02 談話
クロアはホームタウンであるイグドラシルにもどるといつものところへ向かう。
戦闘に行ったその日の終わりには、決まっておとずれる店。その名前は、『まかないの店ギイロ』店と出ているが、喫茶店のようなものだ。常連の間では、ギイロをもじってM・Gなどと呼ばれている。
いつものように、ドアを開けると中から粋のいい声がした。
「おっ、ワンショット・キラーのお出ましだね!」
「ロギーさんその呼び方であまり呼ばないでくださいよ」
そう、カウンターの中にいる大男、身長は190cmはあろうかという大きさ、さらにがっちりとした筋肉質な体系。それが、この店の亭主であり、また、かつては、伝説との破壊者として呼ばれた男。それがロギーである。
「でも、かっこいいじゃねーか!とおり名がワンショット・キラーだなんて」
「そんな、かっこよくないですよ。店長だっていろいろな伝説のこしてるじゃないですか」
「そんなの、昔のはなしだ。いまはただの小さな店の亭主さ……」
「それにしても、今日もミッションに参加するなんてクロアもがんばるよな。小さい割りに」
「小さいは余計ですよ、ロギーさん。人をバカにしないでくださいよ」
「ゴメン、ゴメン。ちょっとちゃかしてやりたくてね。はいこれ、サービス!」
そういうと、クロアの目の前に冷たい飲み物が出された。
クロアは、出された飲み物を口に運んだ。
口の中に広がるのは、スッキリとした酸味、そのあとに広がるほのかな甘味。さしずめハニーレモンといったところか。店長のまかないメニューなのだがクロアはけっこう気に入っている。
「ロギーさんのメニューは相変わらずおいしいですね」
「当たり前だろ、俺の店のものは世界一さ!」
「たしかにそうかもしれませんね。それじゃあ、いつものお願いします」
「おっけー、いつものサンドイッチだな。すこし待ってな」
そういうと、ロギーはオーダーをたのんだ。
しばらくすると、厨房から、特製の『店長のまかないSPサンドイッチ』が運ばれてきた。
「やっぱ、ここにきたらこれですよね」
「当然だ、俺のまかない料理の内のひとつだからな」
そんな会話をしながら、サンドイッチに大きくかぶりついた。口の中に広がるベーコンの肉汁がたまらない。さらに、糸のように伸びるチーズや、みずみずしいレタスもたまらない。おまけにこの特製ソースがさらに食欲をそそる。ホントに店長、どうやってこんなのつくってんだよ。
「ロギーさん本当にうまいですね」
「だろっ、まだまだ、うまいもんはたくさんあるからな。じゃんじゃんたのんで、じゃんじゃん俺のみせの売り上げをあげてくれ!」
「ははっ、まあほどほどにさせていただきますけどね」
ロギーさん料理がうまいだけでなく、商売もうまいんだよな。と苦笑いしながらも残りのサンドイッチをほおばった。
――食後の紅茶を飲んでいると、ドアの開く音がした。そして、いまクロアのいるところまでやってきた。
近づいてきたのは、白銀のロングヘアーの少女だった。




