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断罪の反転(追加)

「クソッ!!」

 叫ぶディークは拳を地面に叩きつけた。

 食堂にいた生徒たちは謎の力から解放され、立ち上がりそぞろと食堂を後にする。

「ディークレオス様、大丈夫ですか?」

「ああ、俺はあいつを追う。ホルムは学院の方を収めろ」

「一人では危険です!」

「だが、来たとしても足手纏いになるだけだ。あいつの力を見ただろう? 抵抗できるのは俺だけのようだしな」

『行くなら早い方がいいよね。ディーク、行ける?』

「ああ。もちろんだ」

 ディークが体の汚れを落とすように払うと、精霊は靄となってディークの中へと戻っていく。

「ディークレオス殿、待ってくれ!」

「なんだ? ウィル殿下」

 それまで押さえつけられていたウィルは懇願するようにディークを引き止めた。これまで騙されていた時とは様子が違い、しかし戸惑いが垣間見える表情を浮かべている。

「俺は真実が知りたい。アイラを止めるのに協力させて欲しい」

「話を聞いていなかったのか?」

 ウィルの申し出にディークは怪訝な表情を浮かべる。暗に拒絶を示すディークだったが、ウィルが引き下がる様子はなく、

「ホルムの指示に従え。どうせ援軍を送るつもりなんだろう?」

「バレてましたか」

「お前が人の言いなりになるほどいい子ちゃん出ないことはわかる。それに、あいつはこの国の脅威にもなる。身をもってそれを実感したお前が何も行動を起こさないはずがない」

「はは。敵いませんね」

 策士のような企み笑顔をするホルムは確かな知性を瞳に宿し、ディークを真摯に見つめた。

「必ず助けに向かいます。どうかご無事で。この国の中であなたに死なれては困りますから」

「国際問題は避けなければなぁ。アイラが絡んできた時点で終わりのようだが、セレのためにも目を瞑ろう」

「セレスティアさんには感謝してもしきれませんね」

 はは、と苦笑いで返したホルムだが、次の瞬間には意識と表情を切り替え、任務遂行のために動き出す。

「兄さんは大事な戦力です。今から出せるだけの兵を持って、アイラを追います」

「追うって、手がかりは? 突然消えてしまったんだぞ!?」

「虫をつけてありますから。僕も」

 ホルムはディークのそばに控えるフレットを見ながら言う。ウィルは何事かわかっていないようだが、ディークとフレットには伝わったようで、二人は頷いてから食堂を出て行く。

「兄さん。ここからはスピードが命です。できる限りのことをします。兄さんの力を貸してください」

「……わかった」

 賢弟ホルムが頭を下げたことに驚きながらも、ウィルは力強く頷き返した。


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