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泉の側に敷き布を広げて、その上で父様特製お弁当を食べました。
今日のお弁当は、シャキシャキ草と卵のサラダをパンで挟んだサンドイッチ・ポチリ鳥の唐揚げ・ニムニムのハンバーグ巻き・スライスしたナチのスープ・デザートにシュハナのゼリー。
父様が昨日から準備して、朝早くから作ってくれたお弁当です。
竜は基本、料理はしないで獲物や果物を丸かじりするのですが。
私の為に料理を覚えて、美味しいご飯を作ってくれる様になってから同じ物を一緒に食べているのです。
果物は時々丸かじりしてるけど、生のお肉はもう丸かじりしていないのです。
時々失敗したりもするけど、私の為に頑張ってくれる父様が大好きなのできちんと食べます。
綺麗に食べるととっても嬉しそうなお顔になるので、私も嬉しいのです。
「父様、今日も美味しかったのです。
ありがとうなのです。」
「父様もリルムが美味しいと言って食べてくれて、嬉しいぞ。
父様の分のシュハナのゼリーも良かったらお食べ。」
「やった〜!父様の作るシュハナのゼリーはとっても甘くて美味しいからいっぱい食べれて嬉しいのです♪」
父様の分のゼリーを貰って喜ぶ私を見て、父様のお顔もニコニコしているのです。
早速食べようとしたのですが、誰かにじーーーっと見られてる気がして手が止まってしまった私を見て父様が…。
「馬鹿が来たか。
影から覗かずに出てきて此方へ来れば良いだろう!」
ボソっと呟いた後に私の右側にある樹々に向かって大きな声で呼びかけました。
父様が声をかけた方に眼を向けると、樹の後ろから大きなリュックを背負った、スラリとした体型で父様よりは少し低いけれど私にはとっても背の高い。
紅い髪の合間からピョコンと生えた三角のお耳と、お尻に紅いフサフサの尻尾の生えた《狼の獣人》が出てきました。
「いや〜、美味そうな匂いに声かけそびれた。」
「ティーヴァ!こんにちはなのです!
影から見てるのはメイドさんか変態さんだと父様が言ってましたが、ティーヴァはメイドさんじゃないので変態さんだったのですか⁈」
「ちょっっ!リルムにどんな教え方してんだよヴィルクスのオッサン⁈」
父様がこの間教えてくれた事を思い出してティーヴァに聞いたら、慌てた様子で離れた場所から一気に父様の名前を呼びながら走って来て叫びました。
あっ、すぐ忘れそうになるのですが《ヴィルクス》は父様の名前なのです。
私は《父様》としか呼ばないのでよく忘れてしまうのです…反省なのです。
それよりももっと大事な事をティーヴァに言わなければいけないのです!
「父様はオッサンなんかじゃないのです!若いのです!」
「いや、確か今年の水の季節に450になるって言ってたからオレからすればオッサンじゃすまないくらいの歳だぞ!喋り方もジジ臭いし!」
「竜族は長生きで平均寿命?って言うのが三千歳位だから竜族の中ではまだまだ若いって父様が言ってました!
話し方は『皆んなに解る言葉で喋ろうとするとこんな感じにどうしてもなってしまうのだ。』って言っていたのです!」
父様はオッサンじゃないのです!ティーヴァは失礼なのです、喋り方も父様はちょっぴり気にしているのをしってます…私は父様に合っていてカッコイイと思うのに…。
私がティーヴァに抗議をしていると、父様がいつの間にか私の向かいからティーヴァの背後に移動して勢い良く頭を上から殴りました。
ガンッ!
「ッッ⁈痛ってーーー⁈」
「喧しい、サッサと座って食べぬか馬鹿者。」
とっても痛そうな音の後に殴られた頭を押さえてしゃがみ込むティーヴァに、父様が呆れた様な溜め息を吐きながら座ってティーヴァの分もきちんと用意してあったお弁当を食べる様に言いました。
父様は怒らせてはいけないのです…。
⚪︎シャキシャキ草と卵のサラダのサンドイッチ=レタスと卵サラダのサンドイッチ
⚪︎ポチリ鳥の唐揚げ=鳥の唐揚げ
⚪︎ニムニムのハンバーグ巻き=肉巻きポテト
⚪︎スライスしたナチのスープ=オニオンコンソメスープ
⚪︎シュハナのゼリー=苺のゼリー
料理の名前考えるのが大変だと染み染み思いました…私自体料理は上手な方では無いので、読んでくれている方が美味しそうに僅かながらでも感じて貰えるように頑張りますm(_ _)m