邂逅
「しかし、よく分かったわね。迷彩なんて」
士官学校の帰り道。エリゼ、ガイと並んで帰るクラインは少し浮かれ気味だった。
「いや、偶々迷彩があるところを見てただけだよ。風が吹かなかったら分からなかったしね」
「とはいえ、これは成績に加算されるんじゃね?」
クラインだけでなくガイも有頂天になっていた。
時刻は夕暮れ。ビルや住宅の隙間から陽光が差し込む。
ここは市街地に近いので田畑は見られない。舗装された道路の上を三つの影が通る。
「しっかし、あの人達どうなるんだろうな?」
ガイがどこか気だるげに話す。エリゼがどこか顎に手を当て考える。
「スパイ……の線は無さそうね。そもそもこの星には異星の方が来たことないから何とも言えないわね」
「交戦国は無いし、捕虜待遇はなさそうだな。ま、お偉いさん次第ってところだろう。」
エリゼとクラインが受け答えしていると、クラインの端末に連絡が入る。相手は父親だった。
「父さんからメールだ。えーと、早く帰って来いって」
ガイとエリゼは両親を早くに亡くし、クラインの両親が二人の親代わりとなっていた。
報せを受けた三人は小走りで帰宅した。
クラインの家は都市郊外にあるかなり大きい一軒家だった。五人で済むには広すぎるので、豪邸と言っても過言ではなかった。
父親が勝手に地下に部屋を拵えたので秘密基地のような感覚に陥る人もいるかもしれない。
入口のドアを開く。中からは話し声が聞こえる。
(誰か来てるのか?)
(女性の声?誰かしら?)
(あー、早く飯食いて―な)
三者三様の反応を見せる中、奥のリビングから両親が顔を出す。
「おっ、やっと帰って来たか」
「父さん、誰か来てるのか?」
「まあ、落ちつけクライン。その話は今からする」
「貴方達もリビングにいらっしゃい」
両親はそれだけ言うとまたリビングに戻った。
「とりあえず行こうか」
三人もリビングへと向かう。
扉を開けたその先には、五人の少女が居た。
三人とも見覚えがあった。いや、見間違えるはずがなかった。
今日演習中に見つけた少女達であった。
「来たか、今日から数日間家で彼女たちを預かることになった。まあ、仲良くしろよ」
「えっ?」
素っ頓狂な三人の声が重なる。
「ん?聞こえなかったかしら?この子たちを家で船が修理できるまで預かるのよ」
ソファーで足を組みながらコーヒーを啜る母親が言う。
五人の少女の視線が三人に集まる。
「これからお願いします」
クラインは一抹の不安を煽られつつも、賑やかになりそうだと未来に思いを馳せた。




