呼び出し 2
吉川さんは、山本くんの恋愛話が、ぜひ聞きたい。
「マジ? なになに? 聞かせて!」
山本くんが、考えながら言う。
「大した話じゃないよ。仕事が忙しくて、数ヶ月で自然消滅した」
吉川さんはガッカリした。
「婚活アプリでカップリングしても、関係が続くのはムズいね」
山本くんはサバサバという。
「そうなんだよ。なんせそもそも無関係だからなぁ。何の接点もない人だろう?」
「そうだよねぇ」
「写真と条件で選んだだけで、付き合い始めた段階で、まだそれほど好きって訳でもないからさぁ」
吉川さんが男の気持ちを聞いた。
「男の人もそうなの?」
「他の奴らは知らないけど。俺はそうだよ。3回目で、一応告白したけど。3回会って、好きってどうなの? 好きなれるもん?」
平川くんが主張した。
「3回も会えば分かるだろう? 好きか嫌いかなんてさぁ」
山本くんが言う。
「まぁ、平川ならそうだろね」
平川くんが不貞てたように言う。
「どう言う意味?」
吉川さんが気を取り直して聞いた。
「もう良いよ。それで、まだ登録残っているの?」
山本くんが言う。
「残っているよなぁ、平川。お前もまだアカウントあるんだろう?」
「ある……。でも全然開く気しない。それでも、無料分のファボだけはしている」
大方の婚活アプリは、男性は無料でイイねできる1日の回数が決まっている。それを超えると有料となる。
吉川さんがおねだりした。
「見せて」
平川くんが拒否る。
「嫌だよ」
吉川さんは是非みたい。
「見せてくれたら、山岡ちゃんを同窓会に誘って上げる」
平川くんが訝しげな目で言う。
「え……、本当?」
「本当、本当。私、頼んであげる。来るかは分かんないけど」
山本くんが言う。
「俺は見せないよ」
「え――、二人の見せてよぉ。写真とかメチャ見たいし。プロフィールに何書いてんのよぉ」
山本くんが言う。
「平川のだけでいいだろう?」
吉川さんがごねる。
「やだやだやだ。見たい。見せてぇ。うーん。じゃ、分かった」
山本くんが不思議に思う。
「何が分かったの?」
「二人共見せてくれたら、山岡ちゃんと、平川が二人っきりになれるように、協力するから」
平川くんが、山本くんに頼む。
「山本、お願いだ。吉川に見せてやってくれ。俺も見せる」
山本くんが渋い顔をした。
「え、まじぃ。本当、プライバシーの侵害だよ」
平川くんが再度頼む。
「お願いだぁ。俺の人生がかかっている」
「平川ァ、お前は大げさだよ」
仕方無しに山本くんが、携帯をポケットから出した。
そして携帯を開いて、アプリをタップする。
山本くんが吉川さんにみせる。
「はい」
吉川さんは嬉しそうに、携帯を覗く。
そのうち不満な顔に変わった。
山本くんが聞く。
「浮かない顔だけど?」
吉川さんは大不満顔だ。
「つまんない。山本くんのプロフィールは、普通でつまんない」
平川くんが聞く。
「吉川、お前は何を期待していたんだ?」
吉川さんが悪い顔して言う。
「いやぁ。面白い写真とかさぁ。変なプロフィールとかぁ。そう言うのがみたいじゃん。そうだ、平川のみせて。あんたのはきっと面白いはず」
平川くんは憮然とした。
「どう言う意味。俺のも普通だぞ」
吉川さんが急かした。
「いいから。いいから。見せて」




