4話 できない覚悟
通話の切れたタブレットの画面を暫く眺めていただろうか、よしっと気合を入れて立ち上がる。ステータスについては確認した、次は装備やアイテム類の確認だ。
「えっと・・・これか」
白い扉の前には、段ボールが3箱ある。
「さてっと、何が入ってるのかねっと」
ごそごそと全部開けて中身を確認していく。そこには、ポイントで購入した全ての物が入っている。一つ一つ丁寧に確認していく。
大した時間もかからず確認が終わったが、これを全部持っていくことは難しい。
「っということで、便利な魔法を紹介しましょう!せ~い~か~つ~ま~ほ~う~」
ドンドンパフパフーなんて効果音を口にする寂しい男が一人、気にしたら負けだろう。そう、つまり俺は負けたんだ。
「この手探り感、神様とやらはドSに違いないな」
苦笑しながら、ファンタジー知識を総動員して収納魔法とやらを発動させる。これでもない、あれでもないと色々試していると、とある知識がヒットする。
魔法陣だ、紋様なんて考えずに魔法陣を正面に固定させるようにイメージすると、目の前に魔力が広がって魔法陣を描くのを感じる。見えるんじゃなくて感じるって言った理由は簡単だ、"見えない"んだ。ただ魔力感知で魔力を感じられるから理解できるってこと。え?難易度高くない?
「でも、これで発動したってことでいいんだよな?」
呟きながら、携帯食料を一つ魔法陣が展開されている場所に置いてみると、そのまま魔法陣に吸われてなくなった。一度魔法を解除して、収納した携帯食料を取り出すイメージをして展開すると、魔法陣から携帯食料が出てきた。とりあえず成功だ。
魔力の消費は殆ど感じない、常に一定の消費なのか、量や質などで変化するのかは現状わからないが、余裕があるのはいいことだ。黒鉄の短剣や適応する外套以外をとりあえず、全部収納する。
外套を羽織、短剣をベルトに固定する。
「とりあえず、自分のできることは確認しなきゃな...」
1時間程を消費しただろうか、強化魔法や生活魔法、魔力操作など確認を一通り済ませると白い扉の前に立つ。正直、このまま引きこもってもいいのではないのか?っという考えがなくもない。10日はペナルティがないとわかっているわけだし、食料も半月以上は持つ量がある。
だが、俺は知っている。競争相手がいるこの現状、如何に早くスタートを切るかが重要になってくるということに。レベルがある世界だ、差ができたら簡単には追い付けないだろう。MMORPGではよくある話だ、他人よりも1レベル高いだけで優位が付く、それがレベル制の良い点でもあり、怖い点でもある。
「覚悟なんて、簡単にできるわけねぇだろうが。覚悟ができたなんて簡単に言う奴は、理解できてないだけだ」
でも、行かなくちゃいけない。できるかできないかはまだわからない、でも...やるか、やらないかはもう決まってる。
「行こうかね」
白い扉に手を掛ける、ゆっくりとドアノブを回して内開きに開いていく。扉を抜けて締まる瞬間に、幻聴が聞こえた気がした。
"いってらっしゃいませ、―――。"
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閲覧頂きありがとうございます。
拙い文章で読みづらい所も多かったかと思いますが、生暖かい目で見守ってやってください。
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