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お金より必要なもの

作者: 伊都 空色

 

「やりたい事が見つからないとか、わからないとか言う

のは、やりたくない事をやるのに、最初はガマンしてた

のが、だんだんガマンしている事さえも実感が出来なく

なってきてるんだと私は思います。

 

 仕方がない。 そう自分にいつも言い聞かせてる習慣

がついていませんか? 」


 初めて参加した、グループ勉強会で、参加した一人が

した質問に対して、彼女が言った言葉に、僕はちょっと

グサッとさされた感じがした。



 「仕方がない、そう思う事を、自分に上手く言い訳が

 出来るように、誰もがなっていきます。


  そうしないと、やっていけないからです。

  

  ですが、それによって自分が本当にやりたい事か

 どうかを真剣に考える事がなくなってしまっている

 のが問題なのです。

  

  やれそうな事の中で、一番やれそうな事をやるのが

 やりたい事をやるというのではないのです。

  

  やりたい事というのは、今すぐやりたいと思う事な

 のです。 トイレに行きたいと思うのと同じ位、行き

 たいと思ったら、考える間もなく行っているという位

 のタイムラグのほとんどないものなのです   」



 トイレの話は分かりやすいが、やりたい事って、そんな

生理的なレベルなんだろうか。

 そう考えていると、違う一人が手をあげた。



「やりたい事を考える時に、お金の事は、どう考えたら

いいでしょうか?」

グループの中でも一番若そうな人が質問した。


「お金があれば、何でも出来るのにって普通は誰もが

思うかもしれませんが、それは逆に、お金がないから

出来ないんだっていう、自分に対して最高の言い訳に

なってしまいます。

 

 お金さえあれば出来るのに、今はお金がないから

出来ないんだとすると、本気で何かを考えようとい

う事にはならないのです。


 出来る出来ないを考えるのは、知識です。

 出来る事は何か、出来るためには何をしたらいいか

を本気で考えようとするのが智慧ちえです。  」




 そう言った後、彼女は、ゆっくりと

 グループの全員を見渡して

 僕のほう見て、「どうぞ」というような手つきで

 無言ながらに促された。


「あの、お金よりも必要なものってあるんですか?」

 僕は、思いついたままを質問した。

 

「それは、皆さん、それぞれに違うでしょうし、時間

とともに変わってくるものだと思います。

 

 ただ、ひとつ私が皆さんにお伝え出来るのは

 やりたい事を、やりたい時にやれる、という習慣を

今からでも、小さな出来る事から始めてもらえれば

それが自分には出来るっていう思いを徐々に大きく

していければ、お金より必要なものは『本気になれる』

事ではないかと私は思います。


 ただ、時間さえかければ、お金さえかければって

いう考えは、智慧ちえをしぼる、本気で考える

機会をうばってしまうものだと忘れないで下さい。」


 そう説明した後、彼女は僕のほうを見て

 僕か、次の誰か言葉を待っていた。


 誰も質問も意見も言う人はいなかった。


「では、今日はここで終わりますね」


 勉強会は終わったが、グループに参加した数人が

彼女に、いろいろと質問をしていた。

 どうして、終わる前には誰も何も言わなかったのに

今さら、聞いているんだろうか。皆の前では言えない

聞かれたくない話だったのだろうか。


 そんな事を考えながら、歩いていたので、

別の集まりのグループの人に何度となく、ぶつかり

そうになりながら駅に向かった。


 

 やりたい事を、やりたい時にやる

 考え方の習慣を

 小さな出来る事からやっていく

 

 今すぐ何が出来るのかを

 考える習慣が

 智慧ちえをしぼり 本気で考える

 

 仕方がないに慣れてしまった

 僕の考え方の習慣を変えれるかもしれない。


 


 電車の振動が、いつもより優しい気がした。

 

 

 FINE

 






 



 


 

 

 

  

 

 

 


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