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魔殺しのベルセルク  作者: のぶなが
精霊ツクヨミ契約編
13/23

ベルセルクこそ最強。最強こそベルセルク。

見えているのはゴブリンのボス。見えないのは自分の心。自分は一刻も早く逃げ出したいのに、ベルセルクは戦いを望んでいる。


「分かったよ。やるよ。戦えばいいんだろ」


ベルセルクは戦いが迫ると俺の心と同化し、会話出来るようになる。遠くに行ってもらったアリサを見つつ、


―――そうだ。戦え。


「こいつ強そうだぞ?俺の五倍はある体、明かに他のゴブリンを寄せ付けないオーラ。勝てんのか?」


―――負ける訳がなかろう。ベルセルクが最強。最強こそベルセルクなのだから。


「で、今回は何の魔獣の力だ?」


―――そうか。ツクヨミが居るのか。ならば貸す力は、タイガイコール。お前......海斗と言ったか、海斗が、この世界に来て初めて力にした魔獣だ。


高揚していく心と体の熱。


「あいつか。あいつの特徴は?」


―――タイガイコールの力は、圧倒的な威圧感と弱点を見極め出す眼だ。それを使え。


「分かった。じゃ、行くか!」


ベルセルクの心が、俺の心と同化する。それと同時に腕輪から刺青が延びてくる。それは、まるで生き物のように体にまとわりつく。前に見たことのある模様。これで力が備わったと。


ゴブリンのボスとの距離、約100メートル。今回は焦る必要は無い。


「ヴァァァァァァッ!」


叫び声が耳に響く。森に反響する。俺......俺達は、ボスの赤い眼を睨み付けながら、ジリジリと距離を詰める。ボスも近づいては来るのだが、すぐに後ろに下がってしまう。タイガイコールの力の威圧感に負けている。


「どうした?ボス。かかってこいよ」


そして、わかることが一つ。ボスの弱点だ。俺の眼が右目だけ動き喉を見ている。そうか。喉が弱点。しかし、ボスは大きすぎて届かない。が、今の俺達には関係の無い問題だ。喉に届かない?ならば、喉を持ってくればいいのだ。


気づけば見上げる位置にボスがいる。距離は、約10メートル。この距離ならば、


「伏せろ......」


「ヴァゥゥ!!」


その声の重量感、威圧感はまさに天が降ってくるかのよう。その天に押し潰されるかのように地響きと共に、体を地面に叩きつける。抵抗しているのだが、無駄。そして、俺達の目の前には喉がある。弱点の喉だ。


「あっけない最期だったな。そうだ。ついでに森のゴブリンも一掃してやる」


フェンリルを、取りだし、喉にあてる。今回はフェンリルの力では無い。俺達が動かしている。


「終わりだ」


俺達は空に向かって剣を投げる。回転しながら剣はボスの喉へ。ボスの喉には呼吸を司る神経が通っている。そこに衝撃を与えれば、わかるよな。


乾いた音と共にボスの呼吸が、止まった。唸り声もあげずに眠るように。次は森のゴブリンどもを一掃しよう。


「消えろ......」


風が舞う。木々の間を通り森の奥まで吹き抜けていく。それと同時に、あちこちから呻く声が聞こえる。これは、ゴブリンの声だ。


「勝った、か」


「すごい......」


一部始終をみていたアリサが、驚いた顔でこちらを見ている。まぁ当たり前だよな。ゴブリンのボスをたった五分たらずで倒してしまったんだから。


ここで、あることに気付く。気が遠くならないのだ。いつもなら魔獣を倒したあと、強い疲労感と共に気を失うのだが、今回は疲労感は相変わらずだが、気を失わないのだ。これはまさか、


「ツクヨミ。お前の力か?」


「そうです。まだ、私一人では疲労感まではできませんけど」


そうか。これがツクヨミ。なるほど。ありがたい力だ。


「それでは、右手でふれてくださいますか?」


「ボスか?」


「えぇ」


横たわっているボスに右手を伸ばし触れる。恒例の光の塵になって腕輪に吸収される。で、


「二人目のツクヨミは?」


「もう、わたくしの中です」


まぁ、そうだよな。


「と、言うことは、二人目のツクヨミと契約完了ってわけね」


「おわっ!」


突然横から来たアリサに驚いて、疲労感も重なり尻餅をつく。


「なによ。そんなビックリしなくてもいいじゃない。それより、今回は気を失わないのね」


「そうなんだよ。ツクヨミの力らしくて。まぁ相変わらず疲労感はあるけどな」


「まぁ、気を失わないだけでも助かるわ。気を失ったら、あんたを背負っていかなきゃいけないからね」


「確かにそうだな」


「それじゃあ、帰るわよ」


「おう!」




二人目のツクヨミ、契約完了。


残り、二人。


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