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魔殺しのベルセルク  作者: のぶなが
副隊長試験編
8/23

挨拶は伝統です

「それでは、これから、副隊長任命式を始める」


大衆の中、俺は、王国騎士団の制服に身を包み、堅苦しい格好で立っていた。


「山崎海斗。この者を第一騎士団、副隊長に命ずる。ハルバニア王国、国王、イセリア=アーニング」


差し出された賞状を受け取り、礼をし、席に戻る。


「副隊長、か」


一言呟き、空を見上げた。今日は快晴だ。





「あー。疲れたわ」


「疲れたって、アリサは、イスに座ってただけじゃん」


「うるさいわねぇ。私ああゆう、堅苦しいの嫌いなのよね」


アリサの家に帰ってきた俺とアリサは、『副隊長任命式』の疲れを癒していた。


「海斗さん。お茶が入りました」


「おぉ、サンキュ」


「なんで私より先に、海斗なのよ!」


またか。また、二人の言い争いが始まる。このところずっとだ。


「海斗さんは、今日副隊長になったのですから、優先です」


「だーかーら。あんたは、今私と、契約してるんだから私優先でしょ!」


あの日からルシアさんは、アリサの家のメイドをしている。何故か、と言うと。全ての元凶はズバリ!アルト村の村長だ!


「アルト村を救ってくださったお礼に、メイドを一人、契約いたしましたのでお使いください」


と。勝手に村長が契約してしまったのだ。そして、そのメイドはルシアさんだった、と言うわけだ。おまけに、メイドの契約は、主が死ぬまで。つまり、アリサが死ぬまで切れないらしい。


ところで、


「アリサ、挨拶いくんだろ」


「そうよ!そう。急がなくちゃ」


挨拶、というのは、俺が、騎士団副隊長になった、という挨拶だ。なんでも、ハルバニア王国の伝統らしい。

だが、近所に挨拶に行くのではない。近隣の国に挨拶に行くのだ。五つある。2ヶ月程、渡り歩くらしい。


「荷物まとめなきゃな」


「海斗さん。やっておきました」


「おぉ!ありがとな」


「なんで私のはやってないのよ!」


また、ケンカが、始まる。


「あー、俺外にいるわ」


と、逃げ出した。二人は何か言い争っているが気にしない。ドアを開け、外に出る。そして、壁によっかかり、何気なく、町を見渡す。

いつもの忙しい感じの町だ。ボーっとしてるのもつまらないので、フェンリルに話しかける。


「あーあ。なんであんなに、アリサと、ルシアさんは仲が悪いのかな」


「......お前さん。マジで分かってないのか?」


「わかってない?なんのことだ?」


「そりゃお前、あのメイドの気持ち......おっと。これは俺が言うことじゃねぇな」


「なんだよぉ。気になるじゃねぇか」


「そのうち気づくだろうよ」


フェンリルのヤツ、なんだよ。わかってないって。と、思っていると、突然目の前に黒い影が、


「行くわよ!アマラス王国」


「へいへい」


「海斗さん。荷物お持ちします」


一つ目のアマラス王国に向けて、出発。







「あんた、失礼のないようにね」


「わかってるって」


アマラス王国、宮殿内。

馬車に揺られて三時間。正直酔った。そして、酔ったまま、アマラス王国の国王に会うのだが、うぅ、気持ち悪い。俺とアリサは立て膝をし、大きな扉が開くのを待つ。少し待つと、嫌な音をたて、扉が開いていく。


「よくぞ参ったぞ。ハルバニア王国の者よ。顔をあげてよいぞ」


国王に従い、ゆっくりと顔をあげてゆく。そこには、赤と白の服を身に纏い、玉座に座している男がいた。あれが、国王か。


「お前が山崎海斗か?」


指を指され一瞬動揺するが、


「は、はい。この度、ハルバニア王国、第一騎士団、副隊長に任命されました、山崎海斗にございます」


アリサに馬車の中で、散々こう言え、と言われていたことを喋った。


「そうか。お主、噂によるとあの、マッグルを一人で倒したそうだが?」


アルト村のことか。


「はい」


「そうか。剣を差している所を見ると、お主、剣士のようだが?」


「あっ、はい」


しまった。二つ返事で答えてしまった。まぁ、でも、俺って剣士だよな?


「そうか。ならば、やってほしいことがあるのだが」


「な、なんでしょうか」


「我が国の騎士団長と手合わせをお願いしたいのだが」


「え?」


素で驚いた。何故、俺が騎士団長と手合わせを......


「引き受けさせて頂きます」


「えぇ!?」


本日、二度目の素での驚き。答えたのは俺ではなく、アリサ。なんでお前が答えんだよ!


「そうか!良かった。それでは、闘技場に移動しよう」


あ、うん。その方向で決まったのね。






闘技場に移動中、


「アリサ!なんで、勝手に答えんだよ」


「あの国王が、気に入らないからよ」


「なんだそれ」


「あいつは、自分の国が如何に強いか示したいだけなのよ。ここで断ったらナメられて、これからの外交が不利になるわ」


あー、なるほど。


「つまり、あまりハルバニア王国とアマラス王国は仲が良くないと」


「そうよ」


「じゃあなんで挨拶なんかするんだよ」


「仕方ないでしょ。それが、伝統、なんだから」


そうか。伝統ねぇ。


「着きました」


その声で、前を見る。気づいたら俺たちは、古い闘技場についていたらしい。


「お待ちしておりました。あなたが山崎海斗さん、でしょうか」


「あっ、はい」


突然声をかけられ、なんだ?と思っていると、あちらから、鎧に身を包んだ男がやって来る。......ガシャガシャうるせぇな。


「私、アマラス王国、騎士団長の、シーズ=ガドマです」


「よろしくお願いします」


「こちらこそ」


と、軽く挨拶したら、部下が居るところへすぐに戻ってしまった。


「あんた、必ず勝つのよ。負けたら死刑」


「負けねぇって!な、フェンリル」


「おうよ。俺が付いてるからな」


「ほら見ろ」


ドヤ顔で、アリサを見る。が、


「でも、いつも。俺の力があると思っちゃいけねぇ」


「え?」


「今日は、五割しか、力はださん」


「え?なんで?」


「だるい......」


だるい、だと?


「いやな、この前のマッグルの時、あまりに久しぶりだから、張り切りすぎちまって必要以上に力を出しすぎちまったのよ」


「え?そうなの?」


「おうよ」


あー。でも、五割あればね、何とかなるでしょ。ほら、元がスゴいし。


「あっちの騎士団長、相当強いわよ」


「それでは、これから練習試合を始めます」


これは、波乱の予感......


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