表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友と共に最強目指してみた  作者: アキンフェンワ
第一章  ユグドラシア大陸編
14/29

大精霊の加護

第14話です。

 目を覚ますと夕焼け空が広がっていた。痛みを伴っていたはずの体は治されていて違和感なく動かすことができた。横を見ると隣でハルタのことを治癒魔法で治療しているカナリアの姿があった。


「よかった目を覚まして。どう、体は痛くない?」


「ありがとう、おかげさまで大丈夫そうだ。カナリアこそ大丈夫なのか?」


「うん、私は自分で治療したから大丈夫。ハルタ君の治療ももうすぐ終わるよ。ウルドくんはモンスターから素材を採ってる」


 倒したモンスターの方へ目を向けると討伐したモンスターの死体からウルドは素材を回収していた。


「あのトレントを倒したのはタツキくん?」


「俺とハルタだ」


「ありがとう」


「どういうことだ?」


「二人が倒してくれていなかったら私もウルドくんもそして二人もここに今いない」


「いや、今回みんな判断を誤って危険に晒した俺には感謝される義理なんてないよ。あの場面で戦闘を選択するんじゃなくて退却を選択するべきだった。すまない」


「タツキ君の選択に応えられなかった私も責任があると思う」


 ウルドが素材を拾い終えて戻ってきた。


「よく倒したタツキ、褒めてやる。こんなに素材を剥ぎ取ってきてやったんだ、感謝しろ」


 ウルドは相変わらずの調子だった。ウルドが持ってきた革製の鞄の中を覗くと、モンスターの素材が沢山入っていた。


「これが本当に金になるのか。そういうふうには見えないが」


「こいつらは央都で売られているさまざまなことに使われる。商人たちはこれらをギルドから購入し、集めるのが俺たち冒険者、そして買い取るのがギルドだ。こんぐらい常識だぞ」


 話していると目をこすりながらハルタが起きた。


「体の調子はどう」


「特に痛みもないし大丈夫そうだ。カナリアありがとう」


「ハルタ歩けそうか?」


「もちろん大丈夫さ」


「よし皆ユグドラシルへひとまず帰ろう。話はそれからだ」


 帰り道はみんな疲れていたのか口数が少なかった。それはそうだ、本当なら倒せないような相手と戦ったのだから。しかし樹人トレントを倒した時に自分の斬撃に風魔法が付与されていたのはなぜだろうか。ギルドに寄るついでに聞いてみよう。もしかしたらヘルヘイムさんが何か知っているかもしれない。


 俺の体はモンスターの体液やら自分の血で汚れていたので央都に入ると周りからの視線が痛かった。ギルドへ行くといつも通りヘルヘイムが対応してくれた。


「お疲れ様です。無事任務は完了しましたか? ウルドさんもご一緒されていたのですね」


「はい、なんとかですけど討伐できました。はぁ……」


「ヘルヘイム、今回の任務は初級任務のくせに出現するはずのないトレントが出てきた。どうなっているんだ? まさか俺たちをはめたりしていないだろうな」


「ト、トレントが? そして倒した? 初級冒険者なのに?」


 ヘルヘイムは驚いていた。


「質問に答えろヘルヘイム」


「ああ、はい。最近ギルド内で発注したクエストでそのようなことがあったと多数報告を受けています。騎士団が現在調査中ですが、まだ何もわかっていません。私からではありますが、今回皆様を危険な目に遭わせてしまったことをお詫びします」


「何も謝らなくたって。結果的に倒せたからオーケーですよ」


 ハルタが言った。


「そう言っていただけると助かります。ではモンスターの素材を換金をしますので、もらってもよろしいでしょうか」


 ウルドは手に持っていた鞄をヘルヘイムに渡した。ヘルヘイムはトレントから採った素材に驚いていただけでなく素材自体の多さに驚いていた。


「初任務でこれほど素材を持って来られるとは想像もしていませんでした。それで金額の方ですが、私からの気持ちもつけまして、金トナス一枚となりますがよろしいですか」


「そんなにもらってもいいんですか」


「中級任務一回程度の金額か。底辺のお前たちには十分だな」


周りの皆を見渡したが誰も硬貨を受け取ろうとしなかった。


「お金はタツキくんが受け取って」


「いいのか俺が受けっとって」


「今回の1番討伐に貢献したのはお前だ。今回はくれてやる」


「皆言うように今回はタツキのお陰でみんなで成功を掴むことができた。ぜひ受け取って」


 三人から言われてしまったので、仕方なく俺は金トナスをヘルヘイムからうけっとた。稼ぐことの大変さを知ったからか硬貨はいつも以上の重みを感じた。


「ありがとうございます。三人は先に入り口へ行ってて待っててくれないか? ヘルヘイムさんと話したいことがあるから」


「わかった。先にいってるねタツキくん」


 三人は入口へ向かっていった。


「タツキさん話とはなんでしょう?」


 俺は今回任務でどのようにトレントを倒したことを説明し、双剣に風属性魔法が付与されていたことを話した。


「どうやって倒したのか疑問に思っていましたがそういうことでしたか」


「どういう意味です?」


「タツキさんとハルタさんはノルデンさん以来の逸材かもしれないです。先ほど説明してくれた剣に魔法が付与されていたというのは大精霊様の()()でほぼ間違い無いでしょう」


「加護? 大精霊様とは一切接点がないんですが」


「加護は大精霊様が気にいった人、一人だけに与える力です。つまりお二人はそれぞれ火の大精霊イフリートと風の大精霊シルフィードに気に入られたということです」


「ノルデンさん以来ということはノルデンさんも持っているんですか? 加護とやらを」


「はい、彼女は確か地の大精霊ドワーフからの加護を受けているはずです。大精霊様から加護を受けられる九人のうちに選ばれるとは。まったく今日は驚きばかりで困ります」


 つまり俺はこの世界に来て特殊能力のようなものを開花させたということらしい。まだどういうものかわからないし、加護を受けている実感もないからから、フレイヤ先生に加護とは何なのかを聞くのが一番良さそうだ。


「教えてくれてありがとうございました。そろそろみんな待っていると思うので、行きます。またよろしくお願いします」

 

 一言言うと俺はギルドを出た。


 建物を出ると三人が待っていた。


「何を話していたんだ?」


 ウルドが聞いてきた。


「それはこれから話すが、もう夜になってしまったから夕飯でも食いながら話さないか? これからみんなの予定は?」


 予めガリウドには帰りが遅くなるから夕飯を食べてくると言っておいて正解だった。


「俺は特に予定がないから付き合ってやる」


「私は……。ごめん家の門限があるから今日は行けない」


 カナリアは残念な顔をしたが家の事情ならば仕方がない。


「そうか、残念だ。また今度だな」


「うん、みんな楽しんで。また明日学校で」


 カナリアと別れたあと俺たちは以前ノルデンといった料理店で夕食を取ることにした。何をオーダーすれば良いかわからなかったので、前回同様おすすめを頼むことにした。


「タツキ、さっき何を話してたか教えてよ」


 ハルタは今か今かと待ちわびていた。

 

 俺はハルタとウルドにヘルヘイムに教えてもらった加護について話した。


「お前たちに大精霊の加護がついているだと? そんなことがあるわけない。お前たち底辺が選ばれるはずがない」


「それがもし本当だとしたらすごいことだね。仮に付与されているとしてなんで大精霊様たちは俺たちのことを選んだんだろう」


 ウェイターが料理をテーブルに運んできた。俺たちはもうすでに食べたことのある虫料理だったが、貴族出身であるウルドの顔は青ざめていた。ウルドは折角頼んんだにも関わらず料理に一切手をつけなかった。頼んだ料理は結局ハルタと二人で全部食べた。


「おいしかった。ウルドも食べればよかったのに」


「庶民はこんなものを日頃から食べていることに目を疑ってしまう」


「美味しいのにもったいないな。それはそうとしてウルド、今日一日色々と手伝ってくれてありがとう。一緒にいて心強かった。明日からも引き続きよろしくな」


「ふっ、今日行動を共にして俺がどれだけ重要人物かを理解したことだろう」俺とウルドは握手をした。


 するとウルドは突然真剣な眼差しを俺に向けてきた。


「忠告しておく、加護についてはあまりよく知らないが、加護は強い反面、いつ無くなってもおかしくないものと聞いたことがある。雑魚が加護を手に入れて強くなって浮かれて努力を怠ると加護がなくなってた時の反動が大きいから気をつけろよ。あともう一つ、加護を目的として襲ってくる馬鹿どもも少なからずいるからあまり周りに広めない方がいいぞ」


「確かにウルドの言う通りだ。気をつけるよ」


 店を出てウルドと別れて宿へ向かった。


 大精霊様にいきなり加護をもらうとはどういう風の吹き回しなのだろうか。もしかしたら大精霊様たちはなぜ俺たちがこの世界に来たのか知っていて元の世界に戻れるように後押ししてくれているのかもしれない。


 思ったよりも帰る時間が遅くなってしまったが、ガリウドは心配していないだろうか。いつしか宿は自分達がこの世界でほっと一息をつける憩いの場所になっていることに気がついた。

ご覧いただきありがとうございました♪

この続きが気になる!次話も読みたい!と思った方はブックマーク、評価の方よろしくお願いします。


また、感想を書いていただくと執筆の励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
登場人物一覧


タツキ・・・この物語の主人公。現実世界では海田高校の生徒として生活していた。彼は慎重に物事を捉えていつでも冷静な判断を下す。異世界に来てからは風の大精霊シルフィードから加護を授かり力を秘めている存在として周りから一目置かれている。

ハルタ・・・二人目の主人公と言っても過言ではないこの物語の重要人物の一人。彼はハルタと同じ海田高校の生徒。いつでも周りと明るく接し、お茶目な部分もある。異世界に来てからは火の大精霊イフリートから加護を授かった。剣術よりも魔術を得意としている。

ノルデン・・・獣人。サザンカ村で宿屋を営んでいる。元最強パーティーの龍の牙のメンバーでありユグドラシルでは最強と謳われている。異世界に来てからはタツキとハルタに剣術を教えた師匠的な存在でもある。大雑把な性格だが、なにかと頼りになる人物。

シーナ・・・獣人。サザンカ村で宿屋を営んでいる。異世界に来たタツキとハルタを第一に発見して介抱した人物。宿では料理から掃除まで全てをこなす。密かにタツキに思いを寄せているという女の子らしい一面も持つ。

カナリア・・・学校で同じクラスのエルフ。控えめで活発なシーナと比べると静かな女の子。剣術・魔術両方平均的にできる。未だに彼女の正体はよくわかっていない。

ウルド・・・学校で同じクラス。彼はユグドラシルの貴族出身であり、タツキなどの友人はもちろん先生と話す時でさえ上から目線で話してくる。魔術を得意とする。

ガリウド・・・獣人。ユグドラシルで宿を営むノルデンの弟。愛想が良く、タツキとハルタはガリウドに信頼を置いている。

ガムー・・・ミズガルド大陸出身。低身長だが体つきはよく、立派な髭を生やしている。ノルデンとガリウドの古くからの友人。タツキとハルタにやさしく接する。独特の口調でしゃべる。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ