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『幻影』

 それはもう一つの夢だったかも知れない。

 永遠の若さを得た不死者は世界を彷徨い続ける。

 そして、十七年ごとに故郷に戻り、少女が孵化するを待つ。


 ──すべての裸体の思想というものを彼が恐れていた。

   美しいものは必ず人間を殺す。

 

 それは昔、彼女の教えてくれた詩だった。

 あるいは、彼の願いだったかもしれない。


 ある年、不死者は待ちきれなくなって、土を掘り返してしまう。

 そこからは蝉の幼虫以外、何も出てこなかった。

 そして、彼は誤って、その幼虫を殺してしまう。

 それから彼女が彼の前に現れることはなくなった。

 

 卵を失ったためなのか、幼虫を殺したためなのか、理由はわからなかったが、そこで彼の夢は終わった。

次回『人語』

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