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魔殺しのベルセルク  作者: のぶなが
精霊ツクヨミ契約編
9/23

幽霊ではなく

がんばるか、と決意を決める。もう、やるしかない。たとえ、フェンリルが、五割しか力を出さなくても、ここで負けたら悔しい。


「よろしくお願いします。海斗さん」


「こちらこそ。ガドマさん」


いかにもリア充顔だ。負けたら恥だな。


「それでは、おらぁっ!」


まずは、俺から先制攻撃。フェンリルで斬りかかる。この時は、フェンリルは力を出していない。


俺が振り下ろした剣は、金属音と共に、弾かれる。


「そんなもんですか?期待はずれです」


弾かれた俺は、ヨロヨロと、体制を崩し、ガドマに背中を見せてしまう。


「私の勝利、ですね」


と、澄まし顔で、背中を狙ってくるが、再び響く金属音。


「なっ?」


「誰の勝利だって!?」


こっちには五割のフェンリルがいる。たとえ、半分でも、その力は強大らしい。完全に体制を崩したが、右手だけが、動き、剣を弾く。


「やるようですね」


「それは、どうも」


体制を直し。今度は自分の力で、剣を振る。しかし、その振りは、あまりにも隙が多すぎる。と、ここでフェンリルが一言、


「たく、しょうがねぇな」


「え?うぁ!」


体が、右手に引っ張られて、右から振った俺の右手は、ものすごいしなりをみせ、左へ。ガドマの脇腹の鎧を叩く寸前で止まる。


「勝負あり!山崎海斗の勝利です」


みたか、このやろう!イヤー、気持ちいい。ガドマの顔は、悔しさと、憎悪にみちていた。そして、国王の顔もまた、しかり。


だが、


「なあ、フェンリル。なんで、最後力出してくれたんだ?」


「もしお前さんが負けたら最強じゃなくなっちまうからな」


「そうか」


と、納得。つまりは、ベルセルクの面子のためか。しかし、フェンリルは、それとは違う理由もあったらしく、


「それにな、声が聞こえたのよ」


「声?」


「おうよ。誰かは、わからないけどな。いや、アイツか?」


フェンリルには、声の主に心当たりがあるらしい。


「誰だよ。アイツって」


「昔、一緒にいたヤツだよ」


昔、一緒にいたヤツ?まさか、フェンリルのお嫁さん?とか、考えるが、剣だし、そんなわけねーか、と言う結論に至る。ここで、アリサが、声をかけてくる。


「海斗!よくやったわね」


「当たり前じゃねぇか」


「おい。お前さん、俺の力で勝てたんだろ」


「気にしないって!」



闘技場での勝負。勝者、山崎海斗。





「いやー。疲れたわね」


アマラス王国の宿に今日は泊まることになり、今は、カウンターで受付をしているのだが、


「海斗さん。荷物を部屋まで運んでおきます」


「ありがと......」


やっちまった。来るぞ。


「だーかーら、私のも持っていきなさいよ!」


「わかりました。海斗さんのを置いたらまた来ますから」


「さっさとしなさいよね」


受付をすまし、廊下を歩いて、部屋に行こうとすると受付の人が、


「あのー」


「なんですか?」


「申し訳ないのですが、この宿、幽霊がでますので」


「はぁ、幽霊、ですか」


幽霊がでる。まぁ俺は、幽霊を信じていないが、宿で幽霊がでる、と言う所は珍しいな。


「アリサ、幽霊だってさ」


と、笑いながら話しかけたのだが、


「ゆ、ゆ、ゆうれい......」


「お、おい!大丈夫か?」


アリサの顔は、真っ青を通り越し、目まぐるしく色が変わる始末だったのだ。


「お前、幽霊苦手なのか」


「う、うるさいわね!に、に、苦手なわけないでしょう!」


そうか。アリサの弱点は幽霊。覚えておこう。何かの役にたつかも。


しかし、本当に幽霊が出るのなら見てみたいものだ。俺は、一度も見たことないから、信じていないだけで、見ることができたなら、俺は信じる方に傾くだろう。ま、どうでもいいか。





――夜――


トイレに起きちまった。いつもは、こんなことないんだが。暗い廊下を突き進む。たしかに、何か、出てもおかしくない雰囲気だが、


「トイレ、トイレっと」


用をたしトイレを出て、再び先程の廊下を歩く。部屋の前まで来て、自室のドアを開けようとした時、


「光り?」


そう。ドアと壁の隙間から光が漏れているのだ。つまり、部屋の中が光っていると言うこと。


「まさか......」


いや、でも幽霊って光るのか?そんな話聞いたことないが。光る幽霊か、新種?

ならばここは、ドアを開けて確かめるしかない。寝れないし。俺は意を決してドアノブに手をかけ、ドアを開ける。


「え?」


光の主は、宙に浮いている和服姿の、女だった。そう、まさにかぐや姫のような。整った顔立ち。品のある雰囲気。


「あいつが、ベルセルクだ」


フェンリルが、喋っている。


「そうですか。夜分遅くに申し訳ありません」


「あ、いや、あの......」


動揺に動揺が重なってゆく。一体この状況は何なんだ!と、とりあえず、だ。


「フェ、フェンリル。お前、この人のこと知ってんのか?」


「おうよ!」


フェンリルが知ってるってことは、まさか......


「わたくし、ベルセルクの精霊をしております、ツクヨミ、と申します」


やっぱり。ベルセルク関係だ。昼間いっていた、昔一緒にいたヤツって


精霊、か。




第二章


『精霊ツクヨミ契約編』


開始。


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