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最愛の彼女は死にました。

異世界転生って難しいですよね〜、出涸らし感があるというか。


初めましての方は初めまして。この度転生モノを書こうと思ったのは、悪役令嬢が書きたいって思ったのと、悪役令嬢可哀想だから助けたいって思ったからです。

感想いただけると幸いですが、読んでもらえるだけでもありがたいと思っています!


「セレスティアが死んだ!?」

 東京にあるタワーマンションの一室。シックな色合いの部屋の中で、一人の青年が叫び声を上げた。

 榊原財閥の御曹司、榊原真は手に持っている小説に目を落としている。驚愕と焦りの混じった表情の真は、小説の文字列を何往復を読み直す。だが、何度確認し直そうと、自分の読み間違いなどではなかったことだけが確かに存在していた。

「そんな……嘘だ、嘘だ……」

 切迫した表情と悲しみを隠そうともしない声音。部屋の中には青年しかおらず、慰める者はいない。

 真は愛読書をテーブルに置くと、ガラガラと窓を開けベランダに足を出した。ベランダからは地上二十階、家賃三〇万円の夜景が見渡せる。

「俺は、もう……」

 涙を流す真は虚な眼差しで夜景を見つめながらベランダの縁に手をかけ、足をかけ――

「セレ、今から俺も死ぬよ。この世界で俺が唯一手にできなかった、お前の元へ」

 虚な目から涙を流す真は、ビル風に身を任せ、その身を宙へと投げ出した。心地いよ風が真の体を包み込み、僅かな時間ながらその頭に走馬灯を見せる。

(もっと俺に力があれば、お前を救えたのか?)

 目を閉じ落下していく真は、唯一の後悔を抱えながら地面へと衝突した。ぐしゃりと大きな物音を立てながら、榊原真は死んだ。



「ぅう……眩しぃ……」

「ディークレオス様、朝でございますよ」

 シャッ! という小気味いい音を立てるカーテンの隙間から太陽の光が差し込み、寝ぼけ眼の少年を明るく照らした。

「あ、さ……?」

 少年はまだ寝ぼけているのか、目蓋を何度も擦りながら周囲を見渡す。

 小さな手が二つ。子供のようだ。そんな子供には分不相応に大きく豪奢奈天蓋付きベッド。そして、ベッド抜きにして軽く十畳はあるだろう広い部屋。先ほど開け放たれた大きな窓から太陽光が差し込み部屋の中を三割ほど照らしている。少年の正面には妙齢のメイドが

一人。おばさん、と言うには若く、しかし貫禄を感じさせる佇まい。

「痛っ……」

「どうされました?」

 突如、、謎の頭痛に襲われた少年は頭を抑える。メイドが駆け寄ってくるが、少年はそれを片手で制してベッドから起き出す。

「おはよう、リズラ」

「はい。おはようございます」

 少年が挨拶をすると、メイドは恭しく礼をして着替えを取り出した。

「お召し物でございます」

「うん」

 少年は寝ぼけるフリをしながらメイドに着替えさせられた。大きな姿見の前で髪を整えてもらい、ディークレオスの姿になる。

(俺は、榊原真……誰だ、この鏡に映る子供は!?)

「整いました。朝食の用意ができています。参りましょう」

「あー、うん」

 メイドに手を引かれ大きな寝室を後にする。大きな扉、大きな柱、窓、絵画。視界に映る全ての物が巨大に見える可笑しな景色に、ディークレオスに転生した榊原真は困惑していた。

(何が起こっている? 俺はあの時マンションから飛び降りて……死んだはずだ)

「ディーク! 起きたのね。おはよう」

「おはようございます、奥様」

「リズラもおはよう。ディークを起こしてくれてありがとうね」

「お、おかあさま。おはよう」

 考え事をしていたディークは、正面からやってきた母の存在に気づかず、不意打ちで抱き抱えられた。

 花の香りがする母の腕に抱かれるディークはにこやかな笑みを浮かべている。

(おかしい。俺の記憶はあるのに、このディークとか言う子供の記憶もある。なんなんだ!)

 いきなり訳のわからない状況に放り出されたディークは上手く働かない頭のまま、母に抱えられ城の中を移動することになった。


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