8月22日、オレの喉
『ゴロゴロ、ゴロゴロ』
オレ達ネコは喉を鳴らすのが得意だ!落ち着いて気分が良いとき、安らいでいるときに自然と喉が鳴る。
『ゴロゴロ、ゴロゴロ』
このゴロゴロ音、オレのご主人は超大好きらしく、この音を聴くことが至福の喜びだとか・・。だからオレは、積極的にこのゴロゴロ音を活用する。頬っぺやあごを撫でられたときに。ご主人もオレも両方が気持ちいいひとときだ!
それを最近は翔太がやるようになった。体を撫でてくれるのはいいが、まだご主人のようにコツをつかんでいない。
「レオ、あれやって遊ぼうよ」
あれとはオレのゴロゴロのこと。
『いいけど、上手にやってくれよ』
「うん、じゃあこっち来て!」
オレは翔太のところへ歩み寄った。
『ほれ、やってみ!』
オレはあごを上にあげ、喉を見せた。
「うん」
チョロチョロ
『ぜーんぜんダメ。仕方ない、オレが実践してやるよ!翔太、ちょっと寝転んでごらん』
「わかった」
翔太は素直に横になった。
そしてオレは、手の肉球を翔太の喉にあて、ほどよい加減で動かした。もちろん爪はしまってある。
『どうだ翔太?』
「ゴロゴロ言わないね」
『当たり前だ。それはネコだけの特技!そうじゃなくて気持ちいいだろうってこと』
「ん、そうでもない」
オレはズッコケた!
そうか、この気持ちよさがお前にはまだわからないか・・。
『どれ、もう一回やってみ!』
オレはもう一度あごを突きだし目を閉じた。
「ん・・これならどうだ!?」
『痛っ!・・コラー、髭を引っ張るな』
「だって、こっちの方がおもしろいもん!」
『痛っ!・・両方引っ張るな』
「ん・・あははっ!」
「・・髭、そんなに楽しいのか?」
『うん!』
「たくもう・・」
オレは座りこみ前足を折った。そしてゴロゴロと喉を鳴らしてやった。
「あっ!ゴロゴロ言った」
今日は特別だぞ!普段は髭を引っ張ってもゴロゴロとはならないんだからな。
それからしばらくの間、翔太はオレの髭で遊んでいた。その間オレも、翔太に付き合ってゴロゴロと喉を鳴らし続けた。
気がつくと、翔太はすっかり夢の中だ。オレのゴロゴロが子守唄にでも聞こえたのかな。
そしてオレも翔太の脇で夢の中へ入っていった・・。
『ゴロニャー!』