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親友と共に最強目指してみた  作者: アキンフェンワ
第一章  ユグドラシア大陸編
27/29

合否発表

第27話です。

 戦闘場中央の壇上にいるテレシア先生が立ち上がって話を始めた。


「皆さんお久しぶりです。もう知っていると思いますが一週間前、央都はディアブロによる襲撃を受けました。私はフレイヤ先生とある生徒四人と戦場に出ました。私はそこで生徒達のディアブロとの戦いぶりを見て感激を受けました。ぜひこの場を借りてその生徒達を紹介をさせてください。タツキさん、ハルタさん、カナリアさん、ウルドさんその場で立ってください」


 全生徒の前で名指しで呼ばれると思ってもいなかったので緊張で心臓の鼓動が速まった。


「この四人は私たちの央都を守る為に尽力してくれました。それを讃えて拍手を送りましょう」


 戦闘場に拍手の嵐が巻き起こった。今まで地道な努力を重ねて強くなれたことを光栄に思うと同時にさらなる力を手に入れたいと思った。


 拍手が止み始めると足早に席についた。


「それでは合否発表を行います。合否が書かれた幕をこれから下ろします。そこには卒業試験の成績が良かった順に名前を載せてあります。合否だけでなく、自分がどの位置で卒業するのかもよく確認してください。では」


 テレシア先生が手を叩くと宙に浮いていた幕が下がり、名前の一覧が出てきた。俺は自分の名前は全体の半分くらいに位置してることを予測して下から順に目を通した。


「あったー! あったー!」


 カナリアが嬉しそうに隣で声を上げた。


 俺は中間まで目を通したが自分の名前を見つけることが出来なかった。ということは半分以上に入っているということか? 不合格という可能性もないわけではない。


「なんだとこの俺の名前が三列目だと? 試験であんなに早く相手を倒したじゃないか!」


 カナリアに続いてウルドが声を上げた。三列目ということは上位25%ぐらいっていうところだろうか。自分の高いプライドのせいでウルドは納得が行っていないようだ。


 俺はあと二列のところまで確認してきたが、名前が一向に見つからない。これは落ちたのかも知れないな。


「ハルタ、お前の名前あったか?」


「うーんと……。あった! 今見つけた。一列目にあったよ。タツキはまだ見つけてないの?」


「うん。もしかしたら落ちたのかもな」


「それはないでしょ」


「だといいんだが」


 再び名前一覧を上に上に目を通していく。二列目の一番目まで目が通し終わり最後の一列のみとなったところで、ふと一位が誰なのか気になったため、一列目の1番目へ目をやった。


「一位の人はタツキ? え、俺? ないない、同名の他人だろう」


「タツキ君だよ! 一位!」


 カナリアが自分の事のように喜び出した。


「おいおいおい、まじかよ。タツキ凄いな」


 ハルタが手を額に当てながら驚いた。二人とも驚いているが、俺はただ全力を尽くして戦っただけだぞ。戦略とか駆け引きとかはあまり考えずに。


「本当に俺なのか? でも俺そんなに凄かったか?」


「いい加減認めろ。一位はお前だ。凄かった。これ以上言わせるな」


 ウルドが少し怒ったような口調で言った。顔を見ると悔しそうだった。本当に一位なのか分からなかったのがもしかしたら彼には謙遜として聞こえてしまったのかも知れない。ウルドが正直に俺のことを認めてくれるのは初めてのことかもしれない。


「俺は一位なのか…」


「タツキあまり嬉しそうじゃないな」


「もちろん嬉しいし、誇りに思ってるよ。けれど自分より強い人や自分が敵わないモンスターがこの世界にはたくさん存在していることを知ってるから、自分はまだ弱いと思って」


「素直じゃないなー、タツキ君は。もっと喜びなよせっかくの一位なんだから」


「カナリアの言う通りだ。今はそんなの考えずに喜ぶべきだ」


 ハルタがカナリアに加えて言ってきた。


 カナリアが言っている通り少し深く考えすぎたのかもしれない。これを元の世界で言うと校内模試で一位のようなもんだ。もっと喜ぶべきだな。俺は三人にぎこちない笑顔を見せた。


「これで俺たちもとうとう卒業だな。こうして振り返ってみると一年って早かったな」


 ハルタが腕を後ろに回し、上を向きながら言った。


「確かに! もう終わっちゃうのって感じだよね。もう二、三年ここで過ごして飽きなさそう」


「そういえば前に言っていた通りカナリアは国へ帰らないといけないんだよな」


「うん、残念だけど。でもみんなが父を説得しにきてくれるんでしょう?」


「もちろんさ! あの時みんなで約束した通りだよ。なぁ、タツキ?」


「ハルタ、申し訳ないが俺は微妙だ。先日話した通り俺はこの後どこかへ旅に出る予定だ。だからカナリアには申し訳ないけれど、説得しに行くことは約束できない」


 確かにカナリアの国へ旅をしに行くのも良いと思う。だが、俺はどちらかと言うと他の大陸へ行ってみたい。他の大陸はどのようになっているのか、そして、どんなモンスターがいるのか気になる。


「タツキと一緒で俺もだ。まだ予定は決まっていないがこれから上級冒険者を目指して鍛錬に励むつもりだ」


 ウルドらしい答え方をした。彼の戦い方をみていると毎回素質があるように思う。これから強くなって追い越されないか正直言って心配だ。


「そうだよね」


「これに関しては仕方がないか。皆目指してるものが違っているもんな。でもカナリア、俺は絶対に説得しに行くから。卒業後でもいい、一緒に行こう!」


 ハルタはやけにやる気だ。どうしたんだろうか。


「ありがとうハルタくん」


「そういえば明日皆暇か?」


 明日はノルデンさんが企画した防衛戦成功と卒業祝いを兼ねた祝賀会が催される。明後日は卒業証明書授与が行われる。


「何かあるのか? もしや俺との対決の申し込みか?」


 ウルドはどうやら俺と手合わせをしたいらしい。結果はなんとなく予想がついてしまう。


「そんなわけないだろ。明日ノルデンさんがみんなで卒業祝いと央都防衛戦勝利の祝賀会を開こうって」


「ふっ、明日はたまたま予定がない。行ってやる」


 いつも通りの口調でウルドが答えた。


「楽しそう! 絶対行く!」


「よし、皆来れるな。もしできたらでいいんだが、イヴェルさんも連れてきてきてくれ。このパーティーには防衛戦の関係者も呼ぶつもりだ」


「盛大なパーティーになりそうだね。兄さんにも言っておくね」


「無事合否も確認できたことだし帰るか。タツキは先生達に招待状渡すんだろ?」


 俺はノルデンさんから先生に招待状を渡すように言われていた。


「うん、だから三人は先に帰っていてくれ」


「わかった。じゃあタツキくんまた明後日」


「招待状よろしくな」


「了解!」


 三人と観客席で別れた後、テレシア先生がおそらく居るであろう校長室へ向かった。校長室は今まで一度も入ったことがなく、中がどうなっているのか楽しみだった。


 校長室に到着してドアをノックした。すると中から返答があったので入った。中は図書館のように本がずらりと壁一帯に並べられていて、入って正面にテレシア先生が座っていた。テレシア先生は紅茶のようなものをすすっていて、その甘い香りで部屋が満たされていた。


「卒業試験主席での合格おめでとうございます。それで用件はなんですか?」


「ノルデンさんからの招待状を届けに来ました。明日ノルデンさんが祝賀会を開くのでよろしければテレシア先生にご参加いただきたいです。これが招待状です」


 テレシア先生に手紙を手渡した。すると先生はすぐに封を開けて招待状を読み始めた。


「内容は読みました。急用が入らなければ伺います。フレイヤもおそらく行けると思います。それにしてもあの子は大胆なことを考えますね」


 あの子というのはおそらくノルデンのことだろう。


「そういえばテレシア校長、先日の防衛戦ではお世話になりました。また、今日の合否発表で指名されたことは光栄に思います」


「全てあなたの力ですよ。卒業後もあなたの活躍に期待しています。それで今後どうするかは決まりましたか?」


「何となくですが。ユグドラシア大陸ではない大陸へ旅、いえ、冒険をしに行こうと思ってます」


「それは興味深い。どこの大陸に行こうと思っているんですか?」


「それはまだ決めていないです。もしも先生が他の大陸に行くことになったら、どの大陸に行きますか?」


「そうですねぇ……。ミズガルド大陸だと思います。なぜかというと一番ユグドラシア大陸から近いからです」


「ミズガルド大陸……」


 ミズガルド大陸と言われるとガムーのことが思い出される。そういえば一年後にまた来るって言っていたな。ガムーと一緒に渡航するのも選択肢のうちの一つだと思った。


「分かりました。考えてみます。ではまた明後日よろしくお願いします」


 そう言って校長室を後にした。


 宿に戻るとシーナとノルデンが暖かく向かい入れてくれた。


「お帰りなさいタツキ!」


 シーナが待ち侘びていたのか苦しいくらいに抱きついてきた。


「ただいま」


 シーナの声を聞きつけたノルデンが食堂から出てきた。


「全く困ったもんだ。一日中ずっとこんな感じだったんだぞ、どうしてくれるんだタツキ」


「え? 俺ですか」


「まあ良い。卒業試験一位だったんだってな、ハルタから聞いたぞ。さすが私の弟子だ!」


 ノルデンさんが近づいてきて頭を目一杯頭を撫でてくれた。こんなに嬉しそうなノルデンは初めてだ。


 とても居心地が良いこの世界からもう離れたくないとこの瞬間思った。それに加えて現実の世界なんてもはやどうでもいいと思ってしまった。



ーーその頃とある場所にてーー


「トロォォォォニィィィィーー。例の加護持ちはどうした?」


 巨体を持ち、頭から大きな角を生やした男がトローニにとてつもない声量で問いただした。彼からは強い闇のオーラが放たれている。邪悪という言葉を擬人化したような男だ。


「取り逃してしまいましたぁ。そのうちまた襲撃しに行きまーす。そうだ、ケルビはあっさり加護持ちに倒されましたぁ」


「今度は必ずだぞ。あんな雑魚は必要ない。我に殺されずに済んだだけの話だ。どっちにしろ足手まといだと思って処分しようと思ってたところだ。ハハハハハッ」


「それで次はどこを襲撃すればいいのかなぁ?」


「・・・大陸だ。たくさん殺してたくさん荒らせ。連れてきたい駒ががいたら勝手に連れて行け。だが失敗はするなよ。わかったかトローニィィイイイ?」


「了解しましたぁ!」

ご覧いただきありがとうございました。

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登場人物一覧


タツキ・・・この物語の主人公。現実世界では海田高校の生徒として生活していた。彼は慎重に物事を捉えていつでも冷静な判断を下す。異世界に来てからは風の大精霊シルフィードから加護を授かり力を秘めている存在として周りから一目置かれている。

ハルタ・・・二人目の主人公と言っても過言ではないこの物語の重要人物の一人。彼はハルタと同じ海田高校の生徒。いつでも周りと明るく接し、お茶目な部分もある。異世界に来てからは火の大精霊イフリートから加護を授かった。剣術よりも魔術を得意としている。

ノルデン・・・獣人。サザンカ村で宿屋を営んでいる。元最強パーティーの龍の牙のメンバーでありユグドラシルでは最強と謳われている。異世界に来てからはタツキとハルタに剣術を教えた師匠的な存在でもある。大雑把な性格だが、なにかと頼りになる人物。

シーナ・・・獣人。サザンカ村で宿屋を営んでいる。異世界に来たタツキとハルタを第一に発見して介抱した人物。宿では料理から掃除まで全てをこなす。密かにタツキに思いを寄せているという女の子らしい一面も持つ。

カナリア・・・学校で同じクラスのエルフ。控えめで活発なシーナと比べると静かな女の子。剣術・魔術両方平均的にできる。未だに彼女の正体はよくわかっていない。

ウルド・・・学校で同じクラス。彼はユグドラシルの貴族出身であり、タツキなどの友人はもちろん先生と話す時でさえ上から目線で話してくる。魔術を得意とする。

ガリウド・・・獣人。ユグドラシルで宿を営むノルデンの弟。愛想が良く、タツキとハルタはガリウドに信頼を置いている。

ガムー・・・ミズガルド大陸出身。低身長だが体つきはよく、立派な髭を生やしている。ノルデンとガリウドの古くからの友人。タツキとハルタにやさしく接する。独特の口調でしゃべる。

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