表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/64

君が僕にお礼する 4


  吉川さんが、平川くんと山本くんの席に近寄って言う。

 「じゃぁ、先帰るわ」

 平川くんが「おう」と言い。

 山本くんが、吉川さんの顔を見て、にっこりと頷く。

 吉川さんはそれに、微笑み返した。


 琴音ちゃんは、吉川さんと山本くんの様子を、じっと見ていた。

 そのまま琴音ちゃんは、去っていく吉川さんに視線を向け続けた。

 そして琴音ちゃんが立ち上がった。

 

 琴音ちゃんが隣に座る、オレジン色のカーディガン着た女の子に言う。

 「パウダー室に行ってくる」

 琴音ちゃんが、席から離れていく。


 それを山本くんが見て。

 山本くんも席を立った。

 平川くんが山本くんに聞く。

 「おい、山本、何処に行くんだ」

 それで、平川くんが山本くんの後を追おうとした。

 しかし、平川くんの携帯が床に落ちて、後を追うのが少し遅れる。



 琴音ちゃんが行った先は、店の外だった。

 外にまだいた吉川さんと松本さんを見つけて声をかけた。

 


 「あの、吉川さんですよね?」

 「あ、ぁ。琴音ちゃん?」

 「そうです。あの失礼なんですけど。吉川さんは山本さんをどう思っていますか?」

 「え? 何? 友だちだけど。それが何かぁ……。あの琴音ちゃん。琴音ちゃんは何か誤解しているよ」

 「友達なんですね? 男性として好きじゃないんですね?」

 「ちょっとぉ、待って。何? いったい?」

 「その隣の男の人と、付き合っているんですか?」

 

 「え、え、え、え……。あのぉ。付き合っては、まだ、いないけど」

 松本さんが、吉川さんの”まだ”に、異常に興奮して言う。

 「まだぁ」


 そこに山本くんが来た。

 山本くんが怒って言う。

 「琴音ちゃん。吉川ちゃんに絡むのは止めて欲しい」

 琴音ちゃんが吉川さんを睨む。

 「吉川さんが、ハッキリしないから。色々な男が宙ぶらりんになって、何処も行けなんです」

 

 吉川さんにそんな気持ちは微塵もない。

 なのに、琴音ちゃんがキツく言う。

 「美人だからって、男を唆して、侍らせるのは止めてください」

 

 吉川さんは、琴音ちゃんの気迫に押されてしまう。

 吉川さんはつい謝ってしまう。

 「すいません。でもあのぉ。そんな事はしていない……、んじゃなかとぉ」

 

 琴音ちゃんが大きな声で言う。

 「はっきりしてください。誰が好きで、誰と付き合っているか」


 吉川さんが松本さんを見た。

 松本さんも吉川さんを見る。

 その二人の様子を山本くんが見る。



 その3人を琴音ちゃんが見ていった。

 「山本さんには、もうチャンスはないみたいですよ」

 山本くんが琴音ちゃんを冷たい目でみた。

 

 山本くんが琴音ちゃんの耳元で、琴音ちゃんにだけ聞こえるように言った。

 「本当に、ウザいんだけど。消えてくんない」


 琴音ちゃんの表情がこわばった。流石の琴音ちゃんも、山本くんの言葉が突き刺さった。

 琴音ちゃんが山本くんの顔を見上げた。山本くんの表情は冷たい。琴音ちゃんは自分がやり過ぎた事を今更知る。

 琴音ちゃんが、ノロノロと、道沿いに歩き出す。琴音ちゃんは、店内に戻る気持ちに、なれなかったのだ。


 そこに平川くんがやってきた。

 平川くんには、今の状況は分からない。

 しかし琴音ちゃんが、肩を落としてノロノロと、何処かに向かっていくのだけは分かった。

 平川くんが琴音ちゃんを追い、そばに寄って、何か話しかけ始めた。


 山本くんが、吉川さんと松本さんに言う。

 「俺、店内に戻るわ。じゃまた」


 吉川さんが言う。

 「うん、また」

 松本さんは唖然としていた。

 「これでいいんですか?」

 吉川さんが言う。

 「私には難しくて、よくわかんない。平川センセーに任せよう。平川は、昔からキャプテンしたり、リーダーしてる人だからね」

「へー。そうなんですか?」

 「そうそう。だから平川は、こんな時は、毎回問題処理班だから」

 

 松本さんが聞く。

 「問題処理班てなんです?」

 「平川ってさ。クラスやチームで問題が起きると、処理する人なんだ。特に山本くんが、たまに仕出かすから、それを収めると言うかぁ。まぁ、山本くんと平川は、良いコンビって事だね」

 松本さんは、わかったような、わからないような顔をした。


 吉川さんがうんざりしたように言う。

 「私は時々、山本くんの女関係に、何故か巻き込まれるんだよね」

 松本さんが、店内に戻る山本くんを見た。


 吉川さんが言う。

 「もう1軒行かない? なんかテンションダダ下がったから」

 松本さんが言う。

 「じゃぁ、次は僕のお勧めの店に行きましょう」


 二人は、琴音ちゃんと平川くんを通り越して、松本さんお勧めの店に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ