04話勇者との遭遇
「どうでしたか? 凄い演出でしたけど」
「あ、あぁ。悪い」
いつまでも、驚いてる場合じゃないよな。ユキも気になってるみたいだし。
「それで、何のスキルでしたか?」
「ユキのおかげだな、今回は『火魔法』じゃなかったぞ!」
「本当ですか!」
ユキはキラキラと目を輝かせて、カイトの方を向いて何のスキルだったのか気になっているようだ。
「あぁ、【大賢者】ってスキルだった」
「えっ?」
「だから、大賢者だって」
急に静かになって、どうしたんだ?ボソボソ何か、呟いてるみたいだし。
「大賢者ってスキルが……本当なら、カイト様に勝てる人なんて」
「ユキ、どうした? 言いたいことでもあるのか?」
「い、いえ! そのスキルなら、きっと勇者にも勝てます」
なんか、妙にテンション高いな。
「それなら、いいんだけど。じゃあ、このスキルでいい?」
「はい! お願いします」
「じゃあ、スキル獲得する」
カイトが大賢者のスキルを獲得すると、目の前に『スキルを獲得しました』と表示された。
スキル欄を開きスキルを確かめると。
【スキル】
・運命の歯車
・大賢者
スキルが運命の歯車だけだったのが、大賢者も加わり2つになっていた。
大賢者のスキルって、具体的に何ができるんだ?
運命の歯車みたいに詳しくみたら分かるだろ。
そうして、大賢者のスキルを詳しく見ると……。
「何だこれ」
「どうしましたか?」
「いや、こっちの話だよ」
思わず声に出してた。
【スキル】
・運命の歯車
→スキルガチャ
・大賢者
→火魔法 →詠唱破棄
→水魔法 →全魔法耐性
→土魔法 →魔力強化
→風魔法 →消費魔力激減
→闇魔法 →魔力激増
→光魔法 →魔力高速回復
→聖魔法
→重力魔法
→転移魔法
→古代魔法
→空間魔法
→精霊魔法
→死霊魔法
→付与魔法
魔法系が全て使えるってことか?属性魔法全て使えるなら、どんな相手が来ても弱点属性で戦える。
それに、名前から想像するに魔法を使うときの補助てきスキルもある。
間違いなく、当たりスキルだな。
てか、俺が勇者なら魔王城行ってラスボスの魔王がこんなスキル持ってたら間違いなくクソゲー認定するわ。
「カイト様、お体に変化などはありますか?」
変化は、特にないけど……変な感覚だ。
魔法なんて使ったことも見たこともあるわけないのに今ならどの魔法を使えば何が起こるのかが自然と分かる。
物心ついた頃から使えてたみたいな感覚だ。
「変化はないけど、勇者にも負ける気がしないかな」
「それは、心強いです。カイト様のスキルが本当に大賢者ならおそらく。人間側にカイト様に一対一で勝てる人はいないと思います」
「えっ、ほんとに?」
「推測ですが」
うん?でも、人間側ってことは。
「俺と同じ魔王なら俺に勝てる人はいるってこと?」
「はい」
完全に言い切られたな。
最強の力って訳ではないのか。じゃあ、魔王達は本当に化け物の集まりなんだな。
「カイト様とは逆に、物理特化の魔王様と戦う場合どちらが負けるか分かりませんので」
「それに、カイト様は先程魔王になられたいわゆる赤ちゃんのようもの。昔から経験を積んできた他の方達に勝つのは難しいです」
「でも、人間側に負けないならよくない? 俺魔王なんだし」
「何を言ってるんですか?」
えっ、なんか呆れられてる?
「人間側だって、資源の奪い合いをしています。資源の豊かな土地に住んでいる人間達ですらです」
「過酷な環境に追い込まれている、魔族側で争いがないわけないじゃないですか」
た、確かに。
「だから、カイト様には他の魔王様達から狙われないほど強くなってもらわなくては」
「が、頑張ります」
スキルの内容もわかり、この世界のちょっとした魔族と人間の関係性などを理解したカイトは。
捕まったている、ユキの仲間達を助ける為に氷の勇者を倒す作戦を考えた。
「なぁ、やっぱり俺が勇者を倒すんだよな?」
「はい、カイト様が負けるときは私も一緒です」
それ、一緒にバットエンド迎えてるよね?
「いや、普通にユキだけでも逃げてくれよ」
「この世の中、私とあの子だけじゃ生きていけません」
「あの子?」
「カイト様の、後ろにいますよ」
「えっ?」
振り向いた瞬間、全身をモフっとした感触が包んだ。
さっき俺を攻撃した狼のことか。
それにしても。
「モフモフだな」
「はい! モフモフです」
その後、しばらくユキと一緒にモフモフを堪能した後気持ちを切り替えて仲間の救出をする為にモフコの背中に乗って占領されている元魔王の城に向かった。
モフコとはカイトが勝手に考えた狼の名前だ。
この名前をつけた時はユキからもっと可愛い名前をつけるように、言われたが面倒だったからそのまま呼ぶことにした。
◆
「カイト様、もう少しでつきます。準備してください!」
「えっ、もう?」
ついに始まる、勇者達との戦闘を目前に心臓をバクバクさせていると。
モフコが急に、跳躍をしたことによって空中に身を投げ出されそうになった。
「どうしたんだモフコは!」
「おそらく……こお」
ユキが喋り終わる前に、言葉をかぶせてきた人物がいた。
「見つけたぞ。残りの魔物2体」
「カイト様、来ました。氷の勇者です」
心の準備をする前に、異世界初の勇者と遭遇した。