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親友と共に最強目指してみた  作者: アキンフェンワ
ミズガルド大陸編
29/29

新たなる旅の幕開け

第29話です。

新章ミズガルド大陸編スタートです!

 あの祝賀会が幕を閉じてから数日が過ぎた。この間にカナリアとハルタはカナリアの祖国へ向け央都を発った。俺はというと、ミズガルド大陸遠征の計画につてノルデンとガムーと話し合っていた。ディアブロからの攻撃を受けた央都も央都の人々の協力によってみるみる以前の喝采を取り戻していっていた。


 とある日の午後俺は宿でノルデンと食堂で話をしていた。


「タツキ、お前ミズガルド大陸に行くのはいいが、武器を持っていないじゃないか」


「そうでした。すっかり忘れていました」

 俺が愛用していた双剣はディアブロとの戦いで破壊されてしまった。


「ってことは新たな物を新調しないとですね」


「そうだ」


「今日の午後武器屋街に行って良さそうなものを買ってきます」


「お前はまた中古を買う気か?」


「そのつもりですが…」


「全くお前ってやつは、はぁ」


 ノルデンが呆れてため息をついた。


「これからユグドラシア大陸より危険な場所へ向かうって言うのに、中古だ? お前は自分を預ける武器が中古でも安心して戦えるのか?」


「それはそうですが、他に方法はあるんですか?」


「よく考えてみろ。武器はどうやって生み出されるんだ?」


「そうか! 鋳造ですね」


 今まで中古のものでやりくりしてきたから、一から武器を作るという考えが頭の中からすっぽり抜けていた。


「気づくのが遅すぎるぞ。というわけでこれから私の古くからの友人がやっている鋳造屋へ行くぞ」


「了解です」

 約一年ユグドラシルで過ごしてきたわけだが、今まで鋳造屋を一度も見たことがない。果たしてどこにあるのだろうか。


 俺は誘導されるままにノルデンについて行くと、到着したのはギルドだった。


「ここギルドですけどあってるんですか?」


「ついて来い、そのうちわかる」


 ノルデンが受付でギルド会員証である指輪を見せるとギルドの受付の人が奥へと通してくれた。すると現れたのは地下へと続く階段だった。階段の奥からはほのかな光が漏れ出していて、がやがやと複数の人が話している音が聞こえた。


 俺はその階段を降りると驚いた。そこには商人街が奥へと果てしなく続いていた。


「ここは?」


「ここはユグドラシルで唯一の商人街だ。今まで鍛冶屋なんかを央都で見てこなかっただろう。商人は全員ここに集まっているからだ。その方が加工から組み立てまでの動作の効率が良いからな」


「なるほど」

確かにこういうシステムの方が手間が省ける。


 商人街の入り口から少し入った所でノルデンが立ち止まった。鍛冶屋を実際に見るのは初めてだったが想像していたよりも作業場は汚く、焦げた匂いで臭かった。するとノルデンは店主に向かって話し始めた。


「相っ変わらず汚い店だな。これじゃ客も来てないだろ」


「なんだと貴様何もわからねぇど素人が喧嘩売ってんのかぁ? あ゛?」

 いくらノルデンさんが喧嘩腰とはいえ、客に向かってこんな口調とは。鍛冶屋の店主は小柄な男であったが、今までの経験から俺の神経がこいつは強いと脳内で俺に語りかけてきている。


「頭がボケて、私が誰かも忘れてしまったのか。見損なったぞ馬鹿め」


「ん? どっかで見たことあるような…。 ノルデンじゃねぇか! なんでここにいる? あの事件があってから姿を見せねぇから心配したんだぞ」


「お前にも心配する心があったんだな」


「変わってないな、俺に喧嘩を売る癖は。 一戦やって黙らせてやろうか? あ゛?」


「今日は雑魚のお前と一戦やるために来たわけじゃない。こいつのことで来たんだ」

ノルデンが俺を親指で指し示した。


「誰だこのへっぽこは?」

 へっぽこと言われるのは気に食わなかったが、とりあえず事情を話すことにした。


「タツキです。一年前からノルデンさんの宿で居候させてもらってます。先日の央都襲撃の際、愛用していた双剣を恥ずかしながら敵に破壊されてしまいました。そこで新たなものを新調したくてここに来ました」


「そうか。お前その防具どこで買った?」

 男は鋭い視線を向けながら言ってきた。


「央都の中古の武器屋街で買いました」


「なんだと。くそが、俺が売ったのが間違いだった」


「どういうことですか」


「それは俺が作った防具だ。俺がせっかく作ってやったのに元の持ち主が売ってしまうとは許せねぇ。今すぐにでもぶった斬ってやりたいぐらいだ」

 これが俗にいう職人魂という物だろうか。


「こいつの名前はユダだ。少し気に触ることがあることがあるかもしれないが許してやってくれ」

 そういえば買ったときには気にしていなかったがこの防具にはユダという名前が記されていた。


「ユダさん、よろしくお願いします」


「で、お前は双剣が今欲しいんだよな。どんなのがいいんだ? あとその防具も貸せ」


「どういう物にしようかはまだ決まっていません」

 俺は防具を取り外し、彼に手渡した。何をするのかと思うと、彼は防具を拡大鏡で防具を見始めた。


「だいぶ傷んでるな。そろそろこいつも耐え切れなくなって壊れるぞ。後でこいつを打ち直してやろう」

 ユダから防具を返された。


「ユダ、こいつはそれなりに強い。だからそれなりに良質な双剣を作ってやれ」


「お前に言われる筋合いはねえ」

 

「俺の方からもよろしくお願いします」

 俺は頭を深々と下げた。


「客に頼まれては仕方がないな」


「私のことは客と思っていないわけか」

 ノルデンが不貞腐れて少し不機嫌になった。


「そんなことはどうでもいいだろ。それより申し訳ないんだが、お前に見合うような武器は今作れない」


「何ですか!?」


「最近央都襲撃があったせいで大量に武器を作るのに素材を使ってしまって、手持ちが今ほとんどない状況だ」


「素材ですか。具体的にどのようなものが必要なんですか?」


「それは作る武器によって変わってくる。だからどの素材を使った武器を作りたいのか先に決めた方が良い」


「ノルデンさん、どうしたらいいと思います?」


「そうだなぁ。それなりに強い武器を作りたいから強いモンスターの素材を手に入れる必要があるな」


「そうだ! こういうのはどうだ?」

 ノルデンが何やらひらめいたようだ。


「ユダ、こいつはこれからミズガルド大陸へ渡るんだ。そこで素材を回収してお前が武器を作るっていうのはどうだ?」


「却下だ。なんで俺もミズガルド大陸へ行かなければいけないんだ。そんな無謀なことができるわけないだろ」


「言っておくがタツキはに今投資する価値はあると思うぞ。こいつは今のお前より少し弱いくらいだ」


「こんなガキがほとんど同等の力を持っているだと? 冗談を言うな」


「じゃあこれでどうだ? もしお前がタツキと戦ってタツキが互角に戦ったらお前もミズガルド大陸へ同行する」


「いいだろう」


「タツキ、お前もそれでいいか?」


「はい。でも俺たぶん彼に勝てませんよ」

 脳裏にうっすら自分が負ける未来が浮かんでいる。


「ノルデンさんとユダさんはどんな関係なんですか」


「そうだなぁ。私からすればユダは部下みたいなもんだ」


「そんな口たたいておいて、ノルデンお前、タツキとの一戦あともちろんお前も俺との対戦受けるよな?」


「ああ、もちろんだ。お前が倒れてなければの話だが」


「よし、ほらお前はこれを持て。一時的な武器だ」

 俺は双剣を受け取った。今まで持っていたものよりもずっと軽かった。


「これは俺がたまに使ってる双剣だ。俺が一から手間をかけて作ったから、今までのものよりもずっと扱いやすいはずだ。じゃあ行くぞ」

 ユダと共に商人街の奥へと進んだ。

 

 



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登場人物一覧


タツキ・・・この物語の主人公。現実世界では海田高校の生徒として生活していた。彼は慎重に物事を捉えていつでも冷静な判断を下す。異世界に来てからは風の大精霊シルフィードから加護を授かり力を秘めている存在として周りから一目置かれている。

ハルタ・・・二人目の主人公と言っても過言ではないこの物語の重要人物の一人。彼はハルタと同じ海田高校の生徒。いつでも周りと明るく接し、お茶目な部分もある。異世界に来てからは火の大精霊イフリートから加護を授かった。剣術よりも魔術を得意としている。

ノルデン・・・獣人。サザンカ村で宿屋を営んでいる。元最強パーティーの龍の牙のメンバーでありユグドラシルでは最強と謳われている。異世界に来てからはタツキとハルタに剣術を教えた師匠的な存在でもある。大雑把な性格だが、なにかと頼りになる人物。

シーナ・・・獣人。サザンカ村で宿屋を営んでいる。異世界に来たタツキとハルタを第一に発見して介抱した人物。宿では料理から掃除まで全てをこなす。密かにタツキに思いを寄せているという女の子らしい一面も持つ。

カナリア・・・学校で同じクラスのエルフ。控えめで活発なシーナと比べると静かな女の子。剣術・魔術両方平均的にできる。未だに彼女の正体はよくわかっていない。

ウルド・・・学校で同じクラス。彼はユグドラシルの貴族出身であり、タツキなどの友人はもちろん先生と話す時でさえ上から目線で話してくる。魔術を得意とする。

ガリウド・・・獣人。ユグドラシルで宿を営むノルデンの弟。愛想が良く、タツキとハルタはガリウドに信頼を置いている。

ガムー・・・ミズガルド大陸出身。低身長だが体つきはよく、立派な髭を生やしている。ノルデンとガリウドの古くからの友人。タツキとハルタにやさしく接する。独特の口調でしゃべる。

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