14 買出し
奏とパートナーを組んでから一週間ほどがたった。
現在、奏は俺と一緒に暮らしている。パートナーを組んだからといって必ずしも一緒に暮らさなければならないというわけではないが、奏の強い要望もありこのような形とることにした。
そんなわけで、いま俺と奏は生活用品を揃えるためもあって商業区まできている。
「それにしてもクロア君、ここの商業区は何度きても大きいよね」
「そうだな。ここは他の商業区よりも広いしな。それに取り扱っているもの多さでもこの世界で一番って言ってもよさそうなくらいだしな」
「へえーそうなんだ」
「そういえば、奏がいたところはどんな感じだったんだ?」
「うーん……ここよりも小さいって感じかな。あとはこんなに賑やかではないかな、どちらかといえば落ち着いている感じ」
「へえー静かでよさそうな雰囲気だな。あとで行ってみたいな」
「それじゃあ、あとで行ってみる?あっちの町を案内してあげるよ」
「そりゃ、楽しみだな。
それじゃあ、そろそろお目当ての品々でも買い物しますか」
「そうだね、じゃあ2時間くらい自由行動してもいいかな?」
「自由行動でいいのか?俺が店とか案内するぞ」
「うんうん、大丈夫。それに1人でいろいろ回ってみたいから」
「オッケー。そんじゃあ、待ち合わせ場所だけど商業区の中心にあるフリースペースでいいかな?」
「うん、いいよ。それじゃあ、また、2時間後にね」
「おう」
そういうと、クロアと奏は各々の行きたい所へと散っていった。
それから、2時間後。クロアはフリースペースにいた。
クロアは、この2時間の間武器屋を訪れたり、戦闘補助アイテムなどを買ったりして時間を潰していた。
しばらくすると、奏も自分の買い物を終えて集合場所へと来た。
「ごめんね、少し遅れちゃった」
「きにすんな。それより喉渇いたんじゃないか?これでも飲むか?」そういうとクロアは飲み物を手渡した。
「ありがとう」と奏はいい、クロアの飲み物を受け取り、飲んだ。口の中にはトロピカルな味が広がり、乾いた喉を潤した。
「おいしい」
「だろ!それ俺のお気に入りなんだよ」
「甘味と酸味のバランスが絶妙だね」そういうと奏は飲み物を飲み干した。
「そういえばさ、前から疑問に思ってたんだけどさ」
「なに?」
「俺と奏で模擬戦やったじゃん。その時あの砂煙の中俺の攻撃をどうやってかわしたんだ?それにあのとき刀からでていた赤いオーラはなんだったんだ?」
「あれは、私の精霊の力だよ」
「精霊の?でも、そんな姿確認できなかったぞ」
「私の精霊は少し特殊な種族で、霊体種なの。わかりやすくいえば幽霊のようなものかな?だから私にしかみえないわけ」
「なるほどな。どうりで俺が確認できないわけだ」
「うん、それでクロア君が銃を乱射してたとき、私の精霊の力で常に目に見えないバリアを張っていたわけ。もちろん全部を完全に防ぎきったわけではないけど致命傷は避けれたんだ」
「そういうことか、どうりであの中で生き残ってたわけか。となるとあの赤い刀身も?」
「うん、精霊の力だよ。あれは私の精霊を憑依させたときの力。憑依させることでバリアが無くなる代わりに身体能力を上昇させたり、刀の威力を極限まであげるんだよ」
「へえーすげーな、そんなに精霊を自由自在に操るなんて。俺が負けちゃうわけだよ」
「そんなことないよ。クロア君のほうが強かったよそれに、もしあの時に油断してなかったら私が負けだったし」
「そうか?俺は奏のほう強いと感じたけどな。でもまあ、これであの時のなぞがようやく解けたわけか」
「なぞが解けてよかったね」
「だな。それじゃあ、お互いお目当ての買い物はできたしそろそろ帰るか?」
「そうだね。買いたいの買ったしね」
「じゃあ俺たちのホームに帰るか」
こうして、クロアと奏は自分たちの家へと戻るのであった