表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王は人を信じない  作者: 立浪奏太
4/6

3話 その責任はどこに

 スマホのデフォルト着信音と同じ音が、正面にあるタブレットから流れてくる。

 画面には大きく、日本と書かれている。


「ふむ・・・あの自称神から軽く説明があった、日本と連絡が取れるってやつか」


 改めて椅子に座り、タブレットの画面を操作して通話を開始すると、画面にはテレビや新聞で見たことがある、スーツに身を包んだ50代後半の、男性の姿が見える。

 背後には、これまたスーツのまだ俺と同じぐらいであろう男女の姿が見える。


「初めまして、君が水上 相馬さんですね?僕は、内閣総理大臣を務めている、柊 秀雄と言います。」


 そこまで言うと、画面の男性は軽く頭を下げ、顔を上げると畳みかけるように言葉を続ける。


「色々と聞きたいことも、言いたいこともあるとは思いますが、僕たちも現在の状況を全て把握できているわけではない上、通信ができる時間にも制限があります。まずは、こちらの話を聞いてもらってもいいかな?」


 少し考える、通話の制限時間は1時間のはずで、次に通話ができるのは240時間、つまりは10日後だ、無駄な話をする時間はほぼ無いと言っていいだろう。


「わかりました、まずは、お話をお伺い致します。」


 一つ頷き、続きを促す。


 柊首相は、少しほっとした表情を見せたが、すぐ表情を戻し


「まず確認させて下さい。水上さんがこの"神を自称するモノ達の代理戦争"で、日本の代表者ということで、間違いはありませんか?」


「はい、私も自称神から、そのようの説明を受けていますので、間違いはないかと」


 柊首相の質問に対して、時間を気にしつつ最低限の言葉を返す。


「そう・・・ですか。まず最初に言わせてください。僕たち日本国民の代表としてお詫びします、辛い役目を押し付けてしまい、大変申し訳ございません。」


 そういうと、柊首相と後ろの二人は深く頭を下げた。


「ですが、僕たちは、水上さんに頼る他ありません・・・どうか、どうかお願いします。僕たちの方でもできる限りのサポートを行います。僕たちを、助けてください。」


「頭を上げてください。どこまでできるかわかりませんが、私自身簡単に死ぬつもりはありません。

こちらこそ、サポートをよろしくお願い致します。」


 正直、ぎこちない笑い方をしていたと思う。でも、それでも、言った通り簡単に死ぬつもりはない。やれることは全部やろう。

 心の中で、決意を新たにしていると、頭を上げた柊首相が話を切り出した。


「水上さんはサポーターについて、どの程度の説明を受けているでしょうか?」


 サポーター、確か・・・


「私のいる場所へ、来たり帰ったりすることができるということ。こちらで死亡したとしても、そちらへ戻るだけで、私とは違って命を失う心配はないということ。こちらで死亡すると、二度とサポーターがこちらへくることができなくなること。この程度でしょうか?」


 覚えていることをざっくり説明すると、なるほどと言ってから、情報を追加してくれた。


「それに加えて、サポーターは一度決めると変更ができないようです。更に、最初にそちらへ行く際に獲得できるポイントは、水上さんの半分の、500pということらしいです。なので、こちらからサポーターを送る前に、水上さんがどのようにポイントを使用したのか、詳しくお聞きしたいのです。」


 その言葉を聞き、俺は顔をしかめる。正直、味方になる相手でも話したくない。


「私も、この状況で相手を気遣う余裕がないので、正直に言わせて頂きます。私が何にポイントを消費したのか、例えば野営するための道具や暫くの食料品、戦闘方法が接近戦重視ということなどの、私自身が話ても良いと思ったことについて説明する分には問題ありません。ですが、装備やスキルなどについては、一切お答えしたくありません。」


 俺の言葉を聞いた柊首相と後ろの二人は、驚いたというよりも、予想外の答えに狼狽えているように感じる。


「理由を聞いても?」


「いくつかありますが、全てを答えるつもりはありませんので一つだけ、どこから情報が洩れるかわからないから、ですね。これ以上、お答えするつもりはありません。時間が勿体ないと思うのであれば、次の話をお願い致します。」


 そこまで聞くと、少し考える素振りを見せているが、すぐに切り替えたのか話を続けた。


「では、サポーターのポイントの消費の仕方については、こちらで決めるということでいいかな?本来であれば、そちらに行ってから水上さんとサポーター本人が相談して決めるのがベストなのでしょうが、どうやら、ポイントの消費を行わなければそちらへは行けないようなので」


「はい、そこはお任せ致します。こちらの希望を言わせて頂けるのであれば、500pと少ないことも考えると、バランス良くというよりは、特化させる形にして頂いたほうが良いと思います。」


 なるほどっと、一つ頷くと、次の話題へと変わった。


「続いてなのですが、水上さんには説明されていないことや、こちらからの要望について伝えます。」


 そういうと、柊首相は知っている限りのことを話してくれた。


・俺が"ダンジョン"内で戦闘行為を起こすと、日本のある場所に設置されたモニターにその光景が映るそうだ。つまりライブ配信されるということらしい。これを見るのは、柊首相や今回の件を担当している者達など、少数の人数にするつもりらしい。

・ダンジョン内で入手したアイテムなどは、日本にも送ることができるが、余裕ができるまで必要ないとのこと。自分達の生き残る可能性を最大限上げて欲しいと言われた。

・国力により、プレイヤー(自称神は代表者のことをプレイヤーと言っていたので、今後はプレイヤーで統一するらしい)の能力が変わるらしいが、国力とは何かの説明がなかったとのこと。

・ノルマについて、これは毎日指定された金額(ダンジョン通貨)を支払う必要があるということ。但し、今日から10日間はこのノルマが免除される。ノルマが達成されなかった場合はペナルティが発生する。ペナルティについてはランダムで、連続でノルマが達成されなかった場合は、その比重が大きくなっていくらしい。ステータス画面で確認できるペナルティゲージが100%になると、代表者は死亡するということ。

・既にプレイヤーが死亡した国が数か国あるということ、その国は、国土全てと、国外へ居た者も含めて、水晶のようなもので覆われてしまい、外から壊すことも現状できないらしい。

・サポーターのポイント消費については、相談した上で決めたいので、ダンジョンに入るのは5日待って欲しいとのこと。


「一つだけ、私から提案があります。私の戦闘行為を見ることができるということなので、実際に戦う姿をみて、神製獣というのがどういうモノなのか、参考にして決めてもいいと思います。」


「待ってください!一人で戦うと言うのですか?どんな危険があるかもわかっていないのに、それで死んでしまっては元も子もないのですよ?!」


 凄い必死に危険だ、考え直せと言っているところ申し訳ないが・・・


「これについては決定事項です。私はこの通信が終わったらすぐにでもダンジョンへと向かうつもりです。ですが、急いでサポーターを送ってくるのだけは止めてください。必ず、色んな可能性を考えた上で、ポイントを使ってください。この先、このダンジョンの最深部へと行くために」


 ダンジョンの最深部へと行くためには、この世界を生き残る為には、多少の無理は必要経費だ。当然安全マージンは取るべきだとは思うが、危険に立ち向かう意思がなければ、何かあった時に心が折れてしまいかねない。


「わかりました。ですが、一つだけ約束してください。無理はしても、無茶だけは絶対にしないでください。水上さんが死ぬということは、国民も全て死ぬということです。そのことだけは、忘れないでください。」


「先ほども言いましたが、簡単に死ぬつもりはありませんよ。任せてください、逃げるのだけは得意なんです。」


 そう言いながら時間を確認すると、そろそろ1時間になろうとしている。


「そろそろ時間ですね。次の通話は10日後の、この時間でいいですか?」


「ええ、このぐらいの時間に、水上さんから通信を入れてもらってもいいですか?僕たちは、すぐに応答できるように準備をしておきますので」


 約束をすると柊首相から最後にと・・・


「無理を承知で言います、この馬鹿げた戦争を、必ず終わらせてください。僕たちもこちらでできることを探しますが、現状は水上さんの方で頑張ってもらう他ありません。改めて、宜しくお願いします。」


 そう言って、深く、深く頭を下げた3人を映していた画面が、ブラックアウトして、通信終了となった。


「言われなくてもってやつだな、さて・・・と、準備しますかね」


 独り言を零し、タブレットの操作を始める


ーーーーーーーーーー


 ダンジョン攻略1日目 隔離世界生存者192人 日本のペナルティ0%

閲覧頂きありがとうございます。


拙い文章で読みづらい所も多かったかと思いますが、生暖かい目で見守ってやってください。




もし少しでも作品が『面白かった』『続きが気になる』と思われましたら、ブックマークや広告したの【☆☆☆☆☆】をタップもしくはクリックして応援頂けると執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ