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01話魔王としての異世界召喚

「ここはどこだ」


 自分の周囲には、大量の雪が降り積もっている。それ以外には、何もない見事な雪景色だ。


「北海道に飛ばされたってか?」


 でも、北海道に飛ばされるような事をした記憶は無いぞ!


 俺は、日課であるゲームをしてて……ガチャを回して……あれ?こっから、思い出せない。


「いや、そんなはずは」


 まさか、ゲームのガチャがきっかけでとかはないよね?


 そうして、自分の現状を把握しようとしていると、背後から雪を踏みしめる音が聞こえてきた。


「誰だ!」


 そう言い、振り向いた先にいたのは大きな狼に乗っている1人の少女だった。


 少女の、髪や肌は真っ白で雪のようだ。髪の毛は、短く揃えられていてお人形さんって例えがぴったりだ。


 特徴的なのは、瞳の色がルビーのような綺麗な赤色なことだ。


「貴方が、次の魔王?」


 少女が発した言葉の意味が、理解できなかった。


 その、少女は無表情でこちらを見ていた。


 俺の返事を待っているのか?


「ま、魔王ってゲームに出てくるあの魔王か?」


 冷たい視線に耐えれなかった俺は、変な緊張をしながらも魔王について聞き返した。


「ゲーム? あぁ、貴方達魔王が好むものでしたね」


「はい、貴方が思っている魔王であっています」


 貴方達ってことは、俺はこの子にとって魔王って設定なんだな。


「いつまで、この茶番に付き合えばいいんだ?」


 さすがに、はいそうですかと異世界召喚を認めれるかよ。


「信じてないのですか」


「当たり前だろ」


 こんな状況、普通ならもっとパニックになってもおかしくないぞ。


「大丈夫ですよ、すぐに信じますから」


 目の前の少女が、乗っている狼に何かを呟くと少女を背中から降ろし狼がこちらに向かってきた。


「えっ?」


 ちょっと待って、もしこれが夢とかの類だとしても2、3メートルもある狼が迫ってきたら怖いって!


 鋭い爪を持った前足を、上から振り下ろしてきたのを見て一瞬死を感じながらも回避行動をとった。


「痛っ!」


 精一杯避けたつもりでも、広い攻撃範囲から逃げ切ることは出来ず浅くだが背中を傷つけられた。


 この痛みって……現実ってことだよな。


 まさか、それを教えるために仕掛けてきたのか、いやでもさっきのは確実に殺しにきてた。


 自分の攻撃を回避されたのが癪だったのか、追撃しようと狼が再びその距離を詰めてきていた。


「あっ、これ死ぬ」


 死を覚悟し、瞼を閉じたが追撃が来ることはなかった。


 瞼を開くと、仕掛けさせた少女が攻撃を辞めさせていた。


「おかしいですね」


 少女は、そう言うと自信が命令し与えた傷の手当てをしはじめた。


「魔王なら、さっきの攻撃くらいでは怪我しないのですが」


「そうなのか?」


「はい」


「さっきのは、痛みを与えて現実なのを教えるためだったんじゃ……」


「いえ、逆ですよ」


 慣れた手つきで、背中の手当てをしながら少女は言った。


 普通なら、魔王として召喚される貴方達は自身に迫る身の危機でスキルを使うことができる。


 そして嫌でも、自身の使った非現実的な力を手にした事を理解し、今の状況が現実な事を認めざるえないらしい。


「怪我は例外なのかもしれませんね」


「どうですか? スキルなど使えそうですか」


 スキル、、何も感じないな。


 感じないといえば、こんな雪の中で寒さをそんなに感じないのは何故だろう。


「なぁ、その前に1つ聞きたい」


「はい、なんでしょうか?」


「名前はなんて言うんだ?」


 名前知らないと、何かあった時に呼びづらいしな。


「私の名前ですか、前の魔王様にはユキと呼ばれていました」


 ユキ……絶対日本人だったな、考え方が一緒だ。


「そうか、ユキか」


「気に入らなければ、好きなように呼んでください」


「いや、そんなことはない! いい名前だよ」


「そ、そうですか」


「ところでさ、俺寒さを感じないんだけど。これって、なんかのスキルな訳?」


 だって、今の俺の服装半袖半ズボンのパジャマだぞ。


 ユキの着ているような、防寒服じゃないぞ。


「それは、多分前の魔王様と同じ『環境対応』っていうスキルをお持ちなんだと思います」


「へー、それって凄く強くない?」


 だって、海の中でも宇宙だろうが対応するってことだろ?


「いえ、このスキルは魔王様なら皆持っているスキルですよ」


「えっ、そうなの?」


 レアスキルゲットとか思ってたのに。


「召喚された魔王様が、環境の寒さや暑さで死んでしまっては意味がないじゃないですか」


 それは、確かに。


「それに、『環境対応』といっても水の中で永遠と呼吸が出来るとかそういうのではないです。砂漠地帯や氷河地帯とかで生活が出来るくらいです」


「それでも、有能なスキルじゃない?」


「確かに、私からしたら羨ましい限りです」


「私は雪女、寒いところは得意ですが。暑いところは苦手です」


 ユキって名前、雪女からきてるな。


 1つ疑問なのが


「前の魔王はどうなったんだ?」


 死んだのか?


「あのお方は、発明家だったそうで」


「ある日、元の世界に帰る方法を見つけたといい。帰っていってしまいました」


 えっ、帰る方法あるの?


「待って、そんな簡単に帰れるものなの?」


「あの人は天才でしたから……それに、『全知全能』というスキル持ちでしたから」


 なにそれ、凄いチートな香りがするんだけど。


「てことは、その人が帰ってしまったから俺が代わりに呼ばれたってことか?」


「はい、そうなります」


 ユキの無表情だった顔の表情が少し申し訳なさそうになっていた。


「で、俺はどうしたらいいんだ?」


「魔王様が作ってくれた国を取り戻してほしい」


「今、どういう状況なんだ?」


「人間に占領されています」


 人間に?やっぱり、俺魔王ってことは人間の敵側になるってことだよな。


「人間って、ユキ達では勝てないのか?」


「無理です。人間側には勇者がいますから」


 勇者、テンプレだなぁ。


「勇者以外の人間なら、私の氷魔法で氷漬けにできる」


「けど、勇者には私の魔法が通じない」


「だから、貴方を召喚したのですが」


 おい待て、なんだそのテンション下がった的な顔は。


「俺が、思ったより弱そうだったと?」


「はい」


 はっきり言うんだな。でも、弱いと言われてもどうもできないしな。


「前の魔王は、すぐにスキルを使えていたのか?」


「いえ、色々と試していたみたいです」


「試す?」


「はい、合言葉があるんじゃないかとか」


「それで、どうやって使えるようになったんだ?」


「いえ、あの人は『そんなことだったのかよ!』と何かに気づいて使えるようになっていました」


 そんなこと……つまり、くだらないようなこと?


 普通ならわかるような、簡単なことだった可能性が高いよな。


 そんな簡単なことが気づかない状況?


「元魔王はどこで、召喚したんだ?」


「あの人も、ここと似たような場所で召喚されましたが……」


「スキルを使えるようになったのは? どこでだ」


「なぜそのようなことを?」


「必要なことなんだよ」


 この考えがあってれば、本当にくだらないけどな。


「ここですが」


 やっぱりか、てことは。


 俺が取るべき選択は……時間が来るまで仮眠だ!


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