た。
「仙か?」
そこには白衣の影がほのかに現れ、数瞬で彼女の面前に止まり、来訪者は手を伸ばして招くように言った。
「おはよう、曨。」
神は一瞥しただけで視線を引っ込めた。「もし君があの計画を私に売り込むために来たのなら、まったく必要ない。」
白衣の仙はひるがえり、虚空の上を数歩歩んで彼女の隣に並んだ。「そんなに急がないよ。」
「用のないことならここで目障りにならないでくれ。」
仙は苦笑した。「そんなに冷たくする必要があるかね?」
「我々は道が異なる。相容れぬのは当然だろう?」
神は静かに前方を見据え、まったく彼女を見ようとしなかった。「私は、君たちが天地への愛を一人の者にすべて傾ける行為を理解できない。しかし私は干渉しない。だから君たちも私の邪魔をするな。」
「神と仙、それぞれに務めるべき責がある。」
「愛の代表たる者として、まず自らの責任を尽くすべきではないか。」神の言に含意があった。
仙は首をかしげ、手を挙げて掌を開くと、静かに掌に横たわる一粒の種子をため息混じりに見つめた。「仕方ない。人に縛られればこうなる。」
「創造主という身分だからといってそれを重んじる必要はない。」神は淡々と言った。
仙は顔を上げ、首を振った。「そうじゃないんだ。」
「そうではないというのか。君は束縛されてはいないのか?」
仙は真剣な眼差しで彼女を見た。「曨、君は『愛』をどう理解している?」
「愛――私は万物を愛する、それだけだ。」
「すべての存在を愛するのか?」
「すべてを愛する。」
「私もまた万物を愛している。君の愛と私の愛に、どんな違いがあると思う?」
「もし君が言うのが『すべてを愛するということは結局誰も愛していないのだ』という類の話なら、私はそれに当たらない。私は神であり、最も原初で、根源で、出発点たる偉大な存在だ。『神』という接頭語でできることを、私ができないはずがあるか?」
「違うんだ。」仙は振り向き、掌の種子を浮かび上がらせた。「違うのは、君に万物に対する判断基準がないということだ。」
「私は唯一の基準など要らない。万物を等しく見る――それで十分だ。」
「では、賭けをしないか?」




