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8.食事

 「あら?大人しく待ってられたのね?」


【厨術】を貰い、思い出そうとしていた所に黄師姉が手に包みを持って帰ってきた。


「お帰りなさい」


「???とりあえず今日はこれを食べてね!」


お帰りと言ったら小首をかしげられたけど、何か変な事言ったか?


まぁ、とがめだてされた訳じゃないし気にしてもしょうがないか、黄師姉の渡してきた包みを受け取ると、中には肉まんが入っていた。


そう言えば、この家に来た時も黄師姉は肉まん食べてたけど、そんなに好きなのかな?


「あら?肉は嫌いだった?」


「いえ、別に嫌いなものはないです」


「それなら良かったけど、ちなみに辛い物は大丈夫なのかしら?」


辛い物?日本で言う普通に辛い程度なら大丈夫だが、中国の辛いってアレじゃないよな?真っ赤な麻辣みたいなやつ。


「どれくらい辛いですか?」


「人によると思うけど、この辺の食事って辛い物が多いのよね。だから辛い物が食べられないと食べられる物が限られてきちゃうんだけど、大丈夫かしら?」


「黄師姉は辛いのは?」


「苦手だから、包子ばっかり食べてるんだけど?でも具の種類は色々あるのよ!」


「自分で作ったりとかは?」


「私は無理ねぇ。まだ聖域に来たばかりで分からないかもしれないけど、聖域で食べられる物は特殊な処理をしないといけない物ばかりだから、俗世みたいに火で炒めれば食べられるような物じゃないのよ」


成程ね、初手【厨術】ってのは間違いじゃ無かった訳か。


頼りにならないのかもとか思ってたが、この状況はすべてお見通しって訳だ。


〔いや、偶々だぞ?ただわざわざ【厨術】を習おうなんて奇特な奴は少なかろうし、多分便利だろうと思っただけだ〕


偶々か~……いやそれでもナイス!食うに食えないよりはずっといいし、当面の落ち着き場所として折角良さげな所に辿り着いたんだから、食くらい自分で何とかするべきだ!多分。


「それなら、自分が作りましょうか?」


「ふふふ、面白い事言うのね!残念ながら功法の修業もしない内から出来るような事じゃないのよ」


「気を導入して、真気を使えるようになるとか何かそういう……」


「そうね!どこで聞いたのか知らないけど、その通りよ!でも駄目!子供のうちに功法の修業なんてしたらあっという間に気持ちがブレて走魔入火に入っちゃうんだから!当面は宗規をよく理解して、日々ちゃんと生活する事!いずれ時が来たら、ちゃんと修行できるようにしてあげるから!」


出たよ走魔入火とかいうやつ!よっぽど危険なんだろうけども、もう気は導入しちゃったんだよな~。システム曰く、安全な功法とやらでさ~。


どうするか?自分の部屋に厨は併設されてるし、勝手に使う事も出来るんだろうが、どうやって材料を手に入れるのか?それが問題だ。


「やっぱり包子は嫌いだったかしら?」


自分が考え事をしていると、どうやら誤解が生まれてしまったらしい。


「いえ!いただきます!」


すぐに、受け取った包みから肉まんを取り出し、かぶりつく。


すると自分が知っている肉まんとは違い、一瞬の驚きの後、うま味が口に広がる。


もう一口食べてみて、違和感の正体が分かった。皮が甘くない。


ただ、餡である肉も一緒に齧った瞬間に脳が喜ぶ脂とタンパク質が直接細胞に吸収されていくかのように、スルスルと口の中に入っていく。


「あら?そんなに急いだら体に悪いわよ?これも飲んで」


そう言って渡されたのは、温かい白い飲み物?


ゆっくり口をつければ豆乳の様だが、これもまるで長い間体が求めていたかの如く、一瞬で胃の腑に収まる。


量は大したことなかったのに、凄く全身が満足した。


「おいしかったみたいね?これなら当分ここの生活も大丈夫でしょ!今日はもう日も暮れるし、お部屋で過ごしなさいな」


そう言って、母屋の方へと向かう黄師姉。


はしたない事に、中庭で立ったまま肉まんと豆乳をあっという間に平らげてしまったのだが、とりあえず黄師姉からはあまり悪い印象は持たれてないように思う。


無関心という訳ではないが、別にあれこれと詮索してくるでもない。


今後の付き合い方とか、色々と気になる所だが一旦はあてがわれた部屋に入ろう。


多分使用人用の私室と思われる一室を自分の部屋と定めて、ぐるっと様子を見渡すと、ベッドと机と箪笥?みたいな物置があるだけの簡単なワンルームだ。


とはいえ、6畳かそこらはあるし、寝泊まりするだけなら十分だろう。


一応部屋には扉もあるし、プライベートも確保されてるんだから尚更だ。


とりあえず、これから当面は童僕として黄師姉に仕える形になるんだろうが、給与形態とかどんな感じなんだろうか?


それこそ大昔みたいに奴隷とは言わないまでも、それに近い形で主人である黄師姉の所有物扱いを受けるんだろうか?


まぁ、横暴な事をされないならその立場に甘んじるしかないのが、現状なのだろうけど、とにかく慎重に行動するしかあるまい。


何しろ、ここは文化の違う場所なんだから。


己の中の気持ちをまとめた所で、何となくベッドに横になる。


〔おおい!飯食って霊力が体内に充実してる間に、功法使って丹田に溜めないと勿体ないぞ!〕


どうやら、自分はまだ眠れないらしい。

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