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魔殺しのベルセルク  作者: のぶなが
副隊長試験編
4/23

副隊長試験、そして......

「本っ当に何なのよ......あんた」


「俺も、良くわかんねぇよ」


一体、何度目だろうか。この会話。






剣を買ったあの日。練習をするはずだったんだが。


「とりあえず、腰を低く、それで、相手の剣を良く見てやりなさい」


「よっしゃ!」


アリサは遅めに剣を振ってくる。俺は、両手で剣を持ち、アリサの剣を、受け止めようとするのだが、


「うぉ!」


金属と金属がぶつかる音が響く。


「なによ。変な声出しちゃって。それに、剣は両手で持ちなさいよ」


「違う......俺じゃねぇ」


「はぁ?」


俺は......いや、俺の手は勝手に、動き、右手のみで、剣を受け止めていた。俺は、なにもしていない。


「勝手に、動いた」


「勝手に、動いた?そんなわけないでしょ。次、行くわよ!」


それから、毎日のように練習をしていたのだが、勝手に動く俺の腕は、最強の剣士になっていた。どの、角度、どの場所から剣が来ようと、俺の右手は受け止める。相変わらず、俺はなにもしていない。


それで、さっきの会話ってわけだ。


「信じられないけど、あんた

、剣の腕前は私より上だわ」


「だから、俺じゃねぇんだって」


「じゃあ、何なのよ。また。勝手に、動いたっなんて言うつもり?」


実際そうなんだが。横に置いてある、剣を手にもち、考える。やはり、この剣は、何か特別な物なのだろうか。俺が振っても折れない。そして、勝手に動く。いや、もしかしたら、勝手に動くのは、この腕輪のせいかも知れないが。



―――そりゃあどっちもだな



「あんた、なんか言った?」


「いや、俺、じゃねぇ」


「俺だよ。オレ」


声がした方を見る。しかし、そこにあるのは剣。


「あんた、ほんとは何かいったでしょ」


「いや、なんもいってないけど」


「だーかーら。俺だよ!」


次は確実に声の主が分かった。


剣が......


「しゃべったーー!」


あまりに驚き、ひっくり返る。二人で......





「で、お前は何もんだってゆうか、なんで、しゃべんだよ」


「俺はな、ベルセルクの剣、フェンリルだ」


「ベルセルク......」


「大昔、封印された主、ベルセルクの剣ってわけよ。でも、まさか、またベルセルクに会えるとはね」


二人ともひっくり返り、剣が喋ったことに、驚きつつ、剣の取り調べ中。


「本で読んだことあるわ。封印された、ベルセルクは剣を使っていたって。その剣はベルセルクを幾度となく、助けたって」


「それが、俺ってわけよ」


全くもって信じられないが、本当のことらしい。勝手に動くことの謎はここにあったのだ。そして、これは間違いなく、ベルセルクの剣、フェンリルのようだ。


「俺を扱えるのは、この世で、ただ一人。ベルセルクの腕輪をはめた者だけだ。つまり、お前さんってわけよ」


なるほど。


「つまり、俺は、フェンリルが居れば、剣は最強ってわけだ」


「剣だけじゃねぇぜ。この世で最強はベルセルクの他ありない」


「じゃあ、俺に着いてきてくれるか?」


「おうよ!俺はベルセルクが主だからな。お前さん、名前は?」


「海斗だ」


また、一人?増えたようだ。しかし、フェンリルが居れば、試験は余裕で合格だな。


「なに勝手に、話し進めてるのよーー!」



――数日後――



俺は、物凄く気合いが入っていた。今日は、試験の日。どうせやるなら、受かってやる!と。まぁ、俺の気合いなど、どうでもよくて、大事なのは、フェンリルの気合いなんだが。


「いくわよ」


「おう!」


アリサが、ドアの方に歩いていくのを見ながら、フェンリルを担ぎ、


「よろしく頼むぜ」


「おうよ!」


「よし、行くか」


試験は、城でやるらしい。よし、と再び気合いを入れ、アリサと一緒に外に出ようとすると、突然、ドアが大きな音とともに、開け放たれた。


「アリサ隊長はおられるか!」


息を切らした一人の男が入ってきた。


「私、だけど」


「たった今、王国に、盗賊討伐の依頼がやってきまして」


「盗賊って、それは第三騎士団の仕事でしょ?」


「いえ、それがどうも魔獣が盗賊を操っているらしいのです」


「なるほど。でも、私たち、これから、副隊長試験にいかなきゃいけないのよ」


「それが、国王様が、盗賊討伐をその、試験にすると」


「盗賊討伐が試験?」


「いきなり、実戦って訳ね。分かったわ。で、場所は?」


「アルト村です」


「分かったわ。国王様に伝えて、必ず討伐してくると」


「分かりました。ご武運を」


と、言うことで、俺の試験は、いきなりの実戦。盗賊討伐に、決まった。しかし、魔獣が、人を操ることなんか、あるんだな。





大きく背伸びをし、長旅の疲れを発散する。アリサの家から、約2時間。馬車に揺られて、アルト村にたどり着いた。


「見た感じ、別に盗賊が来たって感じじゃないけど」


「そうね。とりあえず、村長に挨拶にいくわよ」


村は、賑わっては居ないが、ほのぼのとしていて、実に老後に暮らすなら、ここかと思うほどに。


「ここね」


村長のいる家に着いた。


「ごめんくださーい。王国騎士団の者です」


アリサが中に向かって、声を掛ける。すると、ドアが、ゆっくり開き、初老の男が出てきた。この人が村長か。


「これはこれは。騎士団の方。どうぞ。こちらへ」


村長の家に入り、椅子にすわる。村長も机を挟んだ向こう側の椅子に座り、


「どうも、私がアルト村、村長のキボ=スマニです」


「第一騎士団、隊長のアリサ=イーグルです。さっそくですが、盗賊の件について、お聞かせ願いますか?」


盗賊、というキーワードを聞いた瞬間、キボ村長は顔をしかめる。


「えぇ。先日、夜に盗賊がやってきまして、村の、食材、金品、そして、村の、人間が何人か......」


人も、か......


「それで、次の夜、連れ去られた者が、盗賊となってやって来たのです」


「盗賊となって?」


「はい。それで私たちは、魔獣が関係していると判断したのです。魔獣の名前は――」


「マッグル、ね。人の脳を操り、道具にする最低な魔獣」


「えぇ。恐らく」


「わかりました。とりあえず、作戦を練り、明朝、討伐にかかります」


「有り難うございます。それでは、何かありましたら私に申し付け下さい」




俺の試験は『マッグル』の討伐。また、ベルセルクの力を使えるかどうかはわからないが、アリサのために、なにより、村の人々のために、


必ず倒す!



第一騎士団、副隊長試験、

マッグル討伐、


開始。


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