8.-閑話-ヒロインは鈍感!--恋愛あるある--
すみません!書き途中のをアップしてました、、
正しいのに変更しています!本当にごめんなさい!
わぁー、凄いわ! 見渡す限り木ね!
バレルシア王国に入ったと護衛からの報せを聞き、急いで馬車の窓を開けたら、大自然、という言葉がまさにぴったりの景色が目に入ってきた。
これは、本当に凄いわね! この光景は圧巻だわ!
これは詠みたくなるわね---- 山--- 山----。
昔の記憶を探す。
「 夏山の ここもかしこも 名所哉 」!!
正岡子規って天才すぎるわ。まさに今見てる景色を俳句で詠ってるなんて!
------。 ------。
------。
---- 飽きてきた、わね。
時間が経ってもここもかしこも木ばかりで、最初の感動は馬車が進めば進む程、どんどんと薄れていく。
---- 本当に木ばかりね。 正岡さん---- 私には名所が見つけられないわ、感性が足りなくて本当にごめんなさい。
「私に俳句は、詠えないわね------」
静かに窓を閉めて、小さく息を吐いた。
ようやくバレルシア王国に着いたというのに、気分が上がったのは最初だけ。静かな空間に物足りなさを感じ、構って欲しくて隣にいるハロルドをチラリと見たが、揺れる馬車の中で平然と本を読んでいる。
---- 酔わないなんて、凄いわね。まるで仙人だわ。
少しだけ、お尻が浮いてるのかしら? 気になるわね。
ハロルドのお尻を気付かれないようチラチラと見たが、浮いてる気配は全くない。
なーんだ、つまらないわ。
やる事もないので、ボフッと音を立ててフラットシートのクッションに身を沈めた。
******
「着いたわ! ここが王都ね、素敵ー!」
オレンジの屋根に石造りの家が並んでいて、暖炉があるのか屋根からは煙突が伸びてる。
---- ヨーロッパのような可愛い街並みね! テリージアとはまるで違うわ!
テリージアは南国に近いから、こういう可愛さはないのよね----- 何て楽しいのかしら!
「ねぇハロルド、今日は街に泊まるでしょ? 一緒に街を見て歩かない?」
「-------- 分かった。護衛にちゃんと言えよ」
当たり前でしょ! 取り敢えず、街を楽しく観光したいから、今は屁理屈を返さないであげるわね。
フンフフーン♪ とご機嫌で鼻歌を歌っていると、ハロルドが急に私の右手をグイっと掴んだ。
「ほら、早く行くぞ」
-------- なんだかいつもと違うわね、まぁ、いいわ!
うんっとハロルドに頷いて、手を繋ぎながら外へと足を踏み出した。
「あ、あれも美味しそうね! ハロルドどこのお店で食べる? それとも外で食べる?」
お店が並び活気ある街の様子に、スキップしそうな程足取りは軽くなる。
小さい頃、よくハロルドと城を抜け出して、城下の街で食べ歩きをしたわね。なんだか懐かしいわ----
そういえば、私ってハロルドとばかり一緒にいたわね。
それは今もだけど---- ハロルドは、他に友達いないのかしら? まあ、私も人の事言えないわね。
ハロルドがいなかったら、きっと一人ぼっちだったわ。そしたら凄くつまらなかったわね。家族には間違いなく愛されてたけど、皆忙しくてずっと一緒にはいられないものね----。
そんな事を思いつつ街中を歩いていくと、通り過ぎていく人々の視線が何だか痛い。
目に入った人の視線を辿って行けば、ハロルドに投げられているのだと分かった。
---- 通り過ぎていく女性は、皆ハロルドを見てるわね?
手を繋いだままのハロルドの顔を、斜め下から覗いてみる。
眼鏡はしてるけど顔は悪くないのよねー、綺麗な顔してるし、しかも最近なんだか逞しくなってきた気がするわ。
ハロルドの容貌は、シルバーの綺麗な髪に二重だけど切れ長の目、鼻はすっと通り肌も白過ぎずきめ細かい。そして何よりも、タンザナイトのような青紫の瞳は、意志の強さを感じさせる。
ハロルドは、自覚がないのかしら?
まあ恋愛のヒロインって、鈍感なのがお決まりですものね。ハロルドはヒロインではないけど----。
確か------ 鈍感なヒロインに恋する主人公の前に、必ずヒロインを好きなライバルが現れるのよね?
そしてやっと二人が両思いになると、主人公の元カノか幼馴染が必ず現れて、ヒロインのライバルとして今度は主人公を取り合うのよ。
物凄くモテるカップルよね---- 地味な見た目のヒロインが多かったけど、本当に地味なのかしら? ちゃんと見れば可愛いのよね、きっと。
そういえば、鈍感じゃないヒロインて見たことないわね、いるのかしら? 是非教えて頂きたいわ!
「エレナ? また良からぬ事を考えてるのか?」
「ううん、ただヒロインは鈍感って思っただけよ?」
「鈍感------- そうか。あのテラスがあるカフェで、軽く食べよう」
ハロルドが、繋いでる手を強く握り直してきたので、私はハロルドの手の温かさを感じながら、カフェへと足を動かした。
******
「今日は大満足だわ! 初めて見たスウィーツが沢山あったし、帰りに黒ちゃんにレシピ聞かないと!」
宿でいつものように、ハロルドと並びながらお茶を飲む。
------ 今日は何だか、いつもより距離が近かったわ。
カフェでランチをした時も、私の近くに椅子を寄せてきたし、ずっと手を繋いでたわ。初めてハロルドと、城下の街へ行った時の事を思い出すわね。
あの時のハロルドは可愛かったわ、異世界に迷い込んだみたいに泣きそうな顔をして、私の手を絶対離さなかったもの。
------ そうそう、グレーテルみたいだったのよね。
歩き回ってもハロルドが全然笑わないから、お菓子を買ってあげると、満面な笑顔でお菓子を食べたのよね。まあ親指姫が好きなくらいだし、凄く可愛かったわ。
そういえば、ヘンゼルって一度目は帰れたのに、なんでお家に帰れなくなったんだっけ? --- 拙い記憶を思い出す。
---- そうそうパンだわ! 鳥が食べちゃったのよね。
可哀想に---- パンをちぎらなかったら、夜お腹空かなかったのにね。石が足りなくなっちゃったから、しょうがないんだろうけど。
最後はどうなったか曖昧だわ、確か目が見えない魔女を、グレーテルが退治して、宝石を持って家に帰るのよね?
------ 道が分からなかったのに、どうやって家に帰れたのかしら? 不思議だわ。
お菓子の家から近かったのかしらね?
「明日、朝一番にバレルシア城に入るから、早く寝ないとだな。エレナ、明日はあまり興奮するなよ?」
もう可愛くないわね! 小さい時のハロルドは、どこにいったのかしら?
「分かってるわよ! 私の事どう思ってるのよ?!」
「---------- ?」
---- なんで悩むのよ! 子供とか思ってるんでしょ!
「答えられないって、どういう事なのよー!」
--------------------------
「バレルシア王国に入ります!」
護衛からの報せを受け、エレナが勢いよく馬車の窓を開けたのが、音から分かった。
なぜ音で分かったかというと、本を読んでいるのだが、これが実に興味深い。
護衛から借りたこの本には、筋肉を鍛えるための体のトレーニングについて詳しく書かれている。最近、少しずつ筋肉がついてきたと思うが、将軍の筋肉にはまだまだ足りない。
------ そういえば、母様は何で励ましの手紙をくれたんだろう?
先日、母様から届いた手紙にはこう書かれていた。
[心が壊れる前に、辛いなら帰ってらっしゃい。]
心が壊れるって、何が言いたいんだろうか---- まあいい。
筋肉に夢中になって読み進めていると、またエレナから複雑な言葉が聞こえだす。またよく分からない呪文を、唱えてるようだ。
------ もうすぐ街に着くしな、知らないフリをしよう。
--------
------ そうか、今日はうたえないんだな。
外を見るのにも飽きたのか、エレナが窓を閉めて息をハァーっ吐いた。
息を吐いたかと思えば、エレナが俺の尻をチラチラと見てくるのが分かる。
---- 何だ? お尻なんか見て、何か踏んでるのか?
気になっていると、エレナはバフっと音共に、大きなクッションを胸に抱いて目を瞑りだす。
---------- 稀に見る可愛さだな。 久しぶりに見た。
エレナの可愛い姿を横目でじっくりと堪能していたら、バレルシア王都の宿へと辿り着いた。
宿に着くと、興奮しているエレナが街に行きたいと言い始めた。放って置くわけにもいかず、筋肉の本を読みたい気持ちを抑え、しぶしぶ了承をしたのだが------
---- ん? 待てよ? これってデートか?
久しぶりに二人で街を歩く事に気付き、胸が高鳴る。
緊張してしまったが、エレナと手を繋ぎ部屋から外へと向かった。
胸の動きが激しく、音が煩い---- 耳が熱くなったが、エレナにはバレてないよな?
---- うん大丈夫そうだ。いつもの妄想モードに入ってる。
街を見ながら歩いていくと、通り過ぎる男達は皆エレナを見て顔を赤くした。中には近寄ってくる奴もいたので、牽制しながら歩いていく。
---- これだと屋台は難しいな。
エレナは金色の髪をゆるく巻き、ブルーダイヤのような瞳を輝かせて笑っている。軽く蒸気した頬に、ピンクの小さな形の良い唇は、男性が可愛いと感じる理想そのものだ。
そんな可愛いエレナが、俺をジーっと見てきたので、ドキドキしながらも、いつもの辛い物言いで話しかける。
「エレナ? また良からぬ事を考えてるのか?」
------ こういう時に限って、甘く言えないもんだな。好きな奴をいじめたくなるって本当だ----。
「ううん、ただヒロインは鈍感って思っただけよ?」
鈍感? それはエレナの事か? 何故、それを自分で言うんだ?
とりあえずここでは聞けないな、止まると危険だ。
エレナの手を強く握り返して、近くのカフェへと足を動かした。
先程のような馬鹿な発言は消え、カフェでは美味しそうにスウィーツを食べるエレナがいる。表情は、非常に--- ありえないほど可愛かった。
---- 今日は一日可愛い日だな、珍しい。
何だかんだ憎たらしかったり、愚かだなと思う日が多いのだが、デートというのは楽しいもんだな。しかも可愛い----。
大満足でエレナの横でお茶を飲みながら、周りの男達への牽制は続いた。
宿に戻りいつものようにお茶を飲んでると、エレナは食べたスウィーツに興奮しているからか、妄想ではなく独り言を呟いている。
よく、そんなに呟いていられるな------
呟いている事に気づかず話し続けるって、傍目から見ると結構危ない奴だ。
所々俺の名前が出てくるし、パンをちぎらなかったら、夜お腹空かなかったって、一体どういう状況なんだろう。凄く気になる。
ん? お菓子の家って何だ? 腐らないのか?
------ しかもまた魔女って言ってるな。エレナの物語は、魔女の出てくる率がかなり高い。一体何人の悪い魔女がいるんだろうか。
そもそも良い魔女がいるのか? 是非聞いてみたい。
とりあえず明日は早いからな、早く寝せるか----。
「明日、朝一番にバレルシア城に入るから、早く寝ないとだな。エレナ、明日はあまり興奮するなよ?」
「分かってるわよ! 私の事どう思ってるのよ?!」
-------- は?! 何だ?! 俺はどうすれば良い。
好きって、言うべきなのか?
でも明らかに話の流れは違うし、どっちが正解だ?
あー、どうしたら良いんだ!
「答えられないって、どういう事なのよー!」
エレナの声は、本当によく響く-----。
とりあえず寝せようか。
俺はエレナを侍女に頼んで、寝室へと連れて行って貰った。
何故か胸がぐるぐるしてベッドに入っても眠れず、少し寂しい気持ちのまま夜を明かした。
お読み頂き有難う御座います!
今回は漫画恋愛あるあるを書かせて頂きました。
漫画が好きな私、両想い後の主人公の幼馴染みや元カノが、必ず盛り上げてくれるのでつい楽しみに登場を待ってしまうんですよね。
鈍感じゃないヒロインをただ今捜索中ですが、まだ見つかっていません。まあ、鈍感じゃなければ逆に勘違いになるのかな?それはそれで面白いかもしれませんね。




