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第2話 女刑事の日常

 氷の美貌を持つ女刑事が所属している、警視庁捜査0課の部屋は警視庁の地下にあった。もっとも、その場所を訪れる警察関係者はごく少数しかいない。0課と関わりたいと思う酔狂な人間は、皆無に等しいからだった。


 過去の膨大な捜査資料が保管されている倉庫が設置されてある場所から、さらに奥に行った先に0課の部屋はあった。


「おはよう」


 0課課長の南方(みなかた)はいつもと同じ力のこもっていない声で挨拶をして、いつもと同じ力の抜けた顔で部屋に入った。


 壁際に南方のデスクがある。無論、地下なので窓はひとつもない。しかも壁は一面コンクリートの打ちっぱなしで、寒々しいことこのうえない。


 南方のデスクの前には六つ、0課の捜査員用のデスクが並んでいる。過去、この六つのデスクがすべて埋まったことは一度もない。0課は常に欠員状態が続いているのだ。


 唯一埋まっているデスクに座っていたのが、南方のただ一人の部下である、須佐之麗子だった。


「おはよう、須佐之くん」


「おはようございます」


 南方の方に顔を向けることなく、麗子は素っ気無い返事を返す。


「今日も朝から捜査資料の整理かね。仕事が大事なのは分かるが、怪異現象の専門家がいない現状では、これ以上捜査を進める術はないんじゃないのかい?」


 南方は麗子に世間話でもするような軽い口調で話しかけた。声と同様に、表情からは真剣さが感じられず、刑事にはとても見えない南方だった。五十代で警部という階級だが、出世街道からは完全に外れている。さらに今は0課という、警察組織からも見放されている部署の課長である。この現状では、朝からやる気など出るわけがないのもうなずける。


「前に捜査協力をしてくれていた、陰陽師の青年とかいうのだって、京都に帰ってしまったんだろう?」


「ええ、そういうことになっています」


「そういうことって、君がそう言ったんだよ」


「ええ、そうです。わたしも本人から、そのように聞きましたから。ただ、なんとなくですが、まだ都内にいるような気がするんです。だから、いつでも捜査が再開出来るように、こうして準備だけはしているんです」

 

 麗子は捜査資料に目をやりつつ、赤の他人と話すような口調で言った。


「君がそう言うのであれば、無理に止めはしないけどね」


 南方は席に着くと、今日最初の作業を始めた。パソコンの電源を入れることである。これから終業時間まで、ネット閲覧をして時間をつぶすのが、南方の毎日の日課なのだった。

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