表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
優しい竜と一緒に森に住んでます  作者: 比呂子
第1章
6/47

6 ーヴィルクス視点ー

思ったほど進めなかったのでヴィルクス視点を6話と7話で分けます。m(_ _)m

泉から20分程の距離にある家の前にティーヴァから受け取った荷物と、朝持って行った荷物を持って立ち、防犯の為に掛けている魔法を解呪する。

3年前からリルムと暮らしている家は2人しか住んでは居ないが、ティーヴァや知人がリルムに会いに来る為そこそこ広い。

一階はキッチン・リビング・浴室・トイレ・多目的ルーム、二階には客室・リルムの部屋・書斎・俺の部屋・物置部屋がある。

ティーヴァから受け取ったリュックから頼んでいた調味料を出し、キッチンの台に置き二階のリルムの部屋へ向かう。

部屋の戸を開けると、リルムの好きな薄いピンクの壁紙と縫いぐるみ達が並ぶ壁紙と同系色のベッドが目に入ってくる。

入って右側のクローゼットを開けて、新しい服とそろそろ着れなくなる服等を入れ替えていく。


時間ときが経つのは早いな…。)


新しい服より一回り小さい服を手に取り、過去を思い返す。


ー俺の名は《ヴィルクス・ジルベント》今から250年前、成竜になり初めてさとを出て住処となる地を探していた。

竜族のさととはおさと呼ばれる竜を中心に長が郷と定めた地で暮らす竜達の住む集落の事だ。

竜は成竜になる時に郷を出て外に住処を持つか、郷に残るかを選ぶ。

俺は郷の外に住処を持ちたくて、色んな国を旅したが

中々良い土地が見つからず、休憩のつもりで降り立ったこの森であまりにも頻繁に魔獣に絡まれ、八つ当たり気味に片っ端から狩っていた時に村人達に会った。

一番近い火のファルアから仕掛けられた戦の所為で、若い男を戦力として徴兵され村には女・子供・老人だけしか居らず、魔獣を討伐出来ず被害ばかり大きくなり諦めかけた所に俺が魔獣達を退治してくれたと感謝された。

それまで《人間》は見た事の無かったオレは、《人間》のあまりの弱さに驚いた。

竜族は卵から孵ったばかりの者を除いて総じて力の強い種族の為、この森で狩った弱い魔獣にはまず負ける事が無い。

俺は村の代表だと言う老人に聞いてみた。


【なんでそんなに弱いのにこの森から離れないんだ?】

「……申し訳ありません、竜族の言葉が解るものはこの村にはおりません。

私達にも解る言葉でお話しいただけませんか?銀竜殿。」


本当に申し訳無さそうに願う老人の言葉に、仕方ないなと《人間》にも解る言葉でもう一度聞いてみた。


何故なにゆえその様に弱い其方らはこの森から離れぬのだ?」

「おぉ、ありがとうございます。

…遠くまで旅する事も叶わぬ身なのです、次の村に行くにも遠く…小さな赤児や年老いた者達を連れては行けぬのです。

先祖達と同じ様にこの地に骨を埋めるしか無いのですよ。」


哀しそうに返答する老人に同意する様に暗い顔で頷く村人達になんとも言えず、暫し森を見渡し考える。


(何処も似た様に感じられて決めかねてた住処を此処に決めても良いかもしれない、この森は魔獣さえ減れば住みやすそうだし綺麗な泉も奥に行けばあるしな…)


老人に眼を向け提案してみる。


「我は今まで新しい住処を探しておった所だ、この森に住む代わりに魔獣位は退治してやろう。

彼奴等アレらは我が住むにも邪魔になる。」

「お…おぉ、本当ですか⁈

この森に住んで魔獣を退治して貰えると⁈なんとありがたい!」

「ならば、此処より更に奥にある泉に近寄らぬ様にしてはくれぬか?

住処に許しの無いものが近づくのは好まぬのだ。」

「元々泉から奥には我々の村からは少し遠いのであまり入りません、そんな奥に入らずとも十分生活していけますから何の問題もありません。

本当にありがとうございます銀竜殿。」


俺の話に心から安堵したように微笑い、跪き頭を垂れて感謝する老人に習い礼を述べる村人達。


「「「ありがとうございます!銀竜殿!」」」


そんなやりとりを村人達としてから200年以上が経った《花の季節》にリルムが俺の前に現れた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ