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優しい竜と一緒に森に住んでます  作者: 比呂子
第1章
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今日は父様が泉の近くに、果実を採りに連れて行ってくれると言うので朝から張り切ってます!


「リルムおいで、父様との約束は覚えておるかもう一度聞かせておくれ。」


父様が少し離れた場所からはしゃいでいた私を呼びます。


「父様、私5歳になったのだからお約束はちゃんと覚えてます…」


少し頬を膨らませながら父様に叫びます、そんな私に父様は少し微笑みながら。


「わかったわかった、そんなに膨れずともよい。

賢いリルムの事は信じておるが、父様を安心させる為と思ってもう一度聞かせておくれ。」


仕方ないとばかりに私は、父様とお出かけ前にしたお約束を口にしました。

私は良い子だから父様を安心させてあげるのです。


「一つ、父様が見えなくなるまで遠くには行かない。

一つ、可愛い生き物を見つけても勝手に追いかけない。

一つ、もし離れてしまったら父様を直ぐに呼ぶ事。」


私はきちんと覚えている事を父様に伝えました。

私がお約束をきちんと覚えている事を確認した父様は、近くに来て頭を撫でて褒めてくれました。


「そうだ、きちんと覚えていて偉いぞ。」


それから父様と手をつないで、私は果実が生っている樹の場所まで歩きました。

樹には小さな私の手には大きな黄色い実が沢山生っています。



この世界には季節が四つあって、《花の季節》・《水の季節》・《太陽の季節》・《氷の季節》があります、一つの季節は三期に分かれ一期は四週に分かれます。

一週は7日で《光の日》・《月の日》・《火の日》・《水の日》・《樹の日》・《雷の日》・《土の日》があります。

其々の期の始まりと終わりに、始まりの日と休息の日入れて一期は30日でこの世界は360日で一年だって、この間父様が教えてくれました。



今日は《花の季節》二期の三週目の《月の日》です。

この季節のこの森は、綺麗な花と美味しい果実が沢山あります。

今私の前にある黄色い果実は 《ミルの実》といって、とっても甘くて美味しい果実です。

私の背は小さいので、竜に成った父様の頭に乗せて貰って高い所にある《ミルの実》を家から持って来た鞄に採っていきます。

私にとっては大きな樹でも、竜の父様にとっては大きく無いのです!

竜の父様の体は人型の時には長い髪と同じ色をした銀の鱗で、淡い水色の瞳に縦長の瞳孔をしたとっても大きな竜です。

大きさはある程度は父様は変えることが出来ると言っていました、今は頭に乗せている私が実に届く位の大きさになってくれてます。

こんな風に頭に乗せてくれるのは私が父様の子供だからだと言ってました、どんなに仲の良い人間でも他の子はイヤなんだそうです…なんでかは解らないけどそれを聞いた私は嬉しかったです。

人型の父様の背は190セーチメルン《190センチメートル》で、お顔はこないだ読んでくれた絵本に出てきた神様みたいに綺麗なお顔をしてます。

笑ってない時は始めて王都で買って来てくれた人形の様でちょっと怖いです、子供を育てた事のない父様は私を育てると決めた時に村の人に相談したそうです。

その時に小さい女の子は人形が好きだと言われ、王都で人気の人形があると聞き必要な物を揃える為に王都まで行って買って来てくれたのです…。

竜の父様は村から馬車で一月はかかる場所にある王都まで一時間もあれば行って帰ってこれます、その間私は父様が作った卵型のベッドですやすや眠ってました。

ご飯や着替えやお家(父様にまだ買い物の仕方は教えてもらってないのでどんな風に売っているのかわかりません。)と一緒に買って来てくれたのですが…確かに綺麗なお人形だったのですが…私には無表情で綺麗過ぎて怖かったので大泣きしてしまいました。

父様が買って来てくれた人形ですが、それ以来見ていません…どこに行ってしまったのでしょうか?


「どうした?リルム、もう実は採らないで良いのか?」


手に採った実を見つめて止まった私に父様が優しく聞いてきます。

父様に聞かれて鞄を見た私はいっぱい詰まった実を見て答えます。


「うん!もう鞄にいっぱいだからもう良いよ。」


それを聞いた父様が地面に顔をそっと着けてくれたので、父様の顔を滑って降ります。

小さい私には結構な高さがあるけど、父様が風を使って優しく降ろしてくれるので平気なのです。

父様が使う風は《魔法》と言うのだそうです、人間は呪文を使ってこの世界の力を借りて魔法を使うそうですが、竜の父様は呪文無しでこの世界にある力を使えるそうです。

父様が一番得意な魔法は氷だそうですが、他にも色んな魔法が使えます。

いっぱい採った《ミルの実》の入った鞄を父様に渡したらお昼ご飯まで遊びます!

今日のお昼は何だろうなぁ♪








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