熊さんのリアル彼女と会う
琴音ちゃん事件から、2週間ほど経った頃だった。
吉川さんが、仕事が終わって家に帰ると、リビングに熊さんがいた。
そしてその横に、可愛い女の子がいた。
吉川さんが会釈した。
「どーも」
女の子も会釈した。
熊さんが、女の子を紹介した。
「華ちゃんだよ」
吉川さんが言う。
「めちゃ可愛いね」
華ちゃんは褒められて、嬉しそうに笑った。
華ちゃんは、相澤さんくらい可愛良いと、吉川さんは思う。
――可愛いし、愛らしい――
――若くて、小柄で、素直そう――
――私は、女として、負けている――
――私は、フラれて当然だったんだな――
吉川さんが言う。
「ここで何しているの?」
熊さんが言う。
「俺たちこれから北海道に行くのよ。それで、荷物を取りに来たんだ」
華ちゃんが補足した。
「2週間も行くんですよ。熊ちゃんが、2週間も休みをとってくれたんです。レンタカーであちこち行くんです。小樽とか、夕張とかぁ。楽しみです」
吉川さんが羨ましげに言う。
「ほうほう、2週間も休みを。良いなぁ。私の時は、1日だって休んでくれなかったよ。インフルで40度の高熱が出ても、放置されたもん。弁当1つ買ってきてくれなかった」
華ちゃんが熊さんを見て聞く。
「本当なの? それは酷いよ」
熊さんが謝った。
「悪かったと思っているよ。あの頃は、俺も仕事が忙しくて。大事なクライアントと仕事していてさ」
熊さんが更に言う。
「華ちゃんを家に上げて悪かったよ。中を見たいって、華ちゃんに言われてさ」
華ちゃんが悲しげな顔をした。
吉川さんが言う。
「いいよ。あがっても。うちで、華ちゃんとセックスしないなら、いつでも歓迎するよ」
すると華ちゃんの顔が真っ赤になった。
熊さんが動揺した。
「やめろ。華ちゃんは、吉川と違って純粋なんだ」
吉川さんは、その言葉を悲しく感じた。
でも平気なフリで言う。
「あー、そうですか。私は汚れているんですね」
それを聞いて、華ちゃんが笑う。
“華ちゃんに笑われて、吉川さんは、傷ついた”
“でもそれは秘密”
吉川さんが言う。
「もういいよ。旅行を楽しんできて」
そして、華ちゃんと熊さんは、仲良く手を繋いで、家から出ていった。
その様子を眺めて、吉川さんが独り言を言う。
「この家に、このまま一人で居たら、荒れそう。荒れて、荒れて、おかしくなりそう」
吉川さんは、山岡ちゃんにラインした。




