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華ちゃんが来た


 もう23時も近い頃、華ちゃんが吉川邸にやって来た。


 華ちゃんが緊迫した顔つきで言った。

「熊ちゃんは来てないですか?」

 「え? 熊さん?」

 吉川さんは、まだ熊さんが、華ちゃんと仲直りしていないことを知った。


 吉川さんは松本さんに聞く。

 「知っている?」

 松本さんが言う。

 「知らないよ。まだ仲直りしていないんだ?」


 松本さんが,華ちゃんの様子に心配して聞いた。

 「どうしたの? 華ちゃん。顔色が悪いよ」

 華ちゃんは憔悴していた。

 「お腹の赤ちゃんが重くて、上手く寝られないんです」

 吉川さんも心配した。

 「それは辛いね」


 華ちゃんが頷く。

 「私の周りは、まだみんな未婚で、子供がいないから……。こう言う時に、色々、聞く人もいなくて……」

 華ちゃんが何気にふらついていた。


 「ちょっと座った方がいいよ」

 華ちゃんが玄関に腰掛ける。

 松本さんが、座布団を渡した。


 華ちゃんが言う。

 「私、多分そろそろ、子供が産まれるんですけど。全然熊ちゃんと連絡が取れないんです」

 吉川さんは熊さんがそんな行動をする事に驚いた。

 「え? 全然って」

 「電話は出てくれないし。ラインは既読無視です」


 熊さんは華ちゃんをブロックしているので、それは当然と言えば当然だったが。吉川さんもその事実は伝えられない。それで聞く。

 「会社には電話してみたの?」

 

 華ちゃんは苦しげに言う。

 「会社にかけたら、個人携帯にかけて欲しいと言われて……。出るはずがないですよね? 仕事先に行って会うにも、その現場が分からないし」

 「そうだよね」


 「熊ちゃんが何処にいるかも、私、分からなくて……」

 そして、華ちゃんはお腹を押さえて、俯いてしまう。


 吉川さんは困っていう。

 「大丈夫?」


 すると華ちゃんが変な息を吐く。

 「はっ、はぁ、はぁ、はっ……」


 「華ちゃん、どうしたの?」


 華ちゃんが自分の体について説明した。

 「陣痛かもしれないです。お昼くらいから、なんかお腹がはって。あのぉ、タクシー呼んでください。病院に行きます」


 松本さんが申し出る。

「タクシーは呼ばなくていいよ。僕が送って行くから」


 華ちゃんが病院に、これから行くと電話をかけた。そして松本さんの運転で、華ちゃんの自宅に寄って入院セットをとり、病院へ向かう。病院 に着くと、すぐ診察室へ連れて行かれた。

 そのまま分娩室に行ってしまった。


 華ちゃんが分娩室に行ってから、吉川さんは熊さん電話する。

 3コールで電話に出た。


「熊さん、お願い。別れても良いけど、今日だけは病院に来て。華ちゃんとは色々あったと思うけど。産まれてくる子供は熊さんの子供なんだよ!」


 そして1時間後、渋々熊さんが、病院にやって来た。


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