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魔王は人を信じない  作者: 立浪奏太
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2話 キャラクリエイト

「知らない天井だ・・・」


 とりあえず、ラノベテンプレのセリフを口にしつつ起き上がり、周囲を見回してみる。

俺が今いるのは、寝心地最高の、お日様の匂い漂うベットの上。

 天井には照明があり、部屋を明るく照らしている。壁は落ち着きのある木製の中、窓は無し、壁と同様の素材が使われているであろう木製の扉が一つ、扉が開いている為、その先にも部屋が繋がっていることがわかる。

 扉の右手には姿見が立てかけてあり、鏡には動きやすそうな服装の、冴えない黒髪黒目の男が一人。


「着替えさせられてるし・・・エッチ!?」


 もちろん、リアクションをしてくれる相手はいないので、何事もなかったかのように立ち上がり、隣の部屋へと歩いていく。


 隣の部屋も照明が点いていて、壁の素材は寝室?と一緒で木製の扉が二つと、違和感のある重厚な謎素材の白い扉一つ、窓はなしっと。

 一人で生活するのは少々広めの空間の中には、料理するのに便利そうなキッチンや、食事をするのに困らないであろう木製のテーブルとイスが2脚、テーブルの上にはタブレットがスタンドに挿してある。


 木製の扉は半開きになっていて、一つは洋式トイレ(なんか、かなりいいモノっぽい)、もう一つは中が脱衣所と浴場になっているらしい。


「これ、さっきの扉もそうだけど、最初から開いてるのは親切心か?いやまぁ、閉まってたら開けるのになけなしの勇気を振り絞らないといけないんだけどさ?」


 独り言をつぶやく理由はいくつかあるらしいが、とりあえず新しい環境にストレスを感じているからか、状況の整理をしたいのか。

 今深く考えると、考え込んで先に進めなさそうなので、思考を切り替える。


「あいつは、まずキャラクリからやれって言ってたっけか」


 とりあえず部屋の細かい探索は置いておいて、テーブルに備え付けられているイスに座り、置いてあるタブレットに手を伸ばす。


 ブラックアウトしている画面に触れると、液晶パネルが仕事をしだした。


"ようこそ、水上 相馬様"


 ほむ、音声でナビをしてくれるのか。これほど歓迎されて嬉しくない"ようこそ"は初めてだ。

タブレットの右下には、現在時刻が、"10:23"と表示されている。


"画面に表示されている中から、装備、スキル、アイテムを10ポイント・・・失礼、間違えました、訂正致します。1000ポイントの中からお選びください。"


「おいっ」


 今俺の顔を他人が見たら、びっくり二度見するレベルの無表情をしているのだろう。


「実はリアルタイムで喋ってるんだろう?そうなんだろう?ちょっと俺の質問に答えてくれよ!?」


・・・・・・


 タブレットから無言の圧力を感じていると、痺れを切らしたのか、先ほどと同じ音声で喋りだした。


"この音声は、事前に登録されているものを流しています。一切のご質問にはお答えできません"


「おい、絶対に中身いるだろ?」


"この音声は、事前に登録されているものを流しています。一切のご質問にはお答えできません"


・・・・・・


 タブレットと見つめ合う?こと数十秒、大きなため息を一つこぼし、気持ちを切り替えてから、大量に表示されている名前を、一つずつ眺めていく。


「つっても、見ただけで想像が付くものもあれば、名前からじゃ想像が付かないものまであるんだが・・・詳細とは言わなくても、簡単な説明ぐらいないのかよ」


 ぼそっとこぼれた愚痴、それは誰に拾われることなく、空間に消える運命だったのだが、しっかり拾った奴が一人?一台?


"畏まりました、簡単な説明を追記致します。"


・・・・・・


 再度、タブレットと見つめ合う男の図。

まぁでも、俺にメリットしかないので、今回はスルーしてあげる俺って優しい。


「さんきゅー」


 タブレットにお礼を言いつつ、追加された簡単な説明を頼りに、膨大な数がある名前を、一個ずつ確認していく。ポイントを消費して取得していくスタイルということだが、その数値はピンキリだ。

 一番安いモノだと、"食パン1斤 - 5ポイント"や"水2ℓ - 5ポイント"などの食料品や消耗品関係か。

 一番高いモノで、"勇者 - 1000ポイント"が最高価格かな。


「なるほど、全ポイントを使って取る人は、間違いなく"勇者"だな」


 苦笑しながら一覧を確認すること、1時間と12分。

 凡そ、日用品関係・RPGのアイテム・ステータスポイントの割り振り・装備・スキル・魔法属性・称号に分かれているっぽいな。


 アイテムについては、回復薬や魔力回復薬、解毒薬などなど。

 ステータスは、筋力・魔力・耐久・俊敏の4種類に割り振れるらしい。これには使用できる上限があるようで、100ポイントまでしか使用ができないみたいだ。

 装備には簡単な説明に剣や杖などの種類と、大きさや刃の長さなどが記載されている。ありがとう!タブレットさん!!

 スキルは剣や弓などの武器に関連付いているモノは、その武器を持っていないと発動はしないらしい。魔法関係のスキルは、同様の属性を持っていないと発動しない・・・っと

 魔法属性は、火・水・風・土・光・闇・無と、ラノベ読者ならよく目にする属性だ、光と闇は500ポイントで、無属性が50ポイント、その他が100ポイントだ。


 そして最後に、一番の問題児である称号だ。

"剣士"や"魔法使い"など、うんうんわかるわかるっていうものから、"借金取り"に"器用貧乏"などなど、ツッコミが必要なモノまで多種多様にある。

 そして、俺が問題児だと言う最大の理由は、説明が酷い点だ。

"剣士 - 剣を上手に使える者"・"魔法使い - 魔法を上手に使える者"は、まだ許せるよ?でもさ、"借金取り - 貸したモノを取り立てる者"とか"器用貧乏 - なんでも器用にある程度こなす者"とかね?知りたいのはソコじゃないんだよなぁっていう、ね?

 一番安い剣士で100ポイントなのはわかる。借金取りは999ポイントって・・・勇者と1ポイント差ってどういうことなの?ねぇ?


「ん~~~~~~~」


 唸ること数秒、とりあえず、これからの方針がココで決まるからな、自分がどういうタイプでやっていくか、考える。


 あいつは言ってた、サポーターや同盟というシステムがあると。つまり、普通に考えれば、一人で全てを完結させる必要はないわけだ。

 でも、死ぬ可能性があるとも言っていた、サポーターはともかく、俺には一度も死ぬことは許されないとも。

 いくつもの組み合わせを考えながら、一つ一つ、丁寧に、慎重に、大胆にポイントを消費していく。


 結果、俺が選んだのは次の通りだ。

-装備-200p

黒鉄の短剣 - 見た目からは想像できない大重量の短剣。非常に高い耐久性を持つ。

適応する外套 - 周囲に合わせて、任意で色や外套内の温度湿度等を変化させることができる外套。

-魔法属性-50p

無属性才能 - 無属性魔法の才能を獲得する。

-スキル-450p

魔力感知 - 魔力を感知できるようになる。

魔力操作 - 魔力を自在に操ることができる。

強化魔法 - 対象を強化する魔法。使用する属性により、得意不得意がある。

生活魔法 - 生活の為の無属性魔法。火や水を出したり、モノを収納できたりする。

-称号-100p

大器晩成 - 大きな器は完成するまでに時間がかかる。

-ステータス-100p

筋力+0

魔力+100

耐久+0

俊敏+0

-アイテム(日用品含む)-100p

回復薬3個 - 怪我を治す薬。

魔力回復薬3個 - 魔力を回復する薬。

解毒薬2個 - あらゆる毒を解毒する薬。

聖水1個 - 聖なる水。

野営キット - 野営に必要な道具一式。

野営用食料品セット(三日分)- お手頃価格の野営時の食料品。三日分

節約上手の食料品セット(十日分)- 節約上手な主婦必見の食料品。十日分

栄養価の高い携帯食料(十食分)- 栄養価の高い携帯食料、美味しくない。十食分


「ん゛ん゛ん゛~~~っと、やっと終わった」


 選び終えて、座ったまま大きく伸びをして、タブレットの選択完了のボタンを押す。


"畏まりました。では、ポイントを消費します。以降、獲得したモノにつきましては、ステータス画面にて確認ができます。水上 相馬様、頑張って生き残ってください。"


「おおおおお!!??」


 その言葉を聞き終わると同時に、全身から溢れ出す"何か"を感じ、ビックリして思わず立ち上がる。

 目に映る自分の身体から、透明な何かが噴出しているのが"視える"、溢れているのを感じる。

 おそらく、大量に振った魔力を魔力感知が感じ取っているんだろうと思う。

 ふと思った、このまま身体から大量に溢れていて、問題はないのだろうかと。

 物語だと、魔力が無くなれば気を失ったり、最悪死に至ることもあったはずだ。ただ、魔力感知のスキルが無ければ、意味も分からず死ぬなんて理不尽すぎやしないかとも思う。

 でも、身体から溢れまくっている魔力を勿体なく感じるのも事実!っということで、魔力操作のスキルで、身体から溢れている魔力を抑えられないかレッツチャレンジだ!

ラノベで養った魔力関係の知識から、魔力を操作する技術についてピックアップして、いくつか試してみる。

 身体の中に意識を向けて集中してみる、よく、魔力の出てくる壺に蓋をするみたいな方法を読むが、そんな感じではない。一箇所から溢れてくるというよりも、身体全体から放出されているって感じだ。

 なので、それを体内に留めるイメージをしてみる。血液のように身体を循環して流れるイメージ。すると、身体から溢れていた魔力がどんどん体内で、密度が上がっていく感じがする。それでも僅かに体外へと洩れる魔力を、更に抑え、体内に循環させる。

暫くは、魔力を循環させることに集中していたお陰か、体外へと溢れていた魔力が、身体へ纏うように、体内の魔力は自然に巡っているのを感じられる。


「流石、昔からやればできる子といわれ続けてきただけのことはある。グッジョブ俺」


「さてと、落ち着いたところでステータスの確認もしましょうかねぇ」


 秘められし記憶(中二病)も、魔力と一緒に若干漏れ出していたが、それは再度封印しつつ、タブレット画面のステータスを選び、先ほど獲得したあれこれを確認してみると、見覚えのない文字が目に入った。


-スキル-

強化魔法 - 対象を強化する魔法。使用する属性により、得意不得意がある。

∟魔纏 - 身体に魔力を纏わせることで、耐久や魔法耐性を上げることができる。

∟身体強化 - 身体を魔力で強化する魔法。筋力や俊敏、各種状態異常耐性を上げることができる。


「よしっ!」


 大きくガッツポーズを取った俺を、誰が攻められるだろうか!!

スキルで、魔法すらも個々である中、魔力操作のスキルは、本来であれば必要がほぼないスキルのはずなんだ。そのスキルがあるということは、魔力を操作することで得られるメリットがあるってことに他ならない。

 もう一つ、強化魔法の"曖昧さ"だ。対象を強化する魔法、では、その対象とは何を指しているのか?自分を強化するだけなら、説明が肉体を強化する魔法っと明記があるのではないか?っと思ったのだ。つまり、対象とは、ありとあらゆるものを対象とする可能性があるということ。

この魔法については、色々研究する必要があることだけは確かだ。


~♪~


 賭けに勝った喜びに打ち震えていると、タブレットから、着信を知らせる音が鳴り響いた。


----------


 ダンジョン攻略1日目 隔離世界生存者192人 日本のペナルティ0%


閲覧頂きありがとうございます。

拙い文章で読みづらい所も多かったかと思いますが、生暖かい目で見守ってやってください。


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