熊さんと華ちゃんの喧嘩
熊さんと華ちゃんは、食事に来ていた。
オシャレなカフェで、二人は新婚生活を楽しんでいる、はずなのだが。
熊さんはイライラしていた。
華ちゃんが、なかなか食べ物の写真をとり終わらないからだ。
華ちゃんは、カフェやレストンに来ると、必ず写真を撮って、SNSにアップしている。
家での食事も、盛り付けがよく出来ると、撮影してアップすることを欠かさない。
要するに華ちゃんの趣味なのだ。
しかし、その撮影が長いのだ。
熊さんが文句を言う。
「え? また写真取るのかよ。いったい何時まで撮るんだよ」
華ちゃんは、意に返さない。
「だって、SNSにあげるんだもん。皆私の写真見て、喜んでくれるんだよ」
熊さんが悪態をつく。
「どうせ、SNS民なんて、ろくに写真なんてみてねえよ。アップされた写真を、チラって見て、ファボしてるだけだぞ」
でもまだ、華ちゃんは写真を撮っている。
華ちゃんの表情は、不貞腐れていた。
熊さんがキレそうになって言う。
「もう食うぞ。すごく冷めちゃったぞ」
華ちゃんが、強い口調で言う。
「熊さんだって、写真撮るじゃん」
熊さんは、華ちゃんの写真と、自分の写真を一緒にされて、心外だった。
「俺のは、華ちゃんとは違うよ。本気で撮っているんだ。一緒にするなよ」
華ちゃんの顔は曇る。
「酷い。そんな言い方酷いと思う」
熊さんは、華ちゃんの意見には従えない。
「ひどい? なにが酷いんだ。本当のことだろう。俺の写真は、最近少しずつ金にもなってきたんだ」
華ちゃんが喚く。
「なによ。馬鹿!」
「ばかぁ? 俺を馬鹿だって言うの?」
華ちゃんが、心底バカにしたように、熊さんに言う。
日頃から華ちゃんは思っていたが、言わなかった一言だった。
「そうよ。木にしか興味がないくせに」
熊さんは、本気で怒ってしまった。
熊さんは、腹が減ってしたし。
眼の前に並べられた料理もお預けされた。
しかも木を馬鹿にされた。
熊さんが言う。
「そもそも俺はカフェ飯とか、映え写真の為の盛り付けとか、本当に興味ないから。なんだよカフェ飯って。全然腹に溜まらない。たいして旨くもない」
熊さんが席を立った。
「俺、もう良いわ。牛丼屋に行く」
熊さんは華ちゃんを残して、カフェを出て行ってしまった。
華ちゃんは無言だった。
写真を取り続けた。
そして写真をアップした。
そこにはこんな言葉があった。
”優しい旦那様と、カフェでランチです”
”しあわせ”
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