05 模擬戦
次の日、クロアはいつもよりも早めに起きていた。
一通りの身支度を負えると、今日の模擬戦に使うものの最終確認をした。確認といっても自分がどのようなアイテムを使うのかなどを見るだけで簡単に済んだ.
「ノア、起きてるか?」クロアが右腕の腕輪に向かって問いかけた。
「はい、ご主人様なにか用でしょうか?」
この世界において、特に理由などない限り個々に精霊と呼ばれるものを所持している。普段は装飾品やアクセサリーといったもののような姿をしており、所有者の問いかけなどによって具現化する。この精霊は戦闘の時に支援してくれたり、戦友として一緒に戦ってくれたり、お世話してくれたりなど、能力は個々によって様々である。
また、その姿も様々であり犬や猫といった動物、はたまた神話の世界にでてくるような生き物なども存在する。クロアの精霊であるノアも精霊の中でも珍しい方にあたる妖精種である。
唯一、精霊たちに共通なことは、所有者が自身の体に精霊を憑依させれるということだ。憑依している間は、一定時間特殊な力を使うことができるのだ。
「今日もサポートよろしくな」
「こちらこそ、よろしくお願いしますご主人様」
「そんじゃあ、そろそろ行くか!」
「では、私も待機させていただきます」そういうとノアは腕輪のほうへ戻っていった。
ノアが腕輪の戻ると、クロアは家を出た。
クロアは歩きだした。
クロアの住んでいる居住区域から、第二演習場までは、直線にして約2キロほどある。その途中には商業エリアがある。ここでは、鍛冶屋や防具屋などいかにもRPGに出てきそうなお店や、食べ物や日用品んなど、日常生活で必要なものなど売っているお店など様々な業種が軒を連ねている。
クロアは飲食店で軽く朝食を済ませると、目的地である第二演習場をめざした。
普段なら、移動用アイテムやエリア転送システムを使うのだが、今日は徒歩で移動したい気分だった。心の緊張が抜けないせいか心臓の動きも速い。また、クロアにとって、約1年ぶりの対人戦というのも少なからず影響しているのだろう。
考えごとして歩いていたせいか、気づくと目的地に到着に到着していた。
あたりを見渡すと奏とロギーさんそして、なぜか2~30ほどの人々がいた。
「クロアこっちだぁー」クロアはロギーのいるところへ向かった。
「ロギーさんあの人たちは誰ですか?」
「あいつらか?ギャラリーだよ。お前が模擬戦やるって言ったら集まったんだよ」
「はあー、なんで集めちゃうんですか?」
「まあ成り行きだ。それに観客はいないよりもいいだろ」
「まあ、今からなにしても変わらないからいいですけど」もうため息しかでなかった。
ギャラリーはすでに、興奮の渦に包まれている。まだか、まだかと待ちわびているもの。まちきれずに叫んでいるもの。さらには、商売をするものまでいる始末だ.
そんな空気の中、奏が俺にはなしかけてきた。
「クロア君、今日はお互いに全力でいこうね」
「ああ、そうだな」クロアはただ、そう答えた。
「そんじゃあ、そろそろ時間だな。んじゃ、2人とも頑張れよ」
2人はうなずくと演習エリアへと転送された。




