お腹の生物
「レオ、レオは何人きょう☆い?」
『4人だ!』
「いいなあ!僕は一人☆子☆て言うん☆☆て」
『一人っ子?』
「うん。おとも☆☆から聞い☆ん☆。きょう☆いがいない子のこ☆を一人☆子☆て言うん☆☆て」
『オレも一人っ子みたいなもんだぜ!だって、この家に来てからはちっとも会ってないんだからな』
「寂しくない?」
『寂しいけど仕方ないさ!でも、ここには翔太もご主人もいるから楽しいよ』
「そ☆かあ」
『翔太は弟か妹が欲しいのか?』
「うん・・」
そして、2年の月日が流れた。翔太は小学3年生。
『なあ翔太、気づいてるか?』
「何が?」
『お前のママのお腹だよ!』
「お腹がどうかし☆の?」
『生物が宿ってる!間違いない』
「生物☆☆いきものの?」
『ああ』
「ええ!ママのお腹のなかに虫がいるの・・何の虫を食べ☆ん☆?」
『翔太、何バカなこと言ってるんだ。赤ちゃんだよ、赤ちゃん!』
「赤☆ゃん・・」
『翔太、お兄ちゃんになるんだよ!』
「僕ママに聞い☆くるー!」
そう言って翔太は駆け出した。
『ママ何だって?』
オレのところへ戻った翔太に聞いた。
「ま☆わかんない☆☆。あし☆お医者さんに行っ☆くるん☆☆☆」
『そうなのか』
「でもママビックリして☆よ!僕が赤☆ゃんのこ☆言っ☆ら」
『そうだろうな』
「レオに聞い☆☆☆言☆☆ら、も☆☆ビックリし☆☆!」
そして悲しいけどオレは気づいてた。翔太は『た行』のネコ語が喋れなくなっていたのを。
翌日、オレの言ったことは現実となった。
それを知った翔太のはしゃぎようときたら半端ではなかった。
何回も何回もママのお腹をさわり、オレとの会話も赤ちゃんのことばかりだ。
「しょう☆二せい、しょう☆ろう、しょうこ・・」
『なにひとりでブツブツ言ってるんだ?』
「ああ、レオ、☆ょう☆よか☆☆!レオも考え☆よ。赤☆ゃんの名前」
『えっ、もうそんなこと考えてるのか。まだまだ先の話だぞ!赤ちゃんが生まれるのは』
「いいじゃんか!考えるくらい」
最近はよく翔太の友達がこの家にやって来る。そしてオレを見つけると、駆け寄ってきて頭を撫でてくれる。でも、誰もネコ語は喋れないようだ。
友達と仲良く遊んでいる翔太はすごく楽しそうでいいんだけど、その分オレと遊ぶことはめっきり減ってしまった。俺としてはやっぱりつまらない・
ネコは、ひとにかまわれるのをそんなに好まないって思われてる。まあ間違いではないが、オレと翔太の場合は特別だ!
そうだよな翔太・・。
『ゴロニャー!』