呼び出し 3
平川くんが携帯画面を開きながら言う。
「俺のも普通だけどなぁ」
吉川さんが携帯画面を覗き込んだ。
そしてそのうち顔が崩れる。
「アハハハハハハハハ。やっぱり平川は面白いわ!」
「え!!!!!!!!!! そんな事ないだろう!」
「良いよ。謙遜しなくて。面白いからぁ」
山本くんが、興味を持った。
「え? 何? 平川、何をしたのぉ?」
吉川さんが指差す。
「コレコレ。この写真見て」
「え? 何? この写真?」
平川くんが答える。
「俺の腹筋だよ」
吉川さんが写真をまじまじ見る。
平川くんの腹筋のアップ写真だ。
「確かに、シックスパックのいい具合の腹筋だけど。お腹の写真をわざわざあげるセンスがヤバい」
山本くんも同意した。
「ああ、ヤバい。ナルシストだと思われるぞ」
「え? なんでぇ? 俺はこの腹筋を割るのに、1年かかったんだぞ」
吉川さんが驚く。
「1年? そんなにかかるの?」
「腹筋を割るのは大変なんだ。体脂肪率をだなぁ」
吉川さんが。詳しい話を聞くのを、拒否した。
「もういい。そう言うの聞くの面倒だから。もういい」
「え!!!!!!!!!! 冷たいぞ、吉川、仲間だろう? 聞いてくれてもいいだろう?」
吉川さんが携帯を見ながら叫ぶ。
「あ!」
平川くんは、今度は何を指摘されるかと、恐怖する。
「今度は何ィ?」
「鉄道が大好きで、鉄道会社に勤めています。一緒に写真を撮りに行きましょうだって」
山本くんが真顔で言う。
「アウトだな」
吉川さんも言う。
「うん、アウトだね」
吉川さんが平川くんの肩を叩いて言う。
「やっぱり、平川はやってくれるよ。できる子だ!」
平川くんには吉川にアウトだと言われても、さっぱりわけがわからない。
「ちょっとぉ、どう言う意味。鉄道が好きってダメなの?」
吉川さんが説明した。
「う――――ん。ダメとは言わないけど。私はイイねしないかなぁ。なんかこだわりが強そうでさぁ」
「え? こだわり?」
「そうそう。男の趣味は際限ないからさぁ。わざわざプロフィールにまで書くって、ちょっとヤバそう」
「でも、これが俺だろう? 筋トレにハマっていて、バスケが好きで。鉄道オタだ」
「まぁ、そうなんだけどさぁ」
「嘘をついて、イイねされて、付き合っても、続かないだろう?」
「でも、会って人柄を知ってくれてから、そう言う部分見せたら、許してくれるもあるんじゃない?」
「そうかなぁ? 俺は違うと思う」
「そうかぁ。じゃ、良いんじゃない? 頑張れ!」
「イヤイヤイヤイヤ。今俺はアプリじゃないから。山岡ちゃんだから。なぁ見せたんだから、今度は吉川が約束を守る番だぞ」
吉川さんが適当な返事をした。
「ハイハイハイハイ」
平川くんが言う。
「ハイは1回だろう?」
「ハイハイハイハイ」
「だからハイは1回だぞ!」
「真面目か?」
平川くんは主張した。
「俺は真面目なんだ! 俺は真面目なんだぁ」
吉川さんがニッと笑う。
「知っているよ」
平川くんは赤面する。
吉川さんが言う。
「でもさぁ。頂戴」
「何を?」
「この腹筋のアップ写真、欲しい」
そして嫌がる平川くんから、吉川さんは、腹筋写真をゲットした。
飲み会の帰りがけ山本くんが言う。
「おい、平川。メガネ忘れてんぞ」
平川くんが慌てて席に戻る。
「俺、酔うとメガネを外して、よく無くすのよ」
平川くんがメガネを掛ける。
吉川さんが言う。
「メガネかけた方がいいね」
平川くんは心外だ。
「俺はかけない方がいい男だって思うけど」
吉川さんが大笑いする。
「平川なんて、少しでも顔隠しておきなよ」
山本くんが吹き出す。
「山本まで笑って酷いぞぉ」
「ごめん、会話が面白くて……」
山本くんの笑いが止まらない。
それで、3人で大笑いした。
居酒屋の外に出ると、松本さんが吉川さんを迎えに来ていた。松本さんが、車から出て来て、軽く平川くんと山本くんに挨拶した。それから吉川さんは、松本さんの車に乗り込んで、さっさと帰って行く。
平川くんが言う。
「吉川は良い彼氏出来て良かったな」
山本くんが「ああ」とだけ言った。




