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警察官

作者: 神名代洸
掲載日:2017/01/08

警察官というか刑事に憧れを持つ奴はいるのだろうか?僕がそうなのだが。

そんな僕が警察官から聞いた不気味な話を聞かせてあげよう。


その日は定時のパトロールだった。時間は夜の10時。帰宅帰りに一杯という人もいるかもしれないとパトカーに乗って見回るのが夜の仕事だそうだ。

そんな日には事故などが起きやすいらしい。

たまたま通った道で事故があった。

信号無視した一台が対向車の車と接触し、歩道で歩いていた人をはねたようだ。

すぐに救急車が呼ばれたが現場は一時騒然となった。

ひかれたはずの男性が足をいびつに曲げたまま起き上がろうとしているのだ。

警察官は慌てて男性の肩を掴みそのまま寝かせようとするが、男性は痛みがないのか訳がわからないことを言っていた。

どうやらこの男性、飲んできた帰りらしい。

そこで警察官の1人が男に自分の足を見るように言う。するとその足を見た男性は悲鳴をあげた。

それはそうだ。

自分の足が違う方向に向いているのだから…。


「お、俺の足…どうなっちまったんだ?」「骨折して曲がってしまってるんですよ。だから動かないでください。」救急隊員にそう言われると男は震えながら頷いていた。


動かされるときは相当痛かったようだ。気がつくと意識をなくしているのがわかった。

そうなれば運び出すのは簡単。

何しろ痛みで暴れることはないからだ。

運転手も怪我をしていた。

エアバックがクッションとなったが、その衝撃で肋骨がやられたようだ。

信号無視した男性は軽い怪我だけで済んだようでたいして痛みを訴えなかった。

しかし運転手が言うには後続からボワれるように車をつけまわされ意識がそっちにもってかれていたと言うのだ。おかしい。その時の事故を目撃した人の話ではそんな車など走ってなかったと言うのだ。じゃあ、運転手が見たと言うのは一体?!

首をかしげるしかなかった僕だったが、説明を聞いて納得した。

この運転手、居眠り運転らしい。

寝ぼけていたのだろう…。

そんなはずはないと言うが、目撃者は一様に運転手の暴走という。

運転手は首をかしげるだけだった。


そんな中、新たにまた事故が。

それもまた決まって夜の10時。

今度は信号無視して電柱に激突した。

運転手は車体に挟まれ動くことができない。

痛みもあるようだ。

通行人がいた為通報されレスキューがやって来た。時間がかかるようだ。運転していた女性はうめき声をあげた。

意識だけはあるようなので駆けつけた救急医と警察官が質問をした。

すると後ろからボワれていたから慌てて走っていたと答えた。目撃者がいた為聞くと女性は一台だけで走っていたと言う。後ろには車は無かったと。

おかしい。

前の時と同じだと警官が呟いた。

立て続けに二回も同じような事故。

これでまた同じ事故があったらもう偶然では考えられなくなる。

目撃者は毎回違う人なので示し合わせることも無理だろう。


警官は頭を抱えた。


それから日も経たないうちにまた事故が。

警察官は皆一様に首をかしげた。

今度の事故も後続から猛スピードでボワれた為の事故と本人は言う。今度は居眠り運転でもなんでもなくハッキリとした受け答えができていたのだ。

目撃者はいない。

ただ、キューブレーキをかけた跡があり、事故を避けようとしたのがわかった。

その時横切ったのは赤いスポーツカー。

運転席は一瞬のことなので見られなかったらしい。

ただ何もなかったように思うと言っている。

じゃあ何か?

首のない何かが運転でもしていたとでも言うのか?不気味だった。

気持ちが悪くておえっとしそうになった。


それでもなんとか気持ちを切り替えると事故現場を調べて回った。今回目撃者はいなかったが、近くに防犯カメラがつけられていたのがわかったのでそれを見てみることに。


すると確かに後続から猛スピードで走って来る一台の車が…。しかも赤いスポーツカーが。

運転席を見て見ようとした警察官はコマ送りで見て見た。すると確かに誰も写っていないように見える。

何度も何度も再生をかけたが答えは同じ。

誰も乗っていないのだ。

震え上がった僕らは上に上げるかどうか悩んだ。それはそうだ。幽霊が出た為事故が起こったなんて普通ありえないのだ。

でっち上げることも考えたが、嘘が簡単にバレてしまう。

なので証拠のDVDと一緒に提出することにした。反応が気になる。しかし、一向に何も言ってこない…。何故だ?しばらくはそれでもジッと待っていた。結果を聞く為に。

そして出てきたのは驚かせる内容だった。


今回の事故は今までの事故とは違い、ハッキリとしている。族による追い掛けから逃げる為に起きた事故ということで落ち着いたようだ。族なんて今時走っちゃいないが…。納得はできなかったが、反論しようにも材料がない。

仕方がなかった…と。

そんな話を聞いた僕は納得ができなく、話の続きを催促した。

警察官はその時からその時間帯にパトロールを強化した。事故を未然に防ぐ為にだ。だが、不気味な事に今10時過ぎたが何も起こっていない。

まさか…もうそんなことは起きなくなったのか?そうだったらありがたいのだが。


……。

車の通りも少なくなり、静かになり始めた頃、それはやってきた。

エンジンをものすごくふかして。改造でもしてるのか?それほどにうるさい。

警察官はパトカーを急発進させた。

…にしても速い。

制限速度を超えてるのを確認すると警察官はパトカーで追跡を始めた。そして応援を呼ぶのも忘れてはいない。

道路を猛スピードで走り、信号も無視している。明らかな交通ルール違反だ。

サイレンを鳴らしながら拡声器で叫ぶ。

「止まりなさい!」

しかし無視しているかのようにスピードを上げる。

「逃すか!」

運転していた警察官は頭に血が上りスピードを上げていく…。

すると目の前を走っていた車がすぐ横までスピードを落としてきた。

そこで見たものは…首がない胴体だけの運転手だった。

「ひー!」

見ていた警察官は顔面蒼白だ。

運転手はじっくりは見られない。

だから携帯カメラで動画を撮影した。

しばらく並走していたが、やがて突然スピードを上げたかと思うと夜の街へと消えて行った。

最後まで動画を撮り終えると運転手に車を止めてもらい、一緒に見てみることに。

確かにそこにはあるはずのものがなかった。

そう、…首だ。

二人してビビってしまい、慌てて署に戻って上司についさっきあったことを携帯の動画とともに話して聞かせた。

上司も見て顔を引きつらせていた。

そりゃそうだ。そんなものが撮れるなんて…。

決定的な証拠となる。



そう言えば赤いスポーツカーで思い出した。

カーチェイスをして事故を起こした車も確か赤いスポーツカーじゃなかったか?

運転手は事故の時窓ガラスに頭からツッコミ首が千切れたはず。

その時の運転手ではなかったか?

震え上がる僕は警察官に話の続きを聞くと警察官はこう言った。


「これ以上話したくはない。」と。


納得はできなかったが、怖い思いをしたのはこの警官達なのだ。もし僕がそんなのに本当に出会ってしまったなら卒倒してしまうだろう…。それは理解できる。

そう思っていたのに、ある日僕も出会ってしまった。そう…赤いスポーツカーに。

スポーツカーなんて走ってるのをみることがほとんどない為分かってしまったのだ。これがそうだと。

怖い。正直な気持ちだ。

後ろをつけられてボワれると両手に汗が出てくる。

で、曲がるがそれでも後をついてくる。

「頼む。助けてくれ。」僕は必死に祈りながら車を走らせた。

怖かったが、徐々にスピードを落としにかかる。すると車の直ぐ後ろに張り付くように走ってくる。

ミラー越しに後ろを見た僕は運転席に誰もいないのを見て恐怖した。

心臓がドキドキする。

「どうしよう…どうしたら…。」

僕は必死に考えた。

近くの交番に駆け込もうと思い立ち、直ぐ行動に出た。ナビを使い近くの交番を探す。そして見つけるとそこに向かって車を走らせた。後続の赤いスポーツカーは気付かないのかついてくる。

後数百メートル…というところでスポーツカーは向きを変えた。


そして走り出した。

逆方向へ。

夜の町へと消えて行った…。

震える両手を何とか押さえ込んだが、なかなか思うように震えは止まらない。


「何だったんだ?今のは…。スポーツカーはどこに行った?」


わからなかったが、二度と会いたくないとそう思った。

今日もどこかで夜の街を走っているのだろうか…。それは誰も知らない。

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