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アンリミテッド・アーク  作者: ALAN
第一章 はじまり
14/18

12 現実

「えっ?師匠が……」

「ああ…お前を守るためにな」そうキングは告げた。



 その事実がクロアに知らされたのは、戦い終結から2時間後のことだった。

 あの戦いの後、クロアは後遺症のためしばらく起き上がることもできづにいた。もっとも、いまのはなしを聞いて起き上がる気にもなれなかった。



「それは、本当なんですか?」クロアは嘘だと言ってくれと言わんばかりに問いかけた。


「残念ながら事実だ。クロアがあの攻撃を受けたあと、あいつは、紅羽は全力であいつに攻撃を仕掛けたんだ。文字どうり持てる力すべてを使ってな。そして紅羽はあいつを命がけで倒したんだ」これがクロアの知らない事実だ。


「そんな……俺のために」


「それと、これをクロアに渡そうと思んだ」そういうとキングはあるものをクロアに手渡した。それは紅羽が愛用していた魔銃だった。

「これは?」

「この銃だけが戦場に残っていたんだ」

 クロアはその魔銃を身体全身で受け止めた。そこに師匠がいるかのように……




「それで、言いづらいんだが、クロアはこれからどうするつもりなんだ?君のパートナーである師匠はこの世界からいなくなっち待ったんだ」


「――しばらくひとりでいようと思います。気持ちの整理もしたいですし」

「そうか、君がそう決めたのなら私は何も言わないが、まあなにかあったら私たちに連絡するといい」

「わかりました」

「それじゃあ、私たちはそろそろここを立ち去ろうと思う。師匠のことは本当に残念だったな」

「――こちらこそ、いろいろとありがとうございました」



 そういうと、円卓の騎士のメンバーはその場をあとにした。離れ際に、クイーンと呼ばれていた少女が声が聞こえた。

「あんまり、気を落とさないでね」





「ただいま」

 クロアは、師匠と住んでたところへ帰宅した。いつもなら2人で帰っていたのがいまは1人での帰宅だ。


 そのことを感じると、改めてもうこの世界に師匠がいないという事実を痛感させられた。



「もう、あの頃の時間は戻ってこないんだな……」クロアしかいない空間に静寂が響き渡った。




 そういえば、昔師匠とこんな話をしたことがある。

「なあ、クロアもし俺がこの世界から消えたらどうする?」

「どうしたんですか?急にそんなこと聞いて」

「いや、なんとなくな。なあ、どうする?」

「そりゃー悲しむに決まってるじゃないですか」

「ふーん」

「なんですかそのつまんなそうな反応は」

「いや、べつにな」


「それじゃあ、もし師匠が消えたら俺はどんな人になって欲しいですか?」


「そうだな、俺は誰かとまた、パートナーを組んで欲しいな。そして、さらに強くなって欲しい。そのパートナーを守れるようにな」

「そうですかぁ」

「まあ、俺が消えるなんてそうとうことが無ければないけどな」そう師匠は笑って答えた。





「まさか、現実になるなんて思いもしませんでしたよ。師匠……」

「師匠、しばらく師匠のお願いは聞けそうもないですね。少なくとも俺の気持ちが完全に整理されるまでは」



 この日から、クロアは心に決めた。

 しばらくは1人で生きていこう。自分が他人に守られるのではなく、守れるようになるまでは。

 だから師匠、その日が来るまでの間、俺のことを見守っててくださいね。









 これが、クロアと師匠の出会いであり、別れなのであった。







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