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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

悪役令嬢はヒロイン無双に○○する

○○された✕✕、そしてその前日譚

作者: 双月一星
掲載日:2026/10/16

よくある異世界転生、そしてよくある話。

俺はどうして此処にいるのだろうか?

あぁ、思い出した、そうだったな……



俺の前に女神様が現れた。

女神様にとって、俺の死はイレギュラーなものだったらしい。

そして混乱したまま、此方の世界に連れてきてしまった、という事らしい。


元の世界の記憶は曖昧だ。

此処は所謂、剣と魔法が存在するファンタジー世界であり、冒険者として生きてほしいと頼まれた。


女神様の落ち度という事で、自動翻訳やアイテムボックス等色々貰っての転生となるらしい。


旅が快適になるよう、【状態異常無効】のギフトを貰った。

後、【自動回復】というギフトもつけてくれた。


後は冒険者ギルドでクラスを決めて旅立つ、というわけだ。



街の手間で降ろされた俺は、ギルドへと向かった。

身分は平民、というよりは孤児であり、肉親はいない。

貴族だと、記憶をいじる相手が多くなるらしく誤作動が起こりやすくなる。

そして、元の入れ物となる、人材もいなかったので、孤児という身分に落ち着いた。


ギルドでは、ちょっとした誤作動等もあったが、どうにか剣士として登録できた。


まずは基本、ステータス確認からだろう。


ランクはFランク。

冒険者となって初めてのランクになる。

年は16となっていた。

前世ではもっと年上だったはずだが、肩コリや腰痛など少々ガタがきてたので、ありがたくある。

転移の形だと、街から出るのも億劫だろう。


能力値は多分平均的なものなのだろう。

低いも高いも分からなかった。


ギフトは【状態異常無効】と【自動回復】と【アイテムボックス】と出た。

【自動翻訳】は、転生特典という点から表示されないのだろう。


スキルはクラスによるものや、何かしらの熟練度などで獲得できるものもあるらしい。

生活魔法というのはどの人間にも付与される魔法らしく、魔道具を使ったり、身体を清潔にしたりが出来るとか。

また、攻撃には使えないが飲水生成出来る水魔法や、着火程度の火魔法なども含まれているらしい。


アウトドア経験はないので、飲水確保や、火起こしなどができなければ詰んでいたと思う。


武器は初心者用の借り出し品だ。

冒険者としてなんのクラスを選ぶか分からなかったせいか、冒険者や旅人が着る衣服とリュック、ある程度の生活が出来るぐらいの小銭の小袋といった軽装しか、なかったからだ。



冒険者のはじめの仕事というと、やはり薬草採集だ。

近くの草原に生えてる薬草の収集を行う。

確かギザギザの葉に裏が白っぽい、だったか。

ギザギザの葉を探しては裏を確認して摘んでいく。


数本纏めて一束とされ、それを数束。

という形で収めるらしい。


途中、草むらの奥でガサリと音がしたので、採集を終わりとした。


ギルドに薬草を提出し、報酬を貰う。

その際に、金額の価値や月日の概念なども改めて聞いた。

日本円や月日、曜日は似通っているようで分かりやすくなった。

別の単位だと困っていたかも知れない。


今日の報酬だとパンが1つか2つぐらいらしい。


もっと初めての何かしらの高揚があるかと思ったが、こんなものか、と思ってしまった。


冒険者登録の初回限定の客室があったので数日借りる事にした。


料理はまずまずだった。


数日は薬草採集を続けた。


そしてやってきた初戦。

スライムがゆらゆら揺れていた。

俺はしっかり剣を構えてスライムに対峙する。


何度か避けられるも、どうにかスライムを倒す事に成功する。

スライムは消えるように溶けて小さな魔石だけが残った。

俺は魔石を拾い上げて光に透かす。

綺麗だと思う。

が、やはり高揚感はない。


初戦という事で、レベルは上がった。

それだけだ。


結局は魔物という事か。

思う所がなかった。


その後、ゴブリンなども倒していくが、倒す事に対しての葛藤はなかった。

人に近いから、何かしらあると思ったが、それもなかった。


依頼をこなし、Eランクになった。

この頃になると商人達の護衛依頼に出れる様になった。


街から外れると、襲ってくるのは魔物だけではなかった。


対人間戦となる盗賊討伐だ。


自分の剣が盗賊の肉体を貫いた時、相手の命を奪うのだから、何かしら慟哭があるかと思っていた。

が、それもなかった。


それから先は作業というしかない。

依頼を受け、報酬を貰い、いるものを買い、そして宿屋で眠る。


何度か傷を負ったが、時間経過で治っていく。

毒は効かなかった。

幻影も、混乱も、効かなかった。

ギフトの影響が大きいのだろう。


女神様はあれから現れはしない。

ので、バグとやらは治ってないのだろう。

数人と組んだりした影響か、彼らの持つスキルを理解出来るようになっている。

いる。というより、見て覚えたのか、よく分からない。

どちらかというと生えてきた。というものであり、ラーニングというものでもなさそうだ。

魔法使いの魔法や、盗賊の鍵開けなど、いつの間にかステータスに出てきた。


元々、魔法職のクラスや上級職でないと魔法は使えない。

が、俺は使える。

スキル取得範囲のリミッターも外れてるのだろう。

ランクが上がるとどんどんスキルが増えた。

スキルは統合したり、上級スキルへと変じたり、変わっていった。


が、やはり高揚感はない。

出来るからやる。

あるから使う。

それだけだ。


最初は何人かと組んではみたが、俺は空気が読めず、無口である事が多く、何度もパーティ離脱を繰り返した。

その後はずっとソロで、戦い続けた。


スタンピードも経験した。

倒して倒して倒して倒して倒して倒して……


息を吸うように、そして吐くように、倒し続けた。


ランクがSになろうと高揚感はなかった。


身体がそうであるように、心もそうだったのだろう。


感情の機微も、状態異常として認識されていたのかも知れない。


剣も魔法も、その他の職のスキルも、難なく使えている。

が、回復魔法だけは覚えられなかった。

否、スキルにはあるのだが、俺は神への信仰心がなかったので使えなかった。

まぁ、眠れば回復していくので必要はない。

ヒールがスキル成長したりもなかった。


ある日、俺は国王様から領地を貰う事になった。

誰も住めないであろう魔の森の奥だった。


その頃にはアイテムボックスには色々揃っていたし、いつの間にか空腹というものもなくなっていた。

何でも食えるし、腹を壊すことも、風邪を引く事もない。

俺は景色のいい山頂に家を建てた。

向かってくる魔物は全部倒した。

何度か魔族というものにもあった。

歯向かうものは全部倒していった。

いつの間にか平伏して俺に追随するものが増えた。

奴らはいつの間にか俺の城を建てていた。

城には玉座があった。

俺はその椅子に座る。 




魔王みたいだな。

と思った。




あぁ、そうか。

俺は魔王になったのか。


俺は年を取らない事に気がついた。

そして不死である事にも気づいた。


何度か死ぬ目に遭ってはみたが、無駄だった。

痛くも苦しくもない。

多分息さえも必要ない。


その後何年、何十年、何百年は静かだった。


が、突如その日がやってきた。


あの女神様はもういないらしく、新しい女神がこの世界を統治しているらしく、聖女というものが、勇者という存在と共に現れたのだ。


久々の戦いに心が躍るかと思ったが、やはりありはしなかった。


勇者達は俺を倒せなかった。


が、俺を封印する事に成功した。


封印。

封印は術者が何かを封印する為のスキルである。

中身が何であろうと関係なく封印する。


思い出してみれば、神々でも、神を封印するという手を使っている。


だからこそ、俺は封印を状態異常と認識できず封印された。


封印されて数年、静かになった魔族達だったが、また活動を開始したらしい。


そしてまた人間と魔族らの攻防が始まる。


が、俺にとっては日々の些事である。

今日も、夢を持たない眠りにつく。

また封印が解かれる日々が来ても、それは些細な事だろう。


誰も彼も俺の中では小さな存在となっていった。


だが、気づいたのだ。

もう俺はイレギュラーな存在ではない事を。

この世界の円環に組み込まれた存在になったのだと。


俺は今日も封印の中、眠り続ける。

明日はもう来ても来なくてもいい。

そして、△△は✕✕になりました。

めでたしめでたし、という話ではないけど。

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