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バレッタ問題


 アクセサリー売り場で、今、松本さんは焦っていた。

 「すごい量だなぁ。こんなに種類があるの?」

 バレッタの壁が、松本さんを圧迫していた。

 吉川さんがバレッタを見ながら言う。

 「あるよ」


 松本さんは、困って言う。

 「ちょっと、もう。僕にはよく分からない」

 「選んでくれるって言ったのに」

 松本さんは、目についた1つを指さした。

 「うーん。じゃ、これ」

 

 勿論、吉川さんは不満だ。

 「え――――――!」

 吉川さんが不満に思う理由を、松本さんには分からない。

 「何?」

 吉川さんが文句を言う。

 「何じゃないよぉ。え? 選ぶのが一瞬じゃん。よく見たの?」

 

 オロオロしながら松本さんが言う。

 「そう言われてもぉ。駄目なの? 一瞬で選ぶと、駄目だったのぉ」

 「なんか、こう、楽しくないと言うかァ」

 「え? そう言うもんなの?」

 「そうだよぉ。全然楽しくない」

 「じゃぁ、もう少し見てみるよ」

 吉川さんは、既に諦めていた。

 そもそも松本さんにセンスなどないんだから。

 「もういいよ。それで」


 

 吉川さんは、それでも嬉しかった。

 ”颯太が選んでくれたから。このバレッタが、似合うと思って選んでくれたから”


 


 一瞬で選んだバレッタを、松本さんが買って、吉川さんに渡した。

 「ありがとう」

 吉川さんは、その場でバレッタを付けた。

 松本さんが言う。

 「午後から熊さんが、華ちゃんと子供ちゃんを連れてくるだろう? そろそろ帰る?」

 「そうだね。産まれてから、もう1月経ったんだね」


 「夕方には平川と山岡ちゃんも来るらしい」

 「意外な組み合わせだよなぁ」

 「どんな風に?」

 「行動が先の平川くんと、優等生の山岡ちゃんってことかなぁ」

 

 吉川さんが要約した。

 「バカと利口の組み合わせって事でしょう?」

 松本さんがオロオロする。

 「そこまでは言ってないから」


 吉川さんが言う。

「さぁ、帰ろ。みんな来るよ」


 

 そして、二人は吉川邸に帰って、熊さん一家を待った。

 そこへ平川くんと山岡ちゃんがやって来た。


 そして山岡ちゃんが言う。

 「え? そのバレッタぁ。吉川ちゃんぽくないね。お花がついているんだ」

 平川くんも言う。

 「ピンク? 珍しいな、吉川がピンクって。しかも桜色かよぉ。乙女って感じだな。吉川は乙女って柄じゃないだろうぉ」


 松本さんが謝る。

 「すいません」


 平川くんが焦る。

 「あ。あっ、え。松本さんが選んだの? ああ、いや、悪い訳じゃなくて」

 山岡ちゃんもあたふたした。

 「そそ、なんか、いつもと違うからね」



 吉川さんが二人に聞いた。

 「二人で来るとは聞いていたけど。夕方だと思っていたよ。来るの早かったね?」

 「熊さんが赤ちゃんを連れて来るって聞いたから、見たいと思って」

 「赤ちゃん見て平気?」

 「うん、抱かせて欲しいんだ。赤ちゃんの匂いが嗅ぎたい」

 「そうかぁ」



 玄関の上がり口で揉めていると、熊さん一家がやってきた。

 熊さんが、吉川さんを見るなり言う。

 「なんだ、その頭に付けているの?」

 華ちゃんが言う。

 「バレッタって言うんだよ」

 熊さんは、ジロジロとバレッタを観察した。

 「名前がどうって事じゃないんだ。ピンクだぞ。しかも花がついている。お前自分の年がわかっているのか? もう30超えたんだぞ。ピンクは可笑しいだろう? しかも桜色ってさぁ」


 松本さんが謝る。

 「すみません、僕が……」

 華ちゃんが言う。

 「いや。熊ちゃんは、センスがないから。気にしないで。似合っているから。ねぇ、似合っているよね?」

 熊さんが謝罪した。

 「すまない……。つい」


 松本さんが吉川さんに言う。

 「買い直すから。あのぉ。買い直そう」


 「イヤだぁ。これ気に入ったから、買い直さないよ」

 「え、買い直そう」


 熊さんが、玄関を上がりながら言う。

 「気に入っているみたいだから、放っておきなよ。松本氏」


 華ちゃんが松本さんに言う。

 「何処か部屋貸して貰って良いですか? おっぱいあげたいんです」

 松本さんが赤面した。

 熊さんが華ちゃんに言う。

 「松本さんには、その言葉は刺激が強いぞ」

 「なんで?」


 熊さんが松本さんに言う。

 「刺激が強いよな? 松本氏?」

 松本さんが同意した。

 「そうですね」

 

 その隣で平川くんも赤くなっていた。


 松本さんは、仏間に華ちゃんを案内した。

 それに山岡ちゃんと吉川さんがついていく。


 男子3人は、リビングへ向かった。

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