コスモスのちらし寿司
「第5回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」への応募作品です。
小学校三年の秋の遠足はコスモス畑だった。
日曜日にてるてる坊主を作ってずっと提げていた甲斐あって眩しい朝日に私は起こされた。
キッチンからは素敵な卵焼きの匂いが溢れて来て、私は一目散に駆け寄ろうとしたら……
パタリ!と倒れた。
驚いたお母さんは私を抱き上げて二度驚いた。
熱を測ってみたら39度!!
私はベッドに逆戻り……
悲しくてお布団被ってシクシク泣いてたらいつの間にか寝入っていて……
起き上がってみると私の影はお布団の上に長く伸びて……また悲しくなってため息をついた。
コンコン!ってドアがノックされたので、私はグシャグシャとこぶしで顔を拭って無理に笑顔を作り、ドアを開けた。
「すっかりねちゃった!!」
お母さんは私の額に手をやり微笑んだ。
「お腹はどう?」
「いっぱいすいた!!」
リビングダイニングの椅子に毛布を敷いてくれて私は座らされた。
そして目の間に出されたのは
桜でんぶやゆかりや錦糸たまごやベビーリーフを使って大皿いっぱいに描かれたコスモス畑で……赤い帽子を被りお気に入りのピンクのリュックを背負った私までがプチトマトとハムで描かれていた!!
こんな風にいつも私に元気をくれたお母さんは……
今も私と一緒に孫の愛莉のキャラ弁を作ってくれている。
「おばあちゃんが作ってくれたコスモス畑! 本当にきれいで食べるのがもったいないくらいだったよ!」
「じゃあ ながめているだけだったの?」
「ううん! ママはあっという間に食べちゃった!!」
「思い出した!あの時のママはすっかり元気になっていて……パクパク食べていたわよ!」
「熱出てたのに?!!」
「そうねぇ~知恵熱だったのかしら……だとしたら遠足残念だったね」
母がそう言うと娘の愛莉は少し悲しそうだったので、私はそのほっぺをミトンをはめた手でウリウリしてやった。
「ママは全然残念じゃなかったよ! おばあちゃんは素敵なコスモス畑を作ってくれるし……その晩にはコスモスの花束が届いたの!!」
「えっ?! それもおばあちゃんが??」
私は笑顔で頭を振り、『もうそろそろ起きて来るだろう』と廊下の方を見やった。
「それが同級生だったパパからの初めてのプレゼントだったの!」
素敵な毎日はずっと続くけど
とりあえず
このお話は
これでおしまい
今日は“安心安全”なしろかえでです!!(*^^)v
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