同窓会へ行く
同窓会は、小洒落たイタリアンレストランで行われた。
吉川さんと山岡ちゃんは、同窓会開始時刻から、1時間遅れて店に入った。
既に平川くんと山本くんが、6人がけの席に。2人で座っていた。
平川くんが、吉川さんを見つけて、自分たちの座っている席に呼ぶ。
「ここ、ここ、ここ」
吉川さんが、それを見て、叫ぶ。
「うるさい。分かった。行くから、分かったから」
吉川さんと山岡ちゃんが、平川たちの席に座った。
平川くんが言う。
「遅かったな?」
山岡ちゃんが言う。
「仕事が押してさぁ」
平川くんが言う。
「そうかぁ。それで、飲み物だけど……。ワインとビールしかないんだ。どっちにする?」
山岡ちゃんがワインと言った。
それで、平川くんが、テーブルに置いてあったワイングラスを、山岡ちゃんにだけ渡した。
不満顔で吉川さんが言う。
「私はぁ?」
平川くんがほざく。
「吉川ちゃんは、自分で勝手にやれよ」
平川くんは、テーブルにあったデカンターを手にとって、山岡ちゃんのグラスに、ワインを注いだ。
平川くんの行いを尻目に、山本くんが、吉川さんにビール用のグラスをくれた。
それで吉川さんの機嫌が治る。
「あ、私がビールだって知ってるの?」
山本くんがにっこり笑って言う。
「知っているよ。長い付き合いだろう?」
吉川さんも微笑む。
「そうだね」
山本くんが、テーブルにあったビール瓶を手にとって、吉川さんのグラスにビールを注いた。
山本くんが言う。
「料理はバイキング形式だよ。俺、料理をとってくるよ」
吉川さんが言う。
「私も行く」
そこにスネ子と敦子がやって来た。
敦子はスネ子の親友だ。
スネ子がしたり顔で言う。
「2席空いているよね。座っていい?」
平川くんが言う。
「ここに6人は、狭いよ。他の席が空いているだろう?」
スネ子がニヤついて言う。
「話を聞きたから、入れてよ。ねぇねぇ。山岡ちゃん。離婚したんだって?」
山岡ちゃんが答える。
「ええ、まぁ」
平川くんが、スネ子を止めた。
「永井、やめろよ。そう言うの聞くのさぁ」
スネ子は興味津々だ。
「え? 良いじゃん。聞いちゃダメなの? 私は、お高く止まっていた山岡ちゃんが、私たちのところまで降りてきてくれて、逆に嬉しいよ」
敦子が聞く。
「しかし、意外だよね。結婚して、1年ちょっとですぐ離婚したんでしょう? 何で? 旦那さんが浮気でもしたの?」
スネ子がニタついて言う。
「あの立派な山岡さんが、まさか離婚するなんてね。しかも子供も手放したって聞いたけど。本当?」
吉川さんが山岡ちゃんに言う。
「帰ろうか?」
スネ子が喚く。
「え!!!!!! もう帰るの?来たばっかりじゃん? 話が聞きたかったのに」
平川くんも言う。
「そうだな、帰ろう」
山本くんが、にっこり笑ってスネ子に言う。
「じゃ、俺たち行くわ」
去って行く4人を見送り、敦子が言う。
「出た!山本スマイル。神だな」
スネ子が聞く。
「何? 山本スマイルって?」
「知らないの? 高校の時、アレに悩殺される女子が、結構いたんだよ」
「へー、無口で地味で目立たないから、気が付かなかった」
敦子が言う。
「しかし、逃げられたね。あいつら高校の時から、仲良いし。本当に帰るのかなぁ?」
「追いかけてみる」
「え? 追いかけてどうするの?」
「捕まえる。だって、やっと会えたんだよ」
スネ子の顔は本気だ。
敦子は呆れる。
「平川くん? 何が良いの? あんな鉄オタがぁ」
「高校の時から好きだったんだ。同窓会で会えるって分かって、私、今日はすっごいお洒落してきたんだよ」
スネ子が自分の髪を触りながら言う。
「ストレートパーマもかけたしさぁ。ねぇ、つやつやでしょう?」
敦子の返事は歯切れ悪かった。
「あ、うん」
ストレートパーマをかけたお陰で、大きな顔が余計大きく見えたからだ。
でも敦子は、そう言わなかった。
「ツヤツヤだね」
満足気にスネ子は頷き言う。
「じゃ、私、追いかける」
スネ子は、4人の後を追った。




