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僕は君の謎々が解けた


 松本さんは、後10分でアパートを出なきゃならなかった。

 そうしないと、アプリで知り合った、飯田さんとの待ち合わせに、遅れてしまうのだ。

 

 松本さんは、吉川さんに、2セット選んでもらった服の、1セットを着た。

 吉川さんが、2セット服をコーデしてくれて、言ったのだ。

 「女と会う時は、この上下を、交互に着ていけばいいんじゃないの?」


 それで、松本さんは、この間着なかった組み合わせを着た、という訳だった。

 松本さんは、服を着て、そしてこれまた吉川さんに選んでもらった靴を履こうと、玄関に行く。


 

 吉川さんが言った。

 「靴は、白と黒を1足づつ持っていたら大丈夫だよ」

 松本さんは、頭を左右に激しく振った。

 ――だめだ、飯田さんに会うのに、思い出すのは吉川さんのことばかりだ――



 インフォーメーションカウンターでの制服姿の吉川さん。

 ブラとパンティ姿の吉川さん。

 旅行の時の、浴衣姿の吉川さん。

 裸ん坊の吉川さん。

 泣いている吉川さん。

 笑っている吉川さん。

 拗ねる吉川さん。

 肉を焼く吉川さん。

 タバコを吸う吉川さん。

 


 松本さんの頭の中は、色々な吉川さんで溢れていた。


 ――思えば、ずっと吉川さんの周りを徘徊していた――

 ――しかし、吉川さんは、1000イイねもされる美女――

 ――しかも、今アプリで知り合った、高学歴高収入の男に、告白される寸前だ――


 

 松本さんは思う。

 

 ――僕でも、僕のことは選ばない。あのアプリの男性を選ぶよ――

 ――僕は、吉川さんの暇つぶし程度の男だったんだ――

 ――吉川さんは、たぶん、僕をからかって遊んだだけなんだ――

 ――高学歴、高収入男子と付き合うまでの、つかの間に遊び相手――

 


 松本さんに、吉川さんは、尊すぎると思えてならなかった。

 

 長年、男子校と、男子しかいない大学で過ごし。

 就職先でもろくに女がいない、そんな人生を過ごしてきた松本さんは、自分の男としての魅力が、思い浮かばない。


 24歳で、初めて付き合った女の子に、数ヶ月でフラれた。

 その時、女の子が言った。

 「松本くんは、頼りないから、嫌になったの。ハッキリしなくて、イライラする。男って感じしない」


 ――優柔不断で、頼りない――


 アプリで会った女の子にも言われた。

 松本さんは、その言葉に、今押しつぶされそうだった。


 ――僕に良いところなんて一つもない――


 

 松本さんは、玄関に腰をおろした。

 そして、松本さんは、謎々を思い出す。

 

 ――それに、あの謎々の意味がわからない――

 ――問いは、たぶんラインを何故教えないか? 辺りだと思う――


 松本さんは、玄関に腰をかけたまま、頭を抱えた。



 ――セックスした人には、友だちにならない。ラインは教えない――

 ――知り合いならもっと教えない――

 ――友達とはセックスしない――


 

 松本さんは、エッと思った。


 ――じゃぁ。誰なら教えるの?――

 ――じゃぁ。誰ならセックスするの?――


 松本さんに頭の中に、答えが浮かんだ。

 松本さんが、靴を履き出した。


 ――吉川さんが言った。“松本さんとは友達になりたくない” だったら、僕の何になりたいの?――


 松本さんがつぶやく。

 「問いが解けて、それでも……、だったら教える……」



 そして目をキラキラさせて言う。

 「分かった。答えが分かった」


 それから、松本さんは気がつく。

 「え? それってつまり……。吉川さんは、僕がぁ……」


 松本さんは、耳まで真っ赤になった。


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